MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内
2017.10.16
Medical Library 書評・新刊案内
《ジェネラリストBOOKS》
健診データで困ったら
よくある検査異常への対応策
伊藤 澄信 編
《評者》尾﨑 治夫(東京都医師会会長)
かかりつけ医が診察室に置いておくべき一冊
本書の編著者である伊藤澄信先生は,国立病院機構本部総合研究センター長であり,東京都医師会の予防接種委員会のメンバーもお務めいただいていることから,かねて多方面で東京都医師会の活動にご尽力いただいてきた。
かかりつけ医,プライマリ・ケア医の臨床現場を熟知しておられるため,本書には,地域の外来医が遭遇する「健診データで困った場合」への対応策が,身体測定・生理,X線・超音波,生化学・血液学・血清学・尿,その他の領域ごとに,具体的に実によく書かれている。
私は循環器内科を専門とする内科医で,医師会活動に多くの時間が割かれてしまう中,今も午前中は診療を行っている。近年,特に予防医療が充実しつつあり,保健事業も盛んになってきていて,多くの患者さんが,人間ドックや健康診断のデータを持参して,「今回,ここが引っ掛かってしまい心配だ」「この検査の意味するところをわかりやすく教えてほしい」などの質問をされるケースが増えた。心電図や胸部X線写真,動脈硬化の指標,NT-proBNPといった自分の専門領域にかかわることは,比較的よく説明できるが,消化器系や脳,血液,膠原病などの非専門領域では,わかりやすく丁寧な説明ができないこともしばしばある。そのような時に,本書が診察室のデスクの上にあると非常に役立つと思っている。ぜひ,多くのかかりつけ医の先生に,本書を活用していただきたい。
A5・頁192 定価:本体3,600円+税 医学書院
ISBN978-4-260-03054-0
吉村 長久,後藤 浩,谷原 秀信 シリーズ編集
大野 京子,前田 直之,吉村 長久 編
《評者》近藤 峰生(三重大大学院教授・眼科学)
ここまで進歩した病的近視,全ての眼科専門医が熟読すべき良書
医学書院から出版された『画像診断から考える病的近視診療』を読み終え,深い感銘とともに,この本は全ての眼科専門医が熟読すべき良書であると確信した。病的近視の学問はここまで進歩したのかと,ただ驚くばかりである。本書には,病的近視の診療に必要な最新情報が全て詰まっていると言ってよい。病理,疫学,遺伝,そしてさまざまな画像診断所見と内科・外科治療である。最終章には,病的近視の眼位異常や白内障手術の留意点,さらにQOL評価まで網羅されている。
近年の病的近視の診療を大きく発展させた第1の要因は,やはりOCTをはじめとする画像診断の進歩である。解像度が高く深達度の優れたOCTの登場により,病的近視における網膜,脈絡膜,強膜の構造変化が実に鮮明に観察できるようになり,病的近視の病態理解は飛躍的に進んだ。このイメージング技術は,治療適応の決定にも極めて重要な役割を果たしている。本書においても,近視性脈絡膜新生血管(myopic CNV;mCNV)の検出,近視性黄斑分離や黄斑剥離の鑑別,さらにdome-shaped maculaといった特殊病変など,さまざまな病的近視の黄斑所見のイメージング解析には最も多くのページを割いている。きれいなカラー写真と鮮明なOCT像を用いた解説のクオリティは,他のどの成書とも比較にならない。さらに本書では,大野京子氏らによる3D MRIを用いた近視眼の眼球形状解析が示されている。後部ぶどう腫の新しい分類に根拠...
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