医学界新聞

2007.09.10

 

間口を広くとり,深みを失うことなく

松村理司(洛和会音羽病院長)


 諏訪中央病院での「教育回診」の試みについて,年長医としての感想をいくつか述べてみたい。

 第一は,この種の「教育回診」の通奏低音ともいうべき「民主的な議論に基づく科学的なチーム医療」が,日本ではまだまだ発展途上でしかないことの確認である。諏訪中央病院の歴代の院長である故今井澄先生や鎌田實先生は,地域医療の名にし負う牽引車でおられたが,卒後臨床教育の具体的方法論に関しては,同院といえどもなお改善の余地があることが伺える。「教育回診」の原形は,19世紀末のジョンズ・ホプキンス大学でのウイリアム・オスラーの取り組みに遡るので,約100年に及ぶ日米の差と考えざるを得ない。

 第二は,「教育回診」によって鍛えられた初期・...

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