MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内
2007.01.01
MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内
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山雄 健次,須山 正文,真口 宏介 編
《評 者》竜 崇正(千葉県がんセンター長)
消化器疾患に携わるすべての医療者必読の名著
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病理所見との徹底的対比の中から得られた診断体系を呈示しているので,病変の形と性状から画像の特徴を整理し,それを根拠に選択すべき検査法を呈示している。
まず病変が限局性かびまん性かで分類する。胆嚢病変では,限局性病変が隆起しているのか,壁肥厚しているのか,隆起性であれば有茎か亜有茎か広基か無茎かを診断し,その隆起病変が可動性か,表面の性状はどうか,に注目して分類している。
胆管病変では,狭窄所見と陰影欠損像,拡張胆管壁の性状をみる。そして狭窄の形がV字かU字か片側性か多発かをみる。陰影欠損像や透亮像では,これに表面の性状を加味して分類がされている。
膵病変では,限局性病変が,充実性か嚢胞性か充実性と嚢胞性の混在かをみる。そして充実性では辺縁の性状が整か不整かをみる。嚢胞では形が類円形か凹凸か,また単胞か多胞かをみる。これに主膵管の狭窄像や拡張像,内部透亮像に注目して分類されている。
これらの形状分類に,超音波画像でのエコーレベル,CTでの血流評価や,MRIの所見などから確定診断が得られる。そしてそこに病理組織所見が対比されているので,読者は「なるほどこの病理所見だからこのような画像になるのだ」と納得することができる。診断に迷ったときは原点に戻って,画像をじっくりよく眺め,病変の形と性状から病理所見を頭に描きながら診断を進める大事さを教えてくれる。
さらにうれしいことには,40数種の重要な疾患の説明をコンパクトにまとめたColumnである。近年変遷する疾患概念を整理してあるので,例えばIPMNとMCNの違いもこのColumnを読むとよく理解できる。その目でもう一度症例をじっくり振り返ると,さらに疾患がよく頭に入るような心憎い構成である。
本書を手にとると,一例一例の積み重ねがどんなに大事かが理解できるであろう。消化器疾患に携わるすべての人に読んでいただきたい名著として推薦する。
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神経救急・集中治療ハンドブック
Critical Care Neurology
篠原 幸人 監修
永山 正雄,濱田 潤一 編
《評 者》金澤 一郎(国立精神・神経センター総長)
神経内科医のみならずあらゆる領域の臨床医必読書
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ところで神経疾患の医療については,診断が難しいだけでなく治療も明確なものがなくて医師としてやりがいがない,などと心無いことをいう人がいまだにいるので困る。神経学領域にも,脳卒中,頭部外傷,てんかん性痙攣,重症筋無力症のクリーゼ,などの本格的な救急症例はあるし,急性脳脊髄膜炎やギラン・バレー症候群なども急いで対応する必要がある。脳卒中以外の疾患は幸いにもあまり多いものではないが,決して侮れるものではない。命にかかわる。自分の経験でも,幸いにも助けることができた場合もあるし,残念ながら力が及ばなかったこともある。
このたび,私の尊敬する篠原幸人先生監修による神経救急と集中治療に関する本格的な教科書が上梓された。この本が,わが国における神経救急の初めての専門書である,と聞いてその事実にビックリした。以前から神経救急の必要性を説かれていた篠原先生が,米国で神経救急を本格的に学んでこられた永山・濱田両先生を編者に据えてまとめ上げられたものである。神経内科医は無論のこと,脳外科医,救急医などあらゆる領域の臨床医の必携の書である。かゆいところに手が届く,とはまさにこの本の読後感であった。悪性症候群,spinal emergency,などを一つの章として扱っているのはユニークでありプラクティカルでもある。内容もきわめて充実している。
本書のもう一つの特筆すべき点は,終章に「精神疾患におけるDo-Not-Resuscitate(DNR)と脳死」と題して,社会的にも注目するべき課題について,そのエッセンスを学べるように編纂されていることである。DNRはいわゆる尊厳死と共通部分を持った考え方であり,わが国でも十分議論する必要がある。いろいろ学べる書であり,考えさせる書でもあり,臨床医にとって必読の書である。
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武藤 徹一郎,幕内 雅敏 監修
川崎 誠治,佐野 俊二,名川 弘一,野口 眞三郎,平田 公一 編
渡邉 聡明 編集協力
《評 者》田林 晄一(東北大教授・心臓血管外科)
病態・治療法が一目でわかる臨床に即した名著
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内容は外科学を学ぶために必要な基礎的知識(病理学,侵襲と生体反応,輸血,免疫学,代謝栄養学等),創傷に対する救命救急の基本的手技と必要な処置,胸部外科,腹部外科および内視鏡外科に関する基本的手技,そして種々の外科的疾患の病態と治療法からなっている。特に,外科的疾患としては消化管,肝胆膵,脾臓・門脈,イレウス,乳腺,呼吸器,心臓大血管,頭頸部体表,内分泌外科,小児外科に分類され,それぞれの分野の代表的疾患について概念,病理・病態生理,臨床所見,検査所見,診断,治療,予防に関して簡潔明瞭に記載されている。図およびイラストが多く取り入れられ,病態および治療法が一目でわかるように配慮され,特に掲載されているカラー図は明瞭で見やすい。
本書は医学部学生の外科学ベッド・サイド研修,自己学習,および卒後初期・後期研修時の教科書的内容をめざして企画,編集されたものであるが,その目的に十分値するものと思われる。外科学の基礎的知識と種々の疾患の病態を,机上でいかにも眼前にそれぞれの疾患症例がいるような感じで学ぶことができる名著で,まさに臨床に即した本であると思われ,推薦に値する。
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カラー図解 これならわかる薬理学
佐藤 俊明 訳
《評 者》柳澤 輝行(東北大教授・分子薬理学)
信頼にたるドイツ医学・薬学の伝統を踏まえたカラー図と説明
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ドイツ語の薬理学書が,共通語の英語に訳され世界中で用いられています。ドイツ医学・薬学の伝統を踏まえた膨大なデータや情報は薬物治療学の共有財産ともいえます。それらを基に,初学者のためを思ってアトラスとして作成された第3版が,佐藤俊明先生のご尽力で翻訳,出版され,心から喜んでおります。手にとってご覧になれば,それぞれの絵が,多くの人は新鮮に思われるはずです。
本書は(1)丁寧な説明の原理・概念の総論,(2)系統別教育にも対応できる各論,(3)学生がマスターすべき高頻度疾患(高血圧症,狭心症,片頭痛,アトピーなど)の治療の3部立てになっています。病態生理,薬物の作用機序と治療メカニズムについて,各項目が見開き2頁で172枚の臨床と関連づけたカラー図を右側に,解説文を左側に配した構成により,言葉とイメージを結び付けて考え,理解することをうながし,記憶を助けてくれます。インパクトがありながら奥深いカラー図のおかげで,数式や概念でとまどいやすい薬物動態(アマチュアの常識では通じない)に対して効率的な理解が得られます。気分の変調や波,時には幻覚を色分けして現してくれる図により,イメージしにくい精神疾患に対する治療薬の経時的な効果と特徴が,一目見て感嘆するほどに鮮明に表現されています。どうしてそうなるのかと疑問がわいたときは,左の頁には原理や概念の記述があり,臨床応用までも体系的に理解することができます。
医療系教育のコアカリキュラム化が進行する中でも,薬学では薬理学が中心です。むしろ,本書を用いて薬理学から医学をマスターしてほしいものです。臨床の現場にでた医療人も,常に考え方,病態生理学と薬物を学びつづける必要があります。折に触れてこのハンディーな教科書を自分の知見と照らし合わせ,理論化しておくことは実際の判断に大いに役立つことでしょう。
A5変・頁396 定価6,720円(税5%込)MEDSi
URL=http://www.medsi.co.jp/
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