医学界新聞

2009.10.05

個に対応できる褥瘡対策の構築を

第11回日本褥瘡学会開催


 第11回日本褥瘡学会が9月4-5日,美濃良夫会長(阪和第一泉北病院)のもと,大阪国際会議場(大阪市)にて開催された。「個への対応」をテーマとした今回は,個々の患者で異なる多様な褥瘡にいかに対応していくか,臨床現場に根差した議論が行われた。本紙では,そのもようの一部をお伝えする。


DESIGNとDESIGN-Rはどのような役割を果たすのか

美濃良夫会長
 教育講演「DESIGNの使い方の基本」では,北川智美氏(彦根市立病院)がDESIGNについて解説。2002年に開発されたDESIGNは,深さ,滲出液,大きさ,炎症・感染,肉芽組織,壊死組織,ポケットの6項目から成る褥瘡状態判定スケールであり,現場に浸透しているが,評価者によって点数が異なるなどの問題が指摘されている。

 氏はこのような現状を概説した上で,臨床現場における疑問を具体的に提示。急性期褥瘡におけるDESIGN使用の是非については,使用してもよいが,頻回な観察や記録が必要であり,創の変化が停止してからの治療方針決定が重要であると強調した。また,氏が所属する彦根市立病院では,栄養管理,薬剤指導,リハビリテーション介入などにおいてもDESIGNを活用していると紹介。褥瘡状態の推移をチームで共有することで効果が出ていると語った。

 シンポジウム「DESIGN-R」(座長=東大大学院・真田弘美氏,滋賀医大・立花隆夫氏)では,昨年改訂されたDESIGN-Rについて,その使い方や有用性が議論された。はじめに座長の立花氏が,DESIGNは褥瘡個々の経過評価は可能であったものの,患者間の重症度評価比較や絶対的評価ができなかったと解説。これを克服するために作成したのがDESIGN-Rだが,難治性潰瘍などについてはDESIGNを用いたほうが簡便かつ有用だとし,2つを併用していく方向性を示した。

 次に,松井優子氏(金沢大大学院)がDESIGN-Rの開発について報告。DESIGNのどの項目が褥瘡の重症度に影響するのかについて調査し,影響度(重み)を算出したという。これにより,重症度の絶対的指標が提示され,臨床におけるアウトカム指標として使用が可能になったと述べた。

 続いて座長の真田氏がDESIGN-Rの使用...

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