医学界新聞

2011.09.26

MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内


ケアする人も楽になる
認知行動療法入門 BOOK1BOOK2

伊藤 絵美 著

《評 者》谷 紀子(厚生中央病院医療安全管理室看護師長)

自分のケアを後回しにして他人のケアはできない

 院内で医療安全管理者をしている私は,院内外問わず,会う人に自分の仕事を紹介するたび「ストレスが多くて大変そうですね」と同情の目を向けられることが多い。肝心の自分自身はというと,周囲に指摘されるほど大変なのか,正直よくわからなかった。

 ところが最近,記念日でもないのにバッグや貴金属など,自分でも驚くような高額な買い物を立て続けにするようになった。「ひところ前に流行った映画のお買い物中毒のヒロインみたいだな」などとのん気に構えていたが,友人に「それって仕事が相当ストレスなんじゃない?」と指摘され,「もしかして自分が思っている以上にストレスなのかもしれない」とふと不安になった。ちょうどそんなときにこの本に出合った。

 認知行動療法? ケアする人も楽になる? 認知行動療法という名前を聞いたことはあったが,どのような内容で,どのようなときに活用できるのかは全く知らなかった。本の帯には「切り抜け方を学べるから,次の危機にも対処できるんだ!」と書いてある。「危機って,そんな大げさな……」と思いながらも,題名にある「ケアする人も楽になる」に目を引かれた。

 認知行動療法とは,自分のストレスのありように気付き,そこで生じている認知(頭に浮かぶ考えやイメージ)と行動(外から見てわかる動作や振る舞い)をコーピング(意図的に対処)すること,とある。本の中には,なじみはあるがいまひとつピンとこなかったカタカナ語も一つずつ丁寧に解説されており,ほどよくゆとりが設けられたイラ...

この記事はログインすると全文を読むことができます。
医学書院IDをお持ちでない方は医学書院IDを取得(無料)ください。

開く

医学書院IDの登録設定により、
更新通知をメールで受け取れます。

医学界新聞公式SNS

  • Facebook