第2回日本プライマリ・ケア連合学会開催
2011.08.01
今,プライマリ・ケアの飛躍のとき
第2回日本プライマリ・ケア連合学会開催
第2回日本プライマリ・ケア連合学会が,7月2-3日,ロイトン札幌(札幌市)にて開催された。草場鉄周大会長(北海道家庭医療学センター)のもと,「時と人をつなぎ今飛躍の時へ」をテーマに開催された今回は,職種・地域を超えてプライマリ・ケアに携わる医療者が参集。知識とスキルを共有し,良質なケアの提供につなげようと,会場各所で熱心な討論が交わされた。
時を越え,人をつないで伝わるプライマリ・ケアの価値
草場鉄周大会長 |
最後に氏は,確かな臨床能力や確固たるアイデンティティ等が,町医者から家庭医療専門医へ「時」を越えて伝承されること,職種を超え「人」をつないで,切れ目のない医療ネットワークが実現できることを強調。一人ひとりを大切にする上質な医療をすべての人に提供し,日本全体の医療の質向上を図るときこそ,プライマリ・ケアの飛躍のときだと結んだ。
患者一人ひとりの「病い」の背景を知る
「患者中心の医療」の技法(Patient-centered clinical method;PCCM)は,1970-90年代にかけカナダ・ウェスタンオンタリオ大で開発された。患者一人ひとりの背景や思いも含む「病い」を受け止め,個別性のあるケアを提供するこの概念は,プライマリ・ケアの現場には必須といえる。シンポジウム「患者中心の医療――過去・現在・未来」(司会=草場氏,あさお診療所・西村真紀氏)では,真の「患者中心の医療」をどう創出するかが議論された。
Thomas Freeman氏(ウェスタンオンタリオ大)は,PCCMの6要素である(1)疾患と「病い」両方の経験を探る,(2)全人的な理解,(3)共通の理解基盤の発見,(4)予防・健康増進の導入,(5)患者・医師関係の強化,(6)実行が可能,を提示。患者と医師が問題・ゴールを共有し役割を分担する(3)が特に重要だとした。PCCMには患者満足度の向上や身体症状の改善のほか,医師の満足度向上,医療過誤・コスト減少などの効果も確認されている。氏はトラウマの多い現代社会にこそ,言語化されない兆候も察知するPCCMが必要と結論付けた。
石垣靖子氏(北海道医療大大学院)は初めてホスピスを訪れた際,"ふつうに生き,ふつうに死んでいく"ことの価値を知った。...
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