医学界新聞

2011.06.20

MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内


EPカンファレンス 第2版
症例から学ぶ不整脈・心臓電気生理

宮崎 利久 著

《評 者》青沼 和隆(筑波大大学院教授・循環器内科学)

一例一例の症例から学ぶ臨床不整脈学

 1990年代初頭からわが国でも高周波カテーテルアブレーション治療が開始され,それまでの抗不整脈治療一点張りの治療から,徐々にカテーテルアブレーションやデバイスへと治療のアームがシフトし始めていた1998年に本書の第1版が出版され,その後,はや13年が経過した。

 初版が出版された1998年当時は,発作性上室性頻拍症の治療が主体であり,基本的な電気生理学的知識の検証とそれを利用したカテーテルアブレーション治療の成績向上が大きな課題であった。すなわち成功例から得られた局所電位の解析結果から新たな電気生理学的知識を生み出し,その結果によってさらなる治療成績の向上が得られるという,ポジティブなサイクルに押されて,これらの基本的な頻拍における電気生理学的知識の完成と治療成績の向上が図られていた。

 また1990年代後半から2000年にかけては,特発性心室頻拍症や心房頻拍症の治療が開始され,その成功例から得られた電気生理学的知見により,これらの頻拍の機序の解明がなされるに従い治療成績の大幅な向上が得られるという,全く新しい臨床不整脈学の始まりの時期であった。

 さらには2010年を過ぎて,基礎心疾患合併心室頻拍,発作性心房細動,特発性心室...

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