医学界新聞

2013.04.01

世界をリードする循環器医療を

第77回日本循環器学会開催


 第77回日本循環器学会が3月15-17日,水野杏一会長(日医大)のもとパシフィコ横浜(横浜市)にて開催された。「世界に翔く日本の循環器病学」をテーマに掲げた今回は,日本発の技術を紹介する特別企画をはじめ,日本の循環器医療・医学が世界をリードすることをめざした先進的な臨床・研究に関する演題が並んだ。本紙では,科学技術の進歩とともに進化を遂げる「PCI」「CABG」と,抗血栓療法に関するセッションのもようを報告する。


「CABG vs. PCI」治療選択の在り方を考える

水野杏一会長
 冠動脈狭窄に対する再灌流療法として,特に左主幹部病変など複雑な症例の場合,これまではCABG(冠動脈バイパス術)が標準治療とされてきた。しかし近年DES(薬剤溶出型ステント)などの機器や技術の進歩に伴いPCI(経皮的冠動脈インターベンション)の守備範囲も拡大している。コントロバーシー「CABG vs. PCI 競争と協調」(座長=順大・天野篤氏,近畿大・宮崎俊一氏)では,虚血性心疾患治療におけるCABGとPCIの現状とすみ分けについて,3施設の外科医と内科医が提言した。

 札幌心臓血管クリニックからは外科医の道井洋吏氏,内科医の藤田勉氏が発言した。道井氏は,各手技の適応症例の選択と集中がまだ完全にできていないなかでは,現時点の知見だけでPCIとCABGを比較すべきでないと強調。患者にかかわる医療スタッフ全員がハートチームを構築し,治療の内容や方向性を共有した上で最高の治療を患者に提供できることが外科と内科の"協調"と述べた。

 藤田氏は,ゲートキーパーである内科医が予後を見据えて治療を選択すべきと主張。また,自施設に外科が誕生したことで,ハートチームが治療方針を決定するプロセスが確立し,ガイドラインに沿った治療を提供できるようになったことを紹介した。

コントロバーシー「CABG vs. PCI 競争と協調」総合討論のもよう
 引き続き心臓血管研究所付属病院から,外科医として田邉大明氏,内科医として矢嶋純二氏が壇に立った。田邉氏は,同院における治療結果を紹介。PCI,CABGともにこれまでの知見と比較し十分満足できる成績が得られているが,さらな

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