「気がつくと中間管理職」でいいのか(井村 洋)
連載
2009.02.16
医長のためのビジネス塾
〔第1回〕「気がつくと中間管理職」でいいのか
井村 洋(飯塚病院総合診療科部長)
「経営などには全く無縁で臨床医をやってきた。気がつくと中間管理職。このままでいいのだろうか?」そんな違和感を持ちながらも管理職を続けてきた私は,昨年“経営者塾”という名称の社内研修を経験しました。
社内研修とは,その名のとおり会社や組織のメンバーが,その会社内で受ける研修のことです。そういう意味では,研修医教育は一種の社内研修と言えます。また,各病院内で中堅医師を対象に行われている指導医講習会も,社内研修のひとつです。ただし,今回私が受講したものは,そのような医療関係の知識・技能についての研修とは異なるものでした。経営者塾と名付けられているように,研修の習得内容は次世代の経営リーダー候補者,つまり現在の管理職にとって不可欠な経営基礎科目でした。
今回の科目は,マーケティング,企業戦略,財務分析,ファイナンス,プロジェクト・マネジメント,論理的思考の6教科でした(表)。各教科を履修した後に,与えられた経営課題に対して学習成果を活用した提案を発表するまでのグループ・プロジェクトを実施して修了に至りました。
表 “経営者塾”シラバス | ||||||||||||||||||
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受講者は総勢30名。当院からは,私と看護師長,経理課長,資材課長の4名。他の参加メンバーの所属は,医療コンサルタント,教育,福祉,人材サービス,IT技術,建設,製造,環境,セメント業と,多彩な職種を抱えている当グループ企業の特色を示していました。
“経営者塾”の研修プログラム
研修は,毎月2日間(9:00-18:00)を9か月繰り返すスケジュールです。研修方法は,双方向性のレクチャー,ケース・スタディ,グループ・ワークなど,能動的な学習を意図して設計されていました。このあたりは,昨今の医学教育と同様で,成人学習の理論が導入されています。この研修プログラムと講師陣は,C社から提供されていました。同社は,企業研修のさまざまなプログラムを開発・設計して,多くの大手企業に研修を提供しています。
私自身はこの研修を受講するまで,管理職を対象とした社内研修プログラムの存在を知りませ...
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