医学界新聞

2012.12.10

救急医学の新たな可能性を展望

第40回日本救急医学会開催


 第40回日本救急医学会が11月13-15日,中谷壽男会長(関西医大)のもと「救急医学,この未知なる世界から拓かれた未来へ」をテーマに国立京都国際会館(京都市)にて開催された。本紙では,その在り方をめぐって議論となることが多い,救急科での臨床研修および救急における終末期医療に関するシンポジウムのもようを報告する。


より効果的な救急研修とは

中谷壽男会長
 新医師臨床研修制度で必修となっている救急研修。シンポジウム「研修医の救急研修は如何にあるべきか」(司会=聖マリアンナ医大・箕輪良行氏,福岡大・石倉宏恭氏)では,臨床研修における救急の役割を踏まえたより良い救急研修の在り方を8人が報告した。

 まず,山上浩氏(湘南鎌倉総合病院)が同院救急外来における初期研修医教育を紹介した。ER方式で運営する外来は,年齢や重症度に関係なく患者を受け入れるのが特徴。初期研修医は年間を通じ月4-5回の当直を行うが,2交替制(20時-深夜2時,2時-8時)や病院救命士の採用,看護師の増員によって負担軽減を図っているという。

 和歌山医大病院では,卒後3年目の後期研修医が3か月間の交替制でER初療の専従となる勤務体制を敷いており,この結果3年目研修医に自覚と責任が生まれたという。同院の岩崎安博氏は,本体制を導入できた理由として大学中枢が各専門科を説得した「トップダウン」と,ER専従を経験する後期研修医に学内助教の身分や夜勤・休日手当などの「インセンティブ」を与えたことを挙げた。

 順大浦安病院の井上貴昭氏は,同院での救急診療科新設と救急プログラムの立ち上げについて解説した。受け入れる症例数を確保するため,まず院内の体制を確立。さらに研修医に看護師や救急救命士向けのレクチャーを担当させた結果,後輩に自主的なレクチャーを行うなど屋根瓦式の教育体制が構築できたと述べ,10年後の救急の担い手を意識した研修プログラムの策定が必要と訴えた。

 福岡大病院では,ローテート中の研修医全員が初療に参加する救急研修を,初期研修1年次に2か月間実施している。同大の仲村佳彦氏は,短期間で多くの経験が可能というメリットがある一方,勤務

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