第35回日本看護研究学会開催
2009.09.21
第35回日本看護研究学会開催
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川嶋みどり会長 |
シンポジウム「アカデミック・ナーシング・プラクティス」(座長=日赤看護大・小原真理子氏,神奈川県立保健福祉大・村上明美氏)では,研究的な視座から看護の質向上のために行われている取り組みが紹介された。
泉キヨ子氏(金沢大)は,臨床・教育・研究の統合を目的として地域に根差した活動を続けている「看護実践学会」について報告。学会の前身である研究会は1983年に設立され,県内の臨床と教育の看護職が,看護の発展のために有効な情報の交換や活動成果を発表し合う場になっているという。学会発表には講評の時間を設けたり,褥瘡ケア,糖尿病ケアなどテーマ別に分かれた共同研究を行うなど,さまざまな実践について紹介した。
武田利明氏(岩手県立大)は,局所の罨法を例に,技術研究をいかに臨床へ還元していくかについて語った。薬液が漏れたとき,冷罨法や温罨法,リバノール湿布などを実施するが,その選択は個々の看護師の判断に委ねられているのが現状だ。氏はこれに注目し,臨床と連携して優れた看護実践の実践知を抽出するとともに実験研究を行い,より高いエビデンスとして冷罨法を支持した。
鎌倉やよい氏(愛知県立大)は,公立の大学の役割として教育や研究の成果を地域に還元することを挙げ,地域の看護職を対象に開催している「フィジカル・アセスメントセミナー」について紹介。看護研究者が研究によって得られた新しい知識や技術を臨床の看護師に提供することで,看護実践の成果が積み重ねられ,エビデンスや新たな看護プログラムの開発に繋がると語った。
聖路加看護大は,市民が適切な健康情報を得ることのできる場として健康ナビスポット“るかなび”を開設。ここでは,専門職ボランティアによる健康相談,健康チェックなどが行えるという。菱沼典子氏は,地域貢献というだけでなく,学部学生の演習の場や院生の研究フィールドになるなど,さまざまな可能性を秘めた場であり,実践・教育・研究のさらなる統合が課題だと述べた。
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