医学界新聞

2011.10.24

MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内


精神科退院支援ハンドブック
ガイドラインと実践的アプローチ

井上 新平,安西 信雄,池淵 恵美 編

《評 者》萱間 真美(聖路加看護大教授・精神看護学)

現在入手し得る最新・最良の実践ガイドライン

 ガイドラインは何のために作るのだろうか。ケアの質を保ち,根拠を示し,ケア対象者にとって最良の結果をもたらすためである。私自身も,これまでいくつかのガイドライン開発を試みたことがある。作る側には緻密で膨大な作業量が要求される。いったん提示すると,専門家から多様な意見をいただくことが多く,その統一に苦労する。最新の知識はたちまち過去のものとなって,更新が必要となる。それら幾多の困難を経てガイドラインが世に出たとき,意外な反応を得ることがある。それは,「私たちが管理者や経営者にケアの必要性を説明するとき,自分たちの考えだけでは取り上げてもらえない。しかし,ガイドラインとして形になったものを示すことで権威付けがされ,具体的な検討に結び付く」というものだ。そうか,そんな使い方をしてもらえるのだと,新鮮な気持ちを持つことがある。

 本書には,わが国の精神保健医療福祉領域における豪華絢爛なメンバーによって,現在入手し得る最新の,そして最良のガイドラインが提示されている。治療体制作り,退院困難要因の評価方法,退院支援プログラム,薬物療法,...

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