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総合リハビリテーション Vol.54 No.10
2026年 10月号
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今月のハイライト
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特集 認知症リハビリテーションの最前線──エビデンスと実践
超高齢社会において,認知症対策は最重要課題であり,アルツハイマー病の疾患修飾薬の登場により新たな段階に入りました.生活機能の維持・向上や行動・心理症状の対処をめざすリハビリテーション治療の重要性も高まっており,医療・介護の現場では,リハビリテーション専門職が最新のエビデンスに基づいて質の高いリハビリテーション治療を提供することが期待されています.本特集では,認知症リハビリテーションの最前線を捉えるべく,運動療法,cognitive interventions,遠隔音楽療法,栄養療法,精神療法,そして,認知症者を支える連携に加えて,情報通信技術の発展に伴い急速に進歩する支援機器を取り上げ,エキスパートの先生方にご解説いただきました.
1.運動療法 島田裕之 氏
身体機能の維持・改善を通じて生活機能全体を支える運動療法は,認知症者の認知機能や行動・心理症状に軽度から中等度の効果を示すことが多くの研究により支持され,非薬物療法として,認知症リハビリテーションの中核に位置づけられている.ただし,運動療法は万能ではないため,ほかの非薬物療法と組み合わせて実施する必要がある.地域包括ケアにおいて運動療法を含めた非薬物療法を実践するうえでは,リハビリテーションチームが中核的な役割を担うことが望まれる.
2.Cognitive interventions 林 博史 氏ら
認知トレーニング,認知刺激,認知リハビリテーションを含む cognitive interventionsは,軽度認知障害者や認知症者の認知機能の維持・向上に有効である可能性がある.近年はコンピュータを活用した cognitive interventionsが広く用いられるようになり,軽度認知障害高齢者においては従来の紙筆式と比較して認知機能の改善に寄与することが報告されている.さらに,virtual realityの導入や eスポーツの応用を含め,今後のさらなる発展が期待される.
3.遠隔音楽療法 小杉尚子 氏
音楽は情動や記憶に働きかけ,歌唱・鑑賞・演奏などを通じて,発声・呼吸,回想,意思表示,そして他者とのかかわりの機会を提供する.音楽療法は認知症者のうつ・不安を含む行動・心理症状,認知機能,日常生活動作に対して一定の有用性があると考えられる.遠隔音楽療法は,音楽療法士の地域的偏在があるわが国において,音楽療法の提供機会の増加に寄与し得る.本稿では,著者らが認知症高齢者を対象に実践した遠隔音楽療法について紹介されている.
4.栄養療法 吉田貞夫 氏
認知症の食事・栄養に関する問題点への対応法は原因疾患によって異なる.食事摂取の状況をチェックし,食事介助,食事内容や食材の調整などを検討する.食事摂取量が低下している場合には,脱水や,心不全などの合併症の有無について血液検査などで検討する.本稿では,栄養療法に関連する認知症の予防・進行防止のエビデンスについて,オメガ3系多価不飽和脂肪酸やビタミンDの摂取,魚の摂取量,地中海式ダイエット,適正体重の維持などが取り上げられ,解説されている.
5.精神療法 布村明彦 氏
精神療法には認知行動療法などがあるが,本稿では回想療法も含めて解説されている.「ヘルスケアサービス利用者・事業者も使用可能な認知症者に対する非薬物療法指針」での推奨とともに,認知症者や軽度認知障害者を対象とした各精神療法,さらに認知症者の家族介護者を対象とした精神療法的アプローチのエビデンスが紹介されている.これらのなかで有効性が示唆されている認知行動療法と回想療法を実践するうえでの工夫についても述べられている.
6.認知症の人を支える人を支える連携のコツ 鈴木幹次郎 氏
認知症外来では認知症の人よりも家族や介護者とのかかわりの難しさを感じることが多い.家族や介護者の発言・態度が行動・心理症状を増悪させているケースや,認知症に関する知識や関心が少なく支援をしないケースも経験する.さらに,社会全体に根強く存在している認知症に対する偏見やスティグマも深刻な問題である.本稿では,認知症の人,家族,介護者をバランスよく支えるためにわれわれが学ぶべきことや,具体的な支え方が提示されている.
7.支援機器 井上剛伸 氏
認知症者・軽度認知障害者向けの代表的な支援機器には,電子カレンダー,服薬支援機器,探し物発見器,認知にやさしいリモコン,記憶支援機器,見守り支援機器,コミュニケーションロボットがある.介護保険福祉用具貸与・購入制度では徘徊感知機器が貸与対象となっている.国の施策は見守り機器の開発や普及促進に加えて,今後は介護テクノロジー全般を対象とする施策が展開されることになる.本稿では,これら支援機器のエビデンスや実践例が紹介されている.
収録内容
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価格については医書.jpをご覧ください。
特集 認知症リハビリテーションの最前線──エビデンスと実践
今月のハイライト
運動療法
島田 裕之
Cognitive interventions
林 博史,他
遠隔音楽療法
小杉 尚子
栄養療法
吉田 貞夫
精神療法
布村 明彦
認知症の人を支える人を支える連携のコツ
鈴木 幹次郎
支援機器
井上 剛伸
●巻頭言
病床再編の時代に問われるリハビリテーション科医の姿
梅本 安則
●入門講座
視覚障害者への対応②
見え方を生活につなぐロービジョンケア──視能訓練士の立場から作業療法士・理学療法士に伝えたいこと
木下 雄貴,他
ロボット介護機器の今⑤
ロボット介護機器の種類と適応(2)コミュニケーション
松本 吉央
●実践講座
せん妄予防のストラテジー②
低活動型せん妄の早期発見と対策
北井 園子
身体障害者診断書(肢体不自由)の書き方──ここがポイント②
認知症や高次脳機能障害があってADLが低下している場合はどのように考えればよいでしょうか?
川上 寿一
●研究と報告
地域在住高齢者の運転特性と運転支援に向けた性差の特徴
上城 憲司,他
●紹介
高齢視覚障害者に対する介護保険サービスで必要な配慮・対応に関する学習動画の紹介
齋藤 崇志,他
●サルコペニア・フレイルに対する領域横断的視座③
アイフレイル
辻川 明孝
●Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
向田邦子の『かわうそ』──脳卒中患者の妻
高橋 正雄
●Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「夜明けのすべて」──病める者たちの連帯と誰もが働きやすい職場を描く
二通 諭
●リハビリテーション関連学会だより
第63回日本リハビリテーション医学会学術集会
Wine & Cheese セッション ヒーローショー




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