医学界新聞

2017.02.27



第31回日本がん看護学会開催


 第31回日本がん看護学会が2月4~5日,藤田佐和会長(高知県立大)のもと,「がん看護の跳躍する力――未知なる世界の探究」をテーマに開催された(会場=高知市・高知県立県民文化ホール,他)。本紙では,認知機能低下を伴う高齢がん患者が増える中,患者・家族の知る権利や自己決定権を守る立場から,看護師に求められる支援の在り方を議論したシンポジウム「超高齢社会におけるがん患者と家族の意思決定支援」(座長=岡山大大学院・秋元典子氏,国立がん研究センター中央病院・森文子氏)の模様を報告する。


 初めに登壇した国立がん研究センター東病院精神腫瘍科医の小川朝生氏は,患者の意思を家族や医療チームで共有し,尊重したケアを行うためのプロセスであるAdvance Care Planning(ACP)を概説し,日本の現状と問題点に言及した。本来は患者の自己決定権を擁護するためのACPが,「代理人の指示」や「終末期の支援」と誤解されがちだと述べた。氏は,「ACPの成立の背景に立ち返り,患者が望む生活を支えるという観点で,がんの診断時からACPに取り組むべき」と訴えた。

患者本人による選択のために

藤田佐和会長
 高齢がん患者の治療場面における意思決定に看護師はどうかかわるか。がん看護専門看護師の小澤桂子氏(NTT東日本関東病院)は,高齢者は医療者が考えている以上に,病気の効果的治療や身体機能の回復を重視しているとの調査結果を紹介。治療による心身への影響やセルフケア能力,意思決定能力を十分に評価し,可能な限り患者の意向が反映され

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