医学界新聞


より良い医療のためにパスができること

2007.07.30

 

より良い医療のためにパスができること

第9回日本医療マネジメント学会開催


 第9回日本医療マネジメント学会が,さる7月13-14日の両日,落合慈之会長(NTT東日本関東病院)のもと,グランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)にて開催された。大会テーマは「医療のより良い提供体制とより良い利用方法を求めて――限りある医療資源を有効利用するために」。

 リスク管理・医療安全のためのカルテレビュー実践講座や,“医療連携室”“7:1看護基準”の話題について,さまざまな立場から自由かつ忌憚のない意見を交換するフリートークセッションなども企画された。


医療者とともに患者が積極的に治療に取り組む時代

 落合氏の会長講演「医療のより良い提供体制とより良い利用方法を求めて」では,自施設の理念を提示し「患者のみでなく,職員も幸せにできる職場が必要」と,職員同士信頼し合い働くことに満足できる体制が,医療の質・安全につながると述べ講演を始めた。

 チーム医療の定義が医師中心の医療から,各専門家の協働チーム,患者を中心とした医療へ変遷していることを説明し,これからめざすべき究極のチーム医療として,「国民一人ひとりが予防も含め健康に留意し,日常の健康不安はかかりつけ医に相談し,手術が必要な際,病院を紹介してもらう。病院は速やかに対応し,患者さんは自分の病気や検査の理解に努め,積極的に治療に協力する。病院スタッフは説明を惜しまず行い,治療を終えれば,かかりつけ医に診てもらう。そして,患者さんの情報を病院とかかりつけ医が緊密に交換していくこと」と示し壇を降りた。

パスを用いた教育・標準化

 特集「クリティカルパスの最前線」(座長=国立病院機構仙台医療センター・櫻井芳明氏,国立病院機構熊本医療センター・野村一俊氏)では,最初に「クリティカルパス大会成功のポイント」と題し勝尾信一氏(福井総合病院)が口演。「クリティカルパス大会を成功させるには目的の設定・明確化がいちばん重要」とし,目的が明確であれば,目的に合わせた開催方法を計画,事前準備を周到に行う,大会成功のポイントが自ずと押さえられると説明。また,院外への公開により発表者のモチベーションを上げる,院長・看護部長・事務長など上層部の出席を義務化し,問題点の解決が直ちに実行できるようにするなどのアドバイスを提示し口演を終えた。

 続いて,松島照彦氏(筑波記念病院)は,「医療の標準化を推進,徹底するための必須ツールがクリティカルパス」と強調した。標準化は1つの方法に固定化することではなく,標準的な様式で予め計画しておき,バリアンスに応...

この記事はログインすると全文を読むことができます。
医学書院IDをお持ちでない方は医学書院IDを取得(無料)ください。

開く

医学書院IDの登録設定により、
更新通知をメールで受け取れます。

医学界新聞公式SNS

  • Facebook