医学界新聞

2010.03.08

ER型救急医のネットワーク構築をめざす


 EM Alliance Meetingが2月13日,名古屋掖済会病院(名古屋市)にて開催された。近年,ER型救急をめざす医師は増加しているものの,横のつながりが薄く,孤軍奮闘せざるを得ない状況があるという。そのため,ER型救急に従事している,あるいは興味を持っている若手医師が互いを支え合うネットワークを構築するために,米国の救急レジデントの集まりであるEMRA(EM Resident's Association)にならい,昨年設立された。今回初めて開催されたmeetingは,研修医を中心に,90人を超える参加者を集めた。

 当日はまず,本会の相談役である岩田充永氏(名古屋掖済会病院)による講演が行われた。氏は,正しい知識,確実な技術を身に付けるには,日常診療の1回のチャンスを大事にし,経験や発見を理論化してまとめる重要性を説いた。また,他科や他職種との連携の機会の多いERでは,集団を正しい方向に導く能力や,自身のダメージコントロールが不可欠だと強調。自分の立ち返る場を持つことが重要だとした。

 続いて,コアメンバーである長谷川耕平氏(Harvard Emergency Medicine, BWH/MGH)と小山泰明氏(聖マリアンナ医大)が,Morbidity & Mortalityカンファレンス(M&M)と症例検討を行った。M&Mは,死亡症例や重大な合併症を起こした症例について検討会を開き,システムや環境,組織の改善の糸口を見つけ,医療の質向上につなげるというもの。近年責任追及ではないこの手法が注目されており,MGHでは2週間に一度開催しているという。長谷川氏は症例を提示し,どのようなエラーが患者の死を引き起こしたのかをひもときながら,日本でも“魔女狩り”ではないM&Mを行うことの重要性を示した。小山氏も,卒後3年目の後期研修医が経験したという設定で産婦人科の症例を提示し,参加者とディスカッションをしながら検討を行った。また,プログラムの最後には,クイズ形式の参加型学習を実施。3チームに分かれ,互いの知識を競い合うなど,充実したプログラムとなった。

 今後は,年2回のmeeting,教育や臨床研究,ML上での意見交換などさまざまな活動を通して,ERの普及とさらなるネットワークの構築に努めるという。

HPhttp://www.emalliance.org/wp/
問い合わせ先yasukoya19790828@yahoo.co.jp(小山)

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