医学界新聞


精神科医療者に求められる薬による“身体副作用”の知識

2007.06.25

 

精神科医療者に求められる薬による
“身体副作用”の知識

医学書院スキルアップセミナーの話題より


 さる5月12日と6月17日の両日,福岡・大阪において,医学書院スキルアップセミナー「精神科医療者に求められる薬による“身体副作用”の知識」(主催:医学書院,後援:日本精神科看護技術協会,協賛:大塚製薬株式会社)が開催された。近年,看護職のあいだで,フィジカルアセスメントの技術向上に対する関心が高まっている。本セミナーでは,特に精神科での薬物治療における身体的な副作用に焦点を当て,その観察のポイントと対処法について講演が行われた。本紙では福岡会場のもようを報告する。

患者さんのQOLを考えた適切なドーパミンコントロールを

 第1部では,精神科病院に勤務する内科医の立場から長嶺敬彦氏(清和会吉南病院)が講演。「統合失調症は脳の病気であり,こころの問題が先にあるのではない。薬物療法は常に脳科学を応用したサイエンスに基づいて行われるべき」と指摘。さまざまな陽性・陰性症状を抑えこむために多剤併用や大量処方に傾きがちな精神科治療の現状に警鐘を鳴らした。

 続いて錐体外路症状,誤嚥性肺炎など抗精神病薬が要因となって身体に及ぼす副作用の発生機序を,薬理作用や具体的な症例を挙げながら詳しく解説。終盤には「疾患モデル」としての統合失調症と糖尿病の治療パラダイムの類似性について説明。“適切なドーパミン遮断”を“適切な血糖コントロール”になぞらえて,妄想をないものとするのではなく「気にならない」レベルにする,患者さん一人ひとりのQOLを考えた治療の重要性を強...

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