医学界新聞

2007.01.22

 

MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内


内分泌外科標準テキスト

日本内分泌外科学会 監修
村井 勝,高見 博 編

《評 者》藤本 吉秀(癌研有明病院顧問)

内分泌外科の集大成を要領よくまとめた良書

 内分泌外科が外科の一専門分野として世界的に注目されるようになったのが1979年であった。あれから30年を経て今日成熟期に入り,日本内分泌外科学会監修の標準テキストができあがったことはまさに時宜を得たことで同慶の至りである。

 手にとってみると,今日の内分泌外科の全貌が実によくまとまって紹介されている。外科は手術を中心とした実技の治療学であるだけに,手術適応と手術手技の記載が特に大切であり,本書はそれを十分に満たしている。本そのものも手ごろな大きさである。よく短期間にここまで進歩したものと感心する。

 振り返ってみると,前述のごとく1979年,ノルウェーのベルゲン大学のHeimann教授の呼びかけで,万国外科学会がサンフランシスコで開かれた際に,この分野に関心のある者が集まり国際内分泌外科学会発足の基礎ができた。それ以後1年おきに万国外科学会の一分科会の形で学術集会がもたれ,発表論文はWorld J. Surg.に掲載され,まさにバイブル的存在として珍重されてきた。この会は,万国外科学会の中でも異彩を放つほどよくまとまった仲のよい医師集団で,討議が活発であり内容が抜群に高いのが評判であった。

 それから10年を経て1989年,ようやく日本で内分泌外科学会が創設されたが,当時まだ国内では「内分泌外科」の名称からして目新しかった。昨年5月に第18回学術集会が行われたが,もう内分泌外科も文句なしに外科の重要な一領域を確保するようになった。この30年を振り返ってみると,各種ホルモンの定量,CT,MRI,シンチグラフィなどによる病変の部位診断,さらには超音波ガイド下の穿刺吸引細胞診,多発性内分泌腺腫瘍症の遺伝子診断など,日常の内分泌疾患外科治療に必...

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