MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内
2012.01.23
MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内
小野 哲章,渡辺 敏 監修
加納 隆,廣瀬 稔 編
《評 者》松木 恵里(昭和大学病院看護部教育担当看護師長補佐/集中ケア認定看護師)
ME機器全般を網羅し,使用目的ごとに理解しやすくまとめられた1冊
医療現場には多くの医療機器(ME機器)があふれています。それを安全に使用することが看護師の役割でもあります。ME機器を使用している患者さんを受け持つ際,初めてもしくは経験が少ないときは,機器の管理や使用方法などとても不安で,ポイントを他のスタッフに確認したりマニュアル本を見て理解していることと思います。『ナースのためのME機器マニュアル』はそのようなときに活躍する1冊です。
本書の冒頭には,「I 医療機器を安全に使用するために」と題して,医療安全という観点からの記載がされています。これに続いて,トラブルの多い,電気設備や医療ガスについて書かれています。これらはME機器を安全に使用する意識付けになっています。
各項目は,機器のメカニズムと役割,取り扱い手順,使用前・使用中・使用後の点検項目と続き,最後に使用時によく起こるトラブルとその対応,といった流れで構成されています。「心電計」を例にとると,心電図の持つ役割や実際に使用する際の電極の装着手順,交流雑音といった具合です。
機器の原理や特徴を理解して使用することは,医療安全という面でも大切なことですが,「II-9 肺動脈カテーテルと心拍出量測定(スワンガンツ・カテーテル)」では,心拍出量測定の原理についてとてもわかりやすく書かれており,理解しやすくなっています。「輸液ポンプ」のフリーフロー現象,「シリンジポンプ」のサイフォニング現象をはじめ,起こりやすいトラブルがNOTEなどにもまとめられています。
あえて苦言を呈すならば,電極の装着位置についての図では,肋骨と電極の位置がありますが,心臓を記入し,心臓のどの位置に電極を取り付けているのかを目で見てわかるほうがさらに理解しやすいと思います。また,スワンガンツ・カテーテルは循環器疾患ではよく使用しますが,他科では接する機会が少ないものです。スワンガンツ・カテーテルを挿入された患者さんを受け持った際に初めて学習することが多いため,右心系だけでなく心臓全体の図で説明があるとよりよいと感じました。
全体の構成として,ME機器全般が網羅され,原理・原則に基づいて記載され理解しやすいようになっています。その一方で,内容は簡潔にまとめられ,使用目的ごとに項目が分かれていて,調べやすく,理解しやすくなっています。全体的に図表が多く,レイアウトもよく,何が大切で特に注意すべき点がわかりやすいのも本書の特徴でしょう。新人だけでなく,機器を取り扱う看護師,また指導する看護師も根拠を持って説明ができるマニュアル本になっていると思います。
AB判・頁224 定価2,940円(税5%込)医学書院
ISBN978-4-260-01192-1
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