医学界新聞

2016.02.22



Medical Library 書評・新刊案内


地域医療構想をどう策定するか

松田 晋哉 著

《評 者》井部 俊子(聖路加国際大学長)

詳細な分析による未来への挑戦の書

 わが国が「少子高齢社会」であることは周知の事実である。しかし,その様相は地域によって異なることはあまり認識されていない。

 本書によると,例えば福岡県北九州市(p.2-5)の場合,2000-10年までは若年層の人口流出が相当あったが,今後その影響は小さくなり,高齢者層の死亡数の増加により人口が徐々に減少していく。その結果,2030年には後期高齢者(特に女性)の数が増大する。傷病別入院受療率に基づく推計によると,2040年に肺炎が40%,骨折と脳血管障害が30%強増加することが予測される。そのかなりの割合で認知症が併存する。既に要支援・要介護状態にある高齢者の急性期のイベントにどのように対応するかが今後の課題となる。

 福井県東部に位置する大野市(p.5-7)は,現在は人口減少が進んでおり,過疎対策が課題となっている。若年層の人口流出に加え,高齢者の死亡数が増加するために,人口は急激に減少していく。後期高齢者層のケアニーズを支えるだけの若年層が確保できるのかが大きな課題となる。2040年までに入院受療率は低下しないが,高齢化が進み,総数としては2040年までに20%減少するため現在の病床数と平...

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