第39回日本医学教育学会開催
卒前卒後の地域医療教育を考える
2007.09.03
卒前卒後の地域医療教育を考える
第39回日本医学教育学会開催
第39回日本医学教育学会が7月27-28日の両日,佐藤俊一会長(岩手医大)のもと,ホテルメトロポリタン盛岡(盛岡市)にて開催された。メインテーマを「地域医療と医学・医療教育」とした今回は,医師不足など地域医療が抱える問題に関し議論が深められた。また,盛岡市出身で国際連盟事務次長などを歴任した新渡戸稲造にちなんだプログラムも企画された。本紙では,卒前卒後の地域医療教育に関するプログラム2題と,昨年から始まった日韓医学教育学会交流事業の一環として企画された招請講演のもようを報告する。
地域基盤型教育の新たな挑戦

フリンダース大では,一部の学生が過疎地域にある総合診療クリニックや小規模病院で1年間の実習を行っている(1グループ8人構成で,計4グループ)。診療科ごとのブロックローテーションはなく,“どのような患者が受診するか”で学ぶ内容も変わる。大学はeラーニングによって,学生の学習をサポート。従来どおり大学病院や市中病院で臨床実習を行う学生もいるが,地域で実習した学生のほうが臨床能力に優れており,学生の満足度も高いという。さらには,卒後に過疎地域で働く医師が増えるなど,労働力としての成果もあがっており,オーストラリア政府もこの地域基盤型教育を推進。他でも同様の試みが始まっていると報告した。
会場からは「教える側の質をどう担保しているのか」との質問が出た。これに対して氏は,臨床医のためのセミナーや修士レベルの教育課程を紹介するとともに,「当初は教育に自信のない一般医もいたが,もともと教育者としての資質があるので大きな支障はなかった」と答えた。また,市内と過疎地域のどちらで実習を行うかは学生の希望をもとに決めているが,過疎地域でのカリキュラムのほうが人気だという。理由は,市内での実習と遜色ない臨床能力の獲得が担保されているうえ,家賃が安いという経済的理由もあるとのことだ。
地域医療研修の意義と課題
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