医学界新聞


災害看護支援機構を発足して

寄稿

2008.01.28



【投稿】

災害に負けることのない豊かな社会の構築をめざして
災害看護支援機構を発足して

山﨑 達枝(NPO法人災害看護支援機構・理事長)


 近年,各地で災害が頻繁に発生し,臨床そして教育の場で災害への備え,職員や学生に対する継続教育が求められている。

 しかし,災害現場を経験した医療者は増えてきているものの,医学・看護における災害学の確立はまだまだこれから。院内で現任研修を企画して実施できるリーダーは数少なく,教育現場でも災害看護学として指導できる教員は限られているのが現状だ。各施設でのまだ来ぬ災害に対する備えも,以前と比べて意識が高まってきているが,十分とは言えない。

 私たちは,災害看護の指導者の育成と災害に対する啓発活動の必要性を強く感じ,2006年10月,NPO法人として災害看護支援機構を設立した。コアメンバーは教育・臨床現場で長く災害看護に携わってきた小原眞理子氏(日本赤十字看護大),黒田裕子氏(阪神高齢者・障害者支援ネットワーク),酒井明子氏(福井大)と私の4名。顧問には柳田邦男氏を迎えた。

 設立趣旨に「被災者やその地域,関係者に対して災害看護支援および支援活動が実践できる人材の育成を行うこと」を掲げ,現場に送る看護職を育てることはもちろんのことだが,指導者を育てていくことを大きな目標としている。

 2009年度から看護基礎教育で実施される新カリキュラムにおいて新設された統合分野で,「災害直後から支援できる看護の基礎的知識について理解する内容とする」との一文が盛り込まれた。実践的かつ主体的に学べる教育計画の立案が急務となっているが,救急の経験はあっても,災害現場の経験をもつ看護教員は少なく,臨場感をもって教えることができないという戸惑いの声が聞こえてくる。このようななか,現場に行こうとしている看護教員,カリキュラムの構...

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