医学界新聞

2014.11.03



金原一郎記念医学医療振興財団

第56回認定証(第29回基礎医学医療研究助成金)贈呈式開催


 金原一郎記念医学医療振興財団(理事長=東大名誉教授・野々村禎昭氏)は,このほど「第29回基礎医学医療研究助成金」の交付対象者として35人(助成総額1630万円)を選出。10月1日に,医学書院(東京都文京区)にて第56回認定証贈呈式を開催した。

 開催に際して,金原優同財団業務執行理事(医学書院代表取締役社長)が,医学書院の創業者・金原一郎の遺志を継いで設立された本財団の概要を紹介し,「この受賞を励みとして,日本の医学・医療の将来を支える研究に役立ててほしい」と選出された対象者を激励した。

 認定証贈呈の後,同財団理事長で選考委員長の野々村氏が,284人の応募があった今回の選考経過について説明。選考において高評価を受ける応募が多かったことを称え,「日本の現状は基礎医学研究にとって厳しいものになっているが,研究を行う自由があるのは幸せなこと。今回の助成を有効に活用し,今後も研究を続けていってほしい」と期待を述べた。

 続いて交付対象者を代表して新田剛氏(東大大学院准教授・助成対象「γδT細胞の分化を制御する分子機構の解明」)があいさつに立った。氏はヘルパーT細胞やキラーT細胞といった一般的なT細胞とは異なる系列に属する,非典型的T細胞「γδT細胞」に注目。γδT細胞は自然免疫と獲得免疫の橋渡しをする重要な細胞であり,乾癬などの炎症性疾患に関与する細胞としても近年注目を集めている。「革新的な技術の開発が進んだことで,アイデア次第で生命科学はどのような挑戦も可能な時代になってきたと言える。大胆かつ革新的なアイデア,分野を超えた研究者間のつながりを活かしながら,発見を見逃さない注意深さを持ち,教科書を書き換えるような大発見を夢見て,今後も研究に邁進していきたい」と抱負を語った。


●金原一郎記念医学医療振興財団

第29回基礎医学医療研究助成金交付認定者一覧

No. 氏名 所属機関 助成対象
1 安藤 智暁 理研(横浜)/統合生命研センター/
アレルギー研究チーム
食物アレルギーにおけるStat5-PLC-β3-SHP-1(SPS)複合体の役割の解明
2 五十里 彰 岐阜薬大/生化学研究室 クローディンサブタイプの異常発現による上皮細胞のがん化機構の解明
3 生島 弘彬 東大/生産技術研/炎症・免疫制御学/社会連携研究部門 抗腫瘍自然免疫応答を惹起するがん関連分子パターンの探索
4 石橋 大輔 長崎大/医歯薬/感染免疫学講座/感染分子解析学分野 神経変性疾患プリオン病における宿主自然免疫応答の役割-新規治療法の開発を目指して-
5 市川 純 福岡大/生理学教室 白血病再発防止を目指した膜電位による白血病幹細胞の細胞周期制御
6 扇田 久和 滋賀医大/生化学・分子生物学講座/分子病態生化学部門 がんの浸潤・転移を制御する新規接着分子系の作用機構
7 大平 真裕 広大病院/消化器・移植外科 肝切除後の肝臓内TRAIL陽性Natural Killer 細胞減弱のメカニズム解析と新規肝癌治療の開発
8 尾崎 充彦 鳥取大/病態生化学分野 炎症発癌を規定するエクソソームの同定とそれを標的とした新規大腸発癌予防戦略の構築
9 小野寺 智洋 北大病院/整形外科 骨軟骨修復過程におけるスフィンゴ糖脂質の機能解析
10 片岡 雅晴 慶大/循環器内科 成熟心筋細胞の細胞周期と分裂能を規定する新規linkRNAの同定と機能解析
11 加藤 哲久 東大/医科研/感染免疫部門/ウイルス病態制御分野

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