医学界新聞

2012.05.14

シームレスな医師養成を議論

第30回臨床研修研究会開催


 第30回臨床研修研究会が4月14日,大阪国際会議場(大阪市)にて開催された。国立病院機構大阪医療センター(楠岡英雄院長)が幹事病院を務めた今回は,「シームレスな医師養成に向けて」をテーマに初期研修におけるプライマリ・ケア能力育成と卒前・卒後教育の連携に関するシンポジウムが企画された。


楠岡英雄氏
 「初期研修の2年間はできる限り多くの科をローテートすべき」。シンポジウム「初期臨床研修教育におけるプライマリケア能力の育成」(座長=国立病院機構大阪医療センター・和田晃氏,日本プライマリ・ケア連合学会理事長・前沢政次氏)の冒頭でこう強調したのは,自身も研修医時代に全科ローテートを経験した仲田和正氏(西伊豆病院)。専門家としての実力は,"他科との境界領域の知識量"に左右されるとして,「専門家になるのを急ぐ必要は全くない」との見解を述べた。さらには,"自分ひとりだったらどうするか"という危機意識を持つこと,トップジャーナルの総説を生涯読み続けることが,全科的知識を維持していくための要点であると結論付けた。

 山中克郎氏(藤田保衛大)は,医学生・研修医を対象とした教育症例カンファの実例を提示。主訴や現病歴などの情報をもとに,必要となる問診を問いかけ,鑑別診断を3つに絞り込む。この過程においては,主訴や病歴から疾患を想起させる「キーワード」を見つけることのほか,common diseaseに特徴的な症状/所見をパッケージにして聞きまくる問診技法(「攻める問診」)の重要性を教える。こうした実臨床に即した症例検討によって診断推論能力を高めるとともに,患者さんの声にならない訴えを聴く「やさしい心」を育むことが肝要である

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