非専門医に必要な神経診察スキルとは?(黒川勝己)
連載
2013.10.14
こんな時にはこのQを!
“問診力”で見逃さない神経症状
【第1回】
非専門医に必要な神経診察スキルとは?
黒川 勝己(川崎医科大学附属病院神経内科准教授)
「難しい」「とっつきにくい」と言われる神経診察ですが,問診で的確な病歴聴取ができれば,一気に鑑別を絞り込めます。 この連載では,コモンな神経症状に切り込み,危険な疾患を見逃さない「Q」を示せる“問診力”を鍛えます。
非専門医でも避けて通れない神経症状の診察
「頭痛」「めまい」「しびれ」。かかりつけ医,総合診療科や救急外来など,プライマリ・ケア医を受診する患者の主訴には,こうした神経症状が上位を占めます。その原因の多くはcommon disease(頻度の高い一般的な疾患)ですが,時にcritical disease(頻度は必ずしも高くないが,専門的治療を要する危険な疾患)が潜んでいます。
かつて私の父親も,かかりつけ医を「頭痛」のため受診しましたが,原因は片頭痛や緊張型頭痛のようなcommon diseaseではなく,critical diseaseであるくも膜下出血でした。「頭痛」のようなコモンな症状の場合,かかりつけ医がいれば患者はまずはそちらに相談します。最初から脳外科など,専門科を受診するようなことは少ないのです。
つまり,自分の専門にかかわらず,神経症状を訴える患者を診ることが多い現状においては,プライマリ・ケア医にはcommon diseaseを適切に診断できるとともに,critical diseaseを見逃さず,専門医につなげられる臨床力が要求されるのです。
表 誤診しやすい神経症状と疾患例 |
苦手意識を抱く一因は,卒前教育?
しかし,神経症状を診ることに対して苦手意識を持っているプライマリ・ケア医は少なくありません。その原因のひとつに,従来の大学での教育内容が挙げられるのではないかと私は考えています。
神経系の授業では,外国人の名前がついた幾多の神経難病や神経診察法,それらを理解するための神経解剖など膨大な情報が詰め込まれます。その時点で「膨大な知識がなけれ
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