キューバから遠く離れて(石田隆)
寄稿
2007.04.09
【印象記】
キューバから遠く離れて
石田隆(東京歯科大学市川総合病院・研修医)昨夏,慶應義塾大学医学部国際医学研究会第29次派遣団(団長=慶大医学部心臓血管外科講師・志水秀行)は,キューバ政府の下部組織であるICAP(キューバ諸国民友好協会)の受け入れのもと,キューバを訪問し,主に医療視察活動を行わせていただいた。
今回の活動は,知られざるキューバ医療の現状について理解を深めることと,もっと大きく国民性や国としての違いを目の当たりにし,それについて考察するねらいがあった。そういった意味で僕たちは,社会主義国としてのキューバの一面を確かに感じ取り,考える機会を持つことができた。
伝統医学との「共存」を模索

キューバにこれほどまでに東洋医学が浸透していることにたいへん驚いたが,物資不足に悩む中,慣行の西洋医学が提供する大きな利益を維持しながらも,伝統的な医学に再び目を向け利用するという試みがなされているのであった。医療費の高騰が社会問題となっている日本や,世界の多くの国々においても,このような試みが今後の新しい方向性を示すのではないかと感じた。
ハバナ市から車で約2時間のマタンサス県伝統医療開発研究所は,地域の中核病院としての役割を,鍼灸や電気療法などの伝統的な治療方法で果たしている点が特徴的であった。病院に到着すると,外では太極拳を熱心に習う子供たちの姿が見受けられた。太極拳は,健康を維持するためのよい方法として人々に受け入れられているという。病院を入ってすぐの部屋には,木で作られた「太極拳」の文字の大きなオブジェがあり,ここでも中国とキューバのつながりの深さを感じずにはいられなかった。オゾン療法なる聞き慣れ...
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