医学界新聞

2015.07.13



ポリファーマシーは情報共有で防ぐ

ACP日本支部年次総会2015の話題より


 1人の患者に対し,多数の薬剤が処方されている状態である「ポリファーマシー(多剤併用)」が注目されている。ポリファーマシーに関する明確な基準はないものの,多剤併用を起因とする薬物有害事象や服薬管理上の問題が指摘されており,リスクマネジメントの観点から不適切な複数薬剤の使用は見直す必要がある。しかし,臨床現場で生じるポリファーマシーの要因は多様であり,その対応は容易でない。難しくしている要因のひとつには,1人の患者に薬剤処方を行う医療機関・診療科が複数にわたる点が挙げられる。特に併存疾患の多い高齢者では,地域の複数の医療機関に通院し,各施設で薬剤処方を受けている場合も多く,薬剤の種類・量共に増えてしまうのだ。こうしたケースを防ぐには,地域の医療機関が一体となってポリファーマシー対策に取り組むことが求められる。

セッションの模様
仮想事例に基づいて,診療所医師,基幹病院の内科医,整形外科医,薬剤師などの役にメンバーを振り分け,模擬病診連携カンファレンスを実施。架空のエピソードから病診連携による処方薬の調整の方法を探った。
 ACP(米国内科学会)日本支部年次総会2015(会長=聖マリアンナ医大・柴垣有吾氏,5月30-31日,京大百周年時計台記念館)において企画されたセッション「病診連携再考――地域を診るために,今必要な協働は何か」(座長=白河厚生総合病院/白河総合診療アカデミー・東光久氏,福知山市民病院・川島篤志氏)では,「基幹病院医師がポリファーマシーを見つけた時の対応」などをテーマに,参加者たちがグループに分かれて議論。仮想事例を基に,地域で行うポリファーマシー対策について意見を交わした。

診療科・医療機関を超えて,処方理由と優先順位の共有を

 仮想事例...

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