医学界新聞

2011.05.30

MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内


看護にいかすリーダーシップ 第2版
ティーチングとコーチング,場面対応の体験学習

諏訪 茂樹 著

《評 者》金井Pak 雅子(東京有明医療大教授・看護管理学)

リーダーシップを身につけるトレーニングに最適の書

 リーダーシップは,組織における永遠の課題である。看護において,看護師が最初にリーダーシップという言葉を耳にするのは,チームリーダー研修のときであろう。特に病院では,それまでチームメンバーとして患者のケアを遂行する役割から,チームをまとめるという役割を担うことになる。そのようなとき,何を頼りにリーダーシップスキルを身につけるのか,看護師にとっては大きな課題である。

 本書は,そのような方々への救世主ともいえる具体例が豊富に紹介された本である。マネジメントに関する本は,とかく固い表現や難しい理論が紹介されることが多い。しかし本書は,著者の研修担当者としての豊かな経験を基に,大変読みやすい表現で書かれている。

 理論編では,よく使われる理論がわかりやすく解説され,さらにトレーニング編では,リーダーシップ研修の実際,そしてリーダーとしての役割における発達対応モデルに基づく具体的トレーニングが大変わかりやすく紹介されている。特に,それぞれのトレーニングに関して,そのねらい,時間や人数,準備,進め方などコンパクトにまとめられ実践しやすい内容である。

 本書を手に取りながら,具体的に進めていくことも可能なように「気づきノート」として自由に書き込めるページがあるのも特徴である。ただ読み進める本ではなく,活用しながら自然と内容が学習できる仕組みである。

 本書は,第2版ということで初版に比べて,色刷りとなっている。これも読みやすさを推進している。色刷りといってもうるさい色ではなく,さりげない配色なので目にもやさしい。

 本書を使ってトレーニングを受けた看護師が,その後管理職となりさらなるリーダーシップを発揮する場面において,本書を活用することになるであろう。経験を積んでから本書を読み返すことで,自己のリーダーシップスキルを振り返ったりすることができる。したがって,比較的若い看護師から,経験を積んだ看護師まで使うことができる本である。

A5・頁184 定価2,100円(税5%込)医学書院
ISBN978-4-260-01209-6