東北編
連載
2007.05.14
臨床研修の歩き方 Think Globally, Act Locally | |
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佐久間敦 | |
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(前回2727号)
今回は,東北地域の臨床研修の取り組みを紹介します。東北地域は医師不足が顕著との報道が連日のように話題となっていますが,一方で臨床研修に関しては,その充実・強化が進行しています。
制度施行前より研修医数は増加
まず現状ですが,東北で研修する研修医は,1-2年次合わせて約900名います。新制度の施行前後(平成15年度と18年度)の研修医数(採用数)を比較すると,69名増加しています。昨年度のマッチングの結果も一昨年度とほぼ同様の数字ですので,この傾向は変わらないと考えております。これらは,各臨床研修病院の努力の結果ですが,東北管内の医学部定員が550名ですので,当面これを目標としてさらなる努力が必要と考えています。東北厚生局当局では,昨年度,「東北ブロック臨床研修の充実強化に関する懇談会」を設置し,昨年3月にその報告書が取りまとめられました。この報告書では,「地域において研修医を育てる体制の構築」が命題として示されています。各地域に対しては,地域の協議会等を活用し,臨床研修に関して地域で何ができるかを議論し,その方針にもとづいて積極的に事業を進めていくべきと提言されています。また,当局に対しては,地域の協議会,管内の臨床研修病院に対する支援を実施するよう提言されています。
この報告書等を踏まえ,当局では,管内の臨床研修病院,地域の協議会等の活動が円滑に進むようさまざまな事業を展開しています。例えば,臨床研修の質の向上を図るために,臨床研修指導医ワークショップ,指導医講習会世話人養成研修会,先進的な研修病院を紹介する事例発表会を開催するとともに,臨床研修病院の実地調査を実施しています。また,医療安全対策,院内感染対策の充実を図るため,それぞれ病院を対象としたワークショップを開催しています。
また,学生・研修医への情報提供の促進のために,臨床研修に関する合同説明会および,いわゆる後期の合同説明会等を各県と共催で開催し,管内の臨床研修病院を紹介する小冊子の発行,HP上での各病院とのリンクを貼ることも実施しています。
研修医対象のOSCE,キャリアパス構築の懇談会
当局の実施するものに加えて,各地域においてもさまざまな取り組みがなされています。青森県,秋田県,岩手県,福島県では県単位での協議会を設置し,指導医講習会を開催するなど臨床研修の充実強化を進めています。その中でも岩手県では,協議会の下部組織として設置するワーキンググループを通じた指導医のネットワークが構築されるなど,病院間・指導医間の連携が進んでいます。また,研修医の形成的評価のために県内のすべての研修医を対象としたOSCEを実施するなど,研修医のみならず,臨床研修病院の指導の向上に役立つ施策を進めています。その他の地域でも,協議会等を通じて臨床研修の質の向上を図る取り組みを進めているところです。さらに,医師のキャリアを考えた場合には,初期研修と後期研修の繋がりが重要であると認識しており,当局においては,前述の懇談会報告書の提言を踏まえ,「地域において医師を育てる体制(キャリアパス)の構築」に向けて,本年1月から当局局長の私的懇談会を設置し,その検討を進めているところです。
このように,東北地域においては,各県庁および管内の臨床研修病院が臨床研修の充実強化に向け積極的に対応しており,当局も支援を続けています。東北地域において研修する医師が満足し,かつ全人的な診療能力を修得し,一人前の医師として羽ばたいていただけるよう,一丸となってその体制づくりを進めているところです。医学生・研修医の皆さま,指導医の皆さまもぜひ一度,東北管内の臨床研修病院を覗いてみてください。
(つづく)
佐久間敦
1996年北大医学部卒。同年,厚生省入省。以後,厚生省健康政策局総務課,大臣官房統計情報部人口動態統計課,総務省消防庁救急救助課,厚生労働省医薬局審査管理課などを経て,2004年5月より東北厚生局健康福祉部医事課長。
この記事の連載
臨床研修の歩き方(終了)
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