文科省「医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」最終報告まとまる
医学教育の課題解決に向けた方針示される
2007.05.14
医学教育の課題解決に向けた方針示される
文科省「医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」
最終報告まとまる
文科省において設置されていた「医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」の議論内容を踏まえ,医学教育に関する課題解決に向けての提言をまとめた最終報告が3月28日付で公開された。
2005年5月に発足した同会議では,これまでにも地域医療を担う医師の養成・確保に対応するための入学者選抜における地域枠のあり方や医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂等について示した第一次報告,さらに地域ごとの医学部における入学定員のあり方について具体的提言を行った第二次報告をまとめている。
臨床・研究両面の教育を充実
まず入学者選抜の改善については,良医の養成が医学部の使命であることを鑑み,入学者選抜時に地域におけるボランティア活動の感想文を提出させることや,AO入試の導入など,評価尺度の多元化を図る旨が示された。また,高校生による大学の講義の受講といった,高校教育と医学教育との連続性についてもその充実や改善を求めるとしている。教育者・研究者の養成等の医学教育の改善については,学部教育においても研究者と臨床医の双方の資質を育むための幅広い教育が求められるとし,これを踏まえた形でのモデル・コア・カリキュラムの改訂を行うことが適当と提言している。さらに,早期から「研究マインド」を育成するために学部生の研究室配属を促進することや選択性カリキュラムの充実を図ることも盛り込まれた。また,学士編入や外国人の受け入れなどといった多様な教育機会の提供,医師国家試験とモデル・コア・カリキュラムの整合性の確保についても指摘されている。大学院教育の改善については,公衆衛生大学院の整備,米国のMD/Ph.Dコースを参考とした早期進学特例の活用,英国のF2プログラム(研修2年目の1年間を基礎研究などの学術活動に専念する)を参考とした研修プログラムの工夫についても触れられるなど,多くの課題について指摘がなされている。さらに,教育者の教育能力開発推進について,基礎医学と臨床医学の教員が共通のファカルティ・ディベロップメントに取り組むことや,教育者に求められる資質等を明確にしたうえでの能力評価の導入とそれに伴うインセンティブの付与などについても言及されている。
モデル・コア・カリキュラム改訂に関する恒常的な体制の構築については,専門的な調査研究を行い,改定の原案を作成する組織(専門研究組織)と関係者が改訂を決定する組織(連絡調整組織)を,文科省を中心に構築することが示され,そのうえで国家試験出題基準にすみやかに対応して改訂を行うとともに,教育効果の検証等を実施していくこととした。専門研究組織としては,共用試験実施評価機構がその実務にあたること,また医学教育等に関するシンクタンクとして機能を発揮することが期待されるとしている。
診療参加型臨床実習のあり方については,単なる知識・技能の習得や診療経験を得ることにとどまらず,実際に医療現場に立った際に必要とされる診断・治療に関する思考力(臨床推論)・対応力または患者とのコミュニケーションがとれる能力を養う点が目的としてあることを踏まえたうえで,診療科単位を超えた教育指導体制の整備や,統括責任者等の責任体制の確立,企画調整組織の設置など,全学的な実施体制の構築が必要としている。また,臨床教授の活用や,学外での実習を視野に入れるとともに,学生に医療チームの構成員としての能力を習得させる機会を充実させるための連携協力体制の構築の必要性についても触れ,実習終了時や卒業時の学生に対する到達目標と評価基準の明確化を図ったうえで,advanced OSCEの実施等により評価・指導の充実を図ることも求めている。侵襲的医行為に関しては,シミュレーターやスキルスラボの活用によって一定の診療技能の確保を徹底するとともに,学生の態度・技能・知識の評価,指導医による指導・監督,患者に対して医学生である旨の明確な紹介といったプロセスを徹底させることとしている。また,個人情報に関する学習・指導の徹底も盛り込まれている。
卒前・卒後教育のつながりを改善
大学病院における新医師臨床研修の充実については,総合診療部等を活用した総合診療方式の導入や,複数の大学が共同してプログラムを提供する等の研修体制の工夫・改善,教育機この記事はログインすると全文を読むことができます。
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