医学界新聞

2017.07.03



医療における賢明な選択とは何か

第151回日本医学会シンポジウムより


 第151回日本医学会シンポジウム「医療における“賢明な選択(Choosing Wisely)”を目指して」(座長=東女医大・山口直人氏,佐賀大名誉教授・小泉俊三氏)が6月1日,日本医師会館(東京都文京区)にて開催された。近年,より高価値な医療を追求する立場から,エビデンスに基づかない医療に警鐘を鳴らす“Choosing Wisely”の動きが世界的に広がっている。日本でも2016年10月にChoosing Wisely Japanが設立され,臨床主導の提案として注目が高まっているところだ。

メリットだけでなく,デメリットにもEBMを

シンポジウムの様子
 Choosing Wiselyキャンペーンは主目的をケアの質向上と過剰医療による患者への有害事象の削減に置く。医療の質・安全学会理事を務める小泉氏は,医療者のプロフェッショナリズムとEBMを基盤に,医師と患者の対話により適切な選択を推進するものだと解説した。発祥地である北米では,エビデンスのない診療行為を列記したリストを各学会が公表し,診療の見直しが進んでいるという。氏は「エビデンスのない診療を減らすことはEBMの次なる展開」だとし,日本での広がりに期待を寄せた。

 続いて登壇した徳田安春氏(群星沖縄臨床研修センター)は,日本で最初の試みとして,総合診療指導医コンソーシアムが2015年に公表したリストを紹介した。その内容は,健康で無症状の人々に対するPET-CT検査や腫瘍マーカーによるがん検診,MRIによる脳ドック検査の非推奨,自然軽快するような非特異的な腹痛での腹部CT検査の非推奨,臨床的に適用のない尿道バルーンカテーテル留置の非推奨。厚労省の提言する「保健医療2035」でも医療の価値を高めることを重視していることに言及し,今後は有害事象をより減らしていくという視点がさらに重要になるとの見解を示した。

 北澤京子氏(京...

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