第18回日本看護診断学会開催
2012.08.27
看護診断の質的向上をめざして
第18回日本看護診断学会開催
第18回日本看護診断学会が7月14-15日,西田直子大会長(京府医大)のもと「介入の入口(エントランス)は看護診断」をテーマに,国立京都国際会館(京都市)で開催された。本紙では,看護実践における看護診断の在り方を考察したシンポジウムと,看護基礎教育・臨床現場において看護診断教育をどのように展開するかを検討したシンポジウムについて報告する。
専門性の高い看護実践から,看護診断の在り方を考察
西田直子大会長 |
初めに登壇した奥津文子氏(滋賀県立大)は,リンパ浮腫ケアと看護診断の関わりについて発言。氏は,リンパ浮腫ケアは患者の日常生活支援の中心を担う看護師こそが積極的に行うべきと主張した。また,今後の課題として挙げたのが,リンパ浮腫の状態を看護診断として確立していくこと。氏は「看護診断ラベル『体液量過剰』に該当するようにも考えられるが,診断指標や関連因子がリンパ浮腫の状態にはそぐわない」と語り,リンパ浮腫の状態を看護診断としてNANDA-Iへ提案することが望まれると指摘した。
続いて登壇した安江友世氏(京府医大病院)は,摂食・嚥下障害看護を実践する立場から発言。氏は,嚥下機能だけでなく,全身状態・呼吸・消化機能・認知・排泄・栄養状態・心理状態など,さまざまな視点からアセスメントを行って初めて摂食・嚥下障害を正確に評価できると指摘し,患者の全体像を捉えることの重要性を訴えた。また,自身の臨床経験から,摂食・嚥下障害患者は,「何をどのぐらい,どのように食べるかを判断する時期」に該当する先行期に問題がある場合が多いことから,「先行期の診断指標を取り入れた看護診断項目などがあれば,臨床現場で看護診断がより使いやすくなる」と提言した。最後に氏は,看護診断は看護実践までのプロセスの一つと述べ,実際に行われた看護実践の検証も大切であると語った。
鎗野りか氏(北野病院)は,終末期がん患者へのケア提供において,「中範囲理論」を活用することの有効性を述べた。氏は,中範囲理論が個々の事実や認識を統一的に説明し,予測可能な普遍性を持つ体系的知識になると説明。中範囲理論の理解が深まることで,自身の看護実践の客観的な評価が可能となり,また診断指標を覚えていない場合でも情報整理や状態把握,関連因子の発見,適切な介入の実施ができるという見解を示した。さらに,氏が日常の臨床現場で使用する中範囲理論として,Oremの「セルフケア不足理論」と,Larsonの「症状マネジメントの統合的アプローチ」を挙げ,活用例を紹介。氏は,「現場の介入を適...
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