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認知症疾患診療ガイドライン2026

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認知症に関する情報を網羅した診療ガイドライン、待望の改訂。定義や疫学、診断、治療、社会資源などの総論的な内容から、Alzheimer型認知症や Lewy小体型認知症をはじめとする原因疾患ごとの具体的な特徴や診断、治療法といった各論的な内容までを幅広くまとめる。近年のトピックである抗アミロイドβ抗体薬(レカネマブ、ドナネマブ)や COVID-19関連、などの内容を盛り込んでいる。

シリーズ 日本神経学会監修ガイドラインシリーズ
監修 日本神経学会
編集 「認知症疾患診療ガイドライン」 作成委員会
発行 2026年05月判型:B5頁:440
ISBN 978-4-260-06553-5
定価 6,600円 (本体6,000円+税)

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神経疾患診療ガイドラインの発行にあたって/序

神経疾患診療ガイドラインの発行にあたって

 日本神経学会では,2001年に柳澤信夫理事長の提唱に基づき,理事会で主要な神経疾患について治療ガイドラインを作成することが決定され,2002年に「慢性頭痛」「パーキンソン病」「てんかん」「筋萎縮性側索硬化症」「痴呆性疾患」「脳血管障害」の6疾患についての「治療ガイドライン2002」を発行しました。
 その後,日本神経学会では「治療ガイドライン2002」の発行から時間が経過し,新しい知見も著しく増加したため,2008年の理事会で改訂を行うことを決定し,さらにそれ以降も関連学会と協力してガイドラインごとに作成委員会を設置して順次改訂や新規作成に取り組んできました。現在では18のガイドラインを書籍やウェブサイトで公表しています。ガイドラインは,当初「治療ガイドライン」として作成されていましたが,2010~2011年に改訂版として公表した「てんかん」「認知症疾患」「多発性硬化症」「パーキンソン病」のガイドラインからは,検査・診断を含めた「診療ガイドライン」として作成・公表されるようになりました。
 認知症疾患に関するガイドラインとしては,根拠に基づく医療(evidence-based medicine:EBM)の考え方に基づいたQ&A(質問と回答)形式を取り入れ,日本神経学会監修のもと「認知症疾患診療ガイドライン2017」が作成され,公表されました。
 今回のガイドラインは2017年版の改訂版で,日本神経学会監修のもと,日本神経治療学会,日本精神神経学会,日本認知症学会,日本老年医学会,日本老年精神医学会の関連学会の協力によりガイドライン作成委員会を構成し,作業を進めて,「認知症疾患診療ガイドライン2026」として公表するに至ったものです。
 「認知症疾患診療ガイドライン」作成委員会の委員,システマティックレビュー委員,研究協力者,評価・調整委員,外部委員には,毎年日本神経学会代表理事に利益相反自己申告書を提出し,日本神経学会利益相反委員会がこれを審査し,重大な利益相反が生じないようマネジメントを行うとともに,その申告状況については本書巻末資料で公表しています。
 本ガイドラインの改訂・作成は従来同様,根拠に基づく医療の考え方に従い,日本医療機能評価機構による『Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020 ver.3.0』に準拠して行われました。

 診療ガイドラインは,臨床医が適切かつ妥当な診療を行うための臨床的判断を支援する目的で,現時点の医学的知見に基づいて作成されたものです。個々の患者の診療はすべての臨床データをもとに,主治医によって個別の決定がなされるべきものであり,診療ガイドラインは医師の裁量を拘束するものではありません。診療ガイドラインはすべての患者に適用される性質のものではなく,患者の状態を正確に把握したうえで,それぞれの治療の現場で参考になるように作成されたものです。
 認知症疾患の治療は日進月歩で発展しており,今後も本ガイドラインの定期的な改訂が必要となります。本ガイドラインを各関係学会員の皆様に活用していただき,さらには学会員の皆様からのフィードバックをいただくことにより,診療ガイドラインの内容は今後よりよいものになっていきます。本ガイドラインが,皆様の日常診療の一助になることを期待しますとともに,次なる改訂に向けて,ご意見とご評価をお待ちしております。

* 本コンテンツのAI技術等への活用は,著作権法(30条の4,47条の5等)の定める範囲においてのみ認められます。第三者への提供を伴う場合等,上記範囲を超えうる利用においては,意図せず著作権侵害を含むトラブルを引き起こす可能性がありますので,本学会宛にご一報ください。

 2026年3月
 日本神経学会
 代表理事 西山和利
 ガイドライン統括委員会 委員長 小野寺理
 前ガイドライン統括委員会 委員長 青木正志


1. 認知症疾患診療ガイドライン改訂の経緯
 2002年,日本神経学会の治療ガイドライン Ad Hoc委員会により『痴呆疾患治療ガイドライン2002』が作成され,これが現在の認知症診療ガイドラインの始まりとなった。2010年には,日本神経学会,日本精神神経学会,日本認知症学会,日本老年精神医学会,日本老年医学会,日本神経治療学会の6学会(関連6学会)が協力し,クリニカルクエスチョン(CQ)形式を用いた『認知症疾患治療ガイドライン2010』が合同で作成された。2011年には新規治療薬の承認を受け,『認知症疾患治療ガイドライン2010』の追補版として『認知症疾患治療ガイドライン2010(コンパクト版2012)』が刊行された。そして2017年には『認知症疾患診療ガイドライン2017』が公表され,2020年にはその英語版である『Clinical Practice Guideline for Dementia 2017』が公開され,国際的にも利用可能なガイドラインとして位置づけられた。2017年版の公表以降,認知症の診療や研究は大きな進展を遂げた。特に,治療面においては,抗アミロイドβ抗体療法が実臨床の導入への期待が寄せられ,バイオマーカーや画像診断技術の実装化への動きが進んだ。また,「認知症の人や家族の視点」と「認知症の人の尊厳の保持」を重視する考え方を基本とした『認知症施策推進大綱(2019)』のもとで,地域包括ケア・多職種連携の枠組みが全国的に進展した。医療のみならず介護・地域支援を含む包括的アプローチが重視され,ガイドラインにもその視点を反映すべき状況となった。新しい科学的知見と臨床・社会的変化を踏まえ,現行のガイドラインを最新のエビデンスと医療体制に即して改訂が求められ,2022年7月,日本神経学会理事会において本ガイドラインの改訂が承認され,従来と同様に関連6学会による共同作業で改訂作業を行う方針が決定された。同年11月には,各学会から選出された作成委員会が承認され,2023年1月には日本精神神経学会,日本認知症学会,日本老年精神医学会,日本老年医学会,日本神経治療学会の5学会においても改訂作業への協力が正式に承認された。
 2023年3月に第1回作成委員会が開催され,『Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020 ver.3.0』に準拠した作成方針を決定した。同マニュアルに基づき,①改訂作業全体の流れ,②スコープ作成,③システマティックレビュー,④推奨決定に関する講義を受け,スコープ作成を開始した。その後,2回の会議を経て2023年7月にスコープ案を完成させ,評価・調整委員の評価と修正を経て,同年9月にスコープを確定した。文献検索のためのキーワードをCQごとに設定し,日本図書館協会に文献検索を依頼し,2024年2月に文献検索を完了し,システマティックレビューを開始した。並行して草案作成を行い,8回にわたり委員全体で原稿の読み合わせや修正を重ねた。2025年3月に推奨決定会議を開催し,システマティックレビューによるエビデンス評価をもとに,作成委員の投票により推奨度を確定した。その後,同年7月に全草案の作成を終え,評価・調整委員および日本神経学会臨床ガイドライン統括委員会の査読を経て,同年9月のパブリックコメントの意見を踏まえ,2026年5月に『認知症疾患診療ガイドライン2026』として公開となった。

2. 本ガイドライン対象読者と基本的視点
 本ガイドラインは,2002年版,2010年版,2017年版と同様に,一般の医師を主たる対象として作成した。ただし,医師以外の医療・介護従事者や関係者にも参照されることを想定し,記述内容や表現にも配慮した。
 対象とする認知症疾患は,Alzheimer病,Lewy小体型認知症,前頭側頭葉変性症,血管性認知症などの主要な認知症原因疾患を包括的に取り扱い,また,軽度認知障害や認知症の行動・心理症状(BPSD)についても診療指針を示し,認知症のリスク低減,症状評価,検査,鑑別診断,治療,ケアに至るまでの一連の流れを網羅した包括的なガイドラインとなることを目的とした。
 また,本ガイドラインは,認知症の人とその家族の価値観・意向・生活背景を尊重し,意思決定を支援するパーソンセンタードケアの理念を重視している。薬物療法に加え,リハビリテーション,ケア,環境調整などの非薬物療法の重要性を強調するとともに,認知症がもたらす生活・社会的影響にも配慮し,医療・介護・福祉の連携の必要性を踏まえた内容とした。

3. 本ガイドラインの内容と作成過程
①ガイドラインの構成
(1)総説:基本的概念,用語の定義,歴史的経緯,ならびに最低限必要な教科書的知識について記載した。
(2)BQ(バックグラウンドクエスチョン):基本的に標準治療として位置づけられ,必ず実施すべき診療,広く実施されているものの新たなデータ創出が見込まれない事項,および,一般的・基礎的な知識をステートメントとして記載した。
(3)CQ(クリニカルクエスチョン):日常臨床で判断に迷うテーマを取り上げ,定量的あるいは定性的なシステマティックレビュー(SR)を行い,推奨決定会議の投票を経て推奨およびその強さを決定し,その内容について推奨決定会議の議論のポイントなども踏まえて解説し,推奨として記載した。
(4)FRQ(フューチャーリサーチクエスチョン):CQとして取り上げるには現時点でエビデンスが不足しているが,今後重要となる課題について現状の考え方をステートメントとして記載し,今後のエビデンス創出のための研究課題を提示した。
②作業手順
(1)BQ,CQ,FRQの設定:2017年版のCQを照合・整理し,今回取り上げるCQ,BQ,FRQを決定した(作成開始時にCQと設定したものが最終的にBQに変更された例もある)。その後,評価・調整委員による意見を受け,若干の修正を加えて最終決定した。
(2)CQ作成対象範囲:CQについては以下(3)~(16)の手順を実施した。総説・BQおよびFRQについては診療ガイドライン作成委員会内でディスカッションのうえで決定した。
(3)CQの構成要素:CQは,PICO(P:患者,I:介入,C:比較,O:アウトカム)形式で抽出した。
(4)アウトカムの設定:各CQに対し複数のアウトカムを設定し,1~9点の重要度スコアを付与して重み付けを行った。
(5)エビデンスの収集:作成委員はCQごとにキーワードを設定し,日本医学図書館協会の協力のもと検索式を作成,PubMed,医中誌Web,Cochrane Libraryを用いて網羅的検索を実施した。2017年版では2015年4月までのデータを対象としていたため,今回は2015年5月から2023年12月までに公開された文献を中心に検索し,これ以降に出版された重要な文献については,ハンドサーチとして適宜追加した。
(6)一次スクリーニング:SR委員が中心となり,題名・抄録・索引語から明らかにCQに適合しない文献を除外した。
(7)二次スクリーニング:一次スクリーニング通過文献の本文を精査し,アウトカムごとに採用文献を決定した。
(8)ハンドサーチ:さらに重要文献をハンドサーチにより追加し,漏れのない文献収集に努めた。
(9)文献の選択:採用条件を満たすシステマティックレビュー・メタアナリシス論文や診療ガイドラインが存在する場合は,それを第一優先とし,メタアナリシスの場合には標準化平均値差(SMD),統計学的異質性(I2),出版バイアスなどを精査し,各CQのエビデンスの確実性を明確に記述した。質のよいメタアナリシスがない場合には,システマティックレビューや個々のランダム化比較試験(RCT)を採用した。採用に際して,診療上実践的で,かつ認知症の人への有益性が高いシステマティックレビューやRCTを優先した。
 また,検索日が1年以上経過している診療ガイドライン,メタアナリシスやシステマティックレビュー論文については,新しいものが出ていないか確認し,重要と考えられた文献も採用した。採用条件を満たすシステマティックレビューやメタアナリシス論文がない場合は,個別研究論文を対象とし採用条件を満たすRCTを優先し,RCTがない場合には介入研究または観察研究を対象とした。
(10)エビデンスの評価:まとめられた文献集合の個々の論文について,バイアスリスク(risk of bias 9要素:選択バイアス,実行バイアスなど),非直接性(indirectness:従来の「外的妥当性」「一般化可能性」に相当)を評価した。
(11)エビデンス総体の評価:評価の方法は,①バイアスリスク(risk of bias 9要素),②非直接性(indirectness)を評価し,これに加えて,③非一貫性(inconsistency),④不精確(imprecision),⑤出版バイアス(publication bias)などを評価した。RCTでは「エビデンスの強さ」を“強”から始めて,上記①~⑤を考慮して,必要であれば段階を下げて最終評価とした。観察研究ではエビデンスの強さの評価を,①効果が大きい(large effect),②用量反応勾配あり(dose-dependent gradient),③可能性のある交絡因子が提示された効果を減弱させている(plausible confounder)のいずれかの要素で優れたものは1段階上げるなどの評価を行った。
(12)エビデンスの分類:エビデンスの評価の判定は,「エビデンス総体」として「エビデンスの確実性(強さ)」を表1のように「強」「中」「弱い」「とても弱い」の4段階に分類した。
(13)推奨作成:EtDフレームワーク(evidence to decisions framework)を作成し,エビデンスの強さ,益害のバランス,患者の価値観や好み,コストを総合的に評価し,推奨とその強さを決定して推奨決定会議に提出した。
(14)推奨決定会議の開催:WEB会議にて提案された推奨と強さに関する議論・質疑応答を行い,WEB投票によって最終的な推奨を決定した。
(15)推奨決定会議における利益相反(COI)管理:推奨決定会議の開催前に,推奨決定会議参加予定の委員の2022年,2023年,2024年の利益相反管理自己申告書を参考に,表2に示す金銭区分が③に該当する場合には,その参加者が投票を棄権するCQを決定した。
(16)推奨決定会議の推奨決定投票のルール:①会議の開始前に,強い推奨と弱い推奨の基準について,『診療ガイドラインのためのGRADEシステム第3版』を参考に以下の判断基準を確認した(表3)。
②投票ツールを使用し,下記のいずれかを選択して投票を行う(表4)。
③推奨に対する合意率の計算の分母はA~Dの合計人数とし,推奨決定は合意率70%を超えればその推奨度で決定とする。70%に満たない場合は,投票を3回まで実施し,3回目の投票が合意率70%未満の場合に「合意に至らず」とする方針とした。
(17)評価委員会による評価とパブリックコメント:完成したガイドライン案は,評価・調整委員およびガイドライン統括委員会による評価を受けた。評価結果を踏まえて修正を行った草案については,2025年9月9日から9月23日にかけて,関連6学会の会員を対象にパブリックコメントを募集した。さらに,一般社団法人日本認知症本人ワーキンググループ(第5章に限定)および公益社団法人認知症の人と家族の会にも協力を依頼し,草案に対するご意見をいただいた。
 これらで寄せられた意見や指摘などを反映し,最終稿を作成のうえ,ガイドライン最終版を確定した。

表1
表2
表3
表4

4. 保険承認,保険適用状況などによる記載
 保険承認,保険適用の状況などにより,薬剤表記を区別して記載している。
・ 疾患に対して保険適用のある薬剤については,すべて片仮名表記とし,一般名を用いた。
・ 本邦において,いずれの疾患に対しても使用が許可されていない薬剤については,薬剤名を英名表記とし,その後に(未承認)と付記した。
・ 本邦では他の疾患に対しては保険適用を有しているが,認知症疾患には保険適用を有していない薬剤については,薬剤名を片仮名表記とし,その後に(保険適用外)と付記した。
・ 抗精神病薬については保険適用外ではあるが,「器質的疾患に伴うせん妄・精神運動興奮状態・易怒性に対して処方した場合,当該使用事例を審査上認めるもの」とされている薬剤を明記した。

5. 資金源
 本ガイドライン作成にかかる費用(交通費,会議費,印刷費,文献検索費など)は,すべて日本神経学会より拠出されており,特定の企業などからの資金提供は受けていない。

6. 利益相反
 本ガイドラインは,日本神経学会の承認を受けた事業であり,他のいかなる団体からの影響も受けていない。本ガイドラインの作成に関与した委員(診療ガイドライン作成委員,研究協力者,評価・調整委員,外部委員)の利益相反(COI)は,就任時点の状況をガイドライン統括委員会が確認し,承認している。委員会開催に伴う会議室経費や出席のための交通費は日本神経学会が負担したが,原稿作成や会議参加に対する報酬は,作成委員・SR委員および研究協力者には支給されなかった。
 本ガイドラインは,『一般社団法人日本神経学会診療ガイドライン作成に関する規程』および『一般社団法人日本神経学会診療ガイドライン作成指針』に基づき,『日本医学会診療ガイドライン策定参加資格基準ガイダンス2023』に準拠して,適切なCOIマネジメントのもとに作成された(巻末資料参照)。推奨決定会議での投票に際しては,事前に利益相反の状況を確認し,COIが認められる場合は,当該CQの投票を棄権することで管理した。

7. 認知症診療における本ガイドラインの使用にあたって
 本ガイドラインは,認知症診療の質向上を目的とし,認知症の診療およびケア支援に資する参考資料を提供するものであり,現場の診療を制約するものではない。認知症の当事者や家族を含めた生活環境は多様であり,時間とともに変化する。また,認知症疾患に関する診療や研究も日々進歩している。そのため,本ガイドラインは臨床医の裁量を制限するものではなく,診療現場での変化に応じた診療内容を規定するものでもない。ときには,ガイドラインの推奨が適用しがたい症例も想定される。治療を担当する医師は,ガイドラインから逸脱する判断を行う場合があり,その逸脱が妥当と考えられることもある。
 実際の診療においては,個々の認知症の人の状況に応じて最適な対応を行うことが重要である。また,本ガイドラインの内容は,医療訴訟などにおける法的根拠となるものではない。

8. 本ガイドラインの活用促進,次回改訂を含む今後の予定
 本ガイドラインの普及を促進するため,作成に参加した各学会のホームページへの掲載や学会の学術大会,その他の集会での講演を通じて紹介する。また,学術雑誌などでの掲載も行う予定である。
 今後,新しい知見に基づき追加や修正が必要と判断された場合は,追補版が作成され,学会のホームページに掲載される。日本神経学会では,診療ガイドラインは原則として5年ごとに改訂する方針である。本ガイドライン作成委員会において次回改訂の検討が行われ,その結果は日本神経学会ガイドライン統括委員会に諮られる予定である。

9. 本委員会委員,研究協力者,協力者への謝辞
 本ガイドラインの改訂作業は,認知症関連6学会が協働して進めたものである。多くの時間と労力を惜しまず尽力された作成委員・SR委員,研究協力者の先生方,外部委員,評価・調整委員,ならびに協力者先生方に,心より深く感謝申し上げる。また,本ガイドラインの作成にあたり,貴重なご意見を賜った「認知症の人と家族の会」理事・岡山県支部の安藤光徳氏ならびに日本認知症本人ワーキンググループの皆様に,厚く御礼申し上げる。さらに,パブリックコメントにおいて多くの貴重なご意見を寄せていただいた方々に深謝する。あわせて,ご助言を賜った日本医療機能評価機構EBM医療情報部・畠山洋輔氏,文献検索にご協力いただいた日本医学図書館協会に,ここに記して深く感謝の意を表する。

 「認知症疾患診療ガイドライン」作成委員会
 委員長 和田 健二

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執筆者一覧
神経疾患診療ガイドラインの発行にあたって

総論
 第1章 認知症全般:疫学,定義,用語
   [BQ1-1] 認知症の診断基準にはどのようなものがあるか
   [BQ1-2] 認知症に関連する用語にはどのようなものがあるか
   [BQ1-3] 認知症の原因にはどのようなものがあり,どのように分類するか
   [BQ1-4] 認知症の病理学的背景・分子病態にはどのようなものがあるか
   [BQ1-5] 認知症と区別すべき病態にはどのようなものがあるか
   [BQ1-6] 本邦における認知症の有病率はどのように変化しているか
   [BQ1-7] 認知症の罹患率と予後はどのように変化しているか

 第2章 症候,評価尺度,診断,検査
   [BQ2-1] 認知症における認知機能障害の症候にはどのようなものがあるか
   [BQ2-2] 認知機能のスクリーニング検査にはどのようなものがあるか
   [BQ2-3] 記憶,言語,視空間認知機能,前頭葉機能など個々の認知機能を掘り下げて評価する検査にはどのようなものがあるか
   [BQ2-4] 日常生活活動(ADL)に関する評価尺度,認知機能障害の全般的重症度の評価尺度にはどのようなものがあるか
   [BQ2-5] 言語症状を主症状とする認知症にはどのようなものがあるか
   [BQ2-6] 視空間認知障害を主症状とする認知症にはどのようなものがあるか
   [BQ2-7] 認知症の診断と鑑別はどのように進めるか
   [BQ2-8] 認知症の診断に有用な画像検査にはどのようなものがあり,どのように検査を進めるか
   [BQ2-9] 認知症の診断に有用な脳脊髄液検査は何か
   [BQ2-10] 認知症の診断に有用な血液バイオマーカーは何か
   [BQ2-11] 認知症の診断の際に留意すべき身体的・神経学的所見は何か
   [BQ2-12] 認知症の診断に影響を及ぼす薬剤にはどのようなものがあるか
   [BQ2-13] 認知症の診療に有用な遺伝学的検査は何か

 第3章 治療
  A 非薬物療法・薬物療法
   [BQ3A-1] (神経変性疾患による)認知症治療の際の原則は何か
   [BQ3A-2] 認知症の薬物療法(BPSDの薬物療法以外)に使われる薬剤にはどのようなものがあるか
   [BQ3A-3] 認知症治療に使われる薬剤(BPSDの薬物療法以外)の有害事象には何があるか
   [BQ3A-4] 認知症の非薬物療法にはどのようなものがあるか
   [BQ3A-5] 認知症のケアにはどのようなものがあるか
  B 認知症の行動・心理症状(BPSD)に対する治療
   [BQ3B-1] 認知症の行動・心理症状(BPSD)にはどのようなものがあるか
   [BQ3B-2] 認知症の行動・心理症状(BPSD)の評価尺度にはどのようなものがあるか
   [CQ3B-1-1] 認知症の行動・心理症状(BPSD)に非薬物療法は推奨されるか(精神病症状:妄想・幻覚)
   [CQ3B-1-2] 認知症の行動・心理症状(BPSD)に非薬物療法は推奨されるか(焦燥性興奮:アジテーション)
   [CQ3B-1-3] 認知症の行動・心理症状(BPSD)に非薬物療法は推奨されるか(うつ)
   [CQ3B-1-4] 認知症の行動・心理症状(BPSD)に非薬物療法は推奨されるか(不安)
   [CQ3B-1-5] 認知症の行動・心理症状(BPSD)に非薬物療法は推奨されるか(アパシー関連症候)
   [CQ3B-2] 認知症の行動・心理症状(BPSD)に薬物療法は推奨されるか
   [CQ3B-2-1] 認知症の行動・心理症状(BPSD)に薬物療法は推奨されるか(精神病症状:妄想・幻覚)
   [CQ3B-2-2] 認知症の行動・心理症状(BPSD)に薬物療法は推奨されるか(焦燥性興奮:アジテーション)
   [CQ3B-2-3] 認知症の行動・心理症状(BPSD)に薬物療法は推奨されるか(うつ・不安)
   [CQ3B-2-4] 認知症の行動・心理症状(BPSD)に薬物療法は推奨されるか(アパシー関連症候)
   [CQ3B-2-5] 認知症の行動・心理症状(BPSD)に薬物療法は推奨されるか(睡眠障害,その他)
   [CQ3B-2-6] 認知症の行動・心理症状(BPSD)全般に薬物療法は推奨されるか
  C 合併症・依存症への対応
   [BQ3C-1] せん妄には非薬物療法は推奨されるか
   [BQ3C-2] せん妄には薬物療法は推奨されるか
   [BQ3C-3] 認知症による神経合併症(てんかん)への対応はどのように行うか
   [BQ3C-4] 誤嚥性肺炎・摂食嚥下障害・低栄養の対応をどのように行うか
   [BQ3C-5] 転倒・骨折の対応・予防はどのように行うか
   [BQ3C-6] フレイル・サルコペニアの対応はどのように行うか
   [BQ3C-7] その他の老年症候群の対応はどのように行うか(排尿・便秘・褥瘡)
   [BQ3C-8] 認知症の人の入院管理ではどのような点に注意するか
   [BQ3C-9] 透析,抗癌剤治療,手術など侵襲的な検査・治療はどのように判断するか
   [BQ3C-10] Multimorbidityやポリファーマシーの管理はどのように行うか
   [BQ3C-11] 糖尿病・高血圧など生活習慣病の管理はどのように行うか

 第4章 経過とその対応
  A 認知症の危険因子・防御因子
   [BQ4A-1] 認知症の発症リスクを修飾する因子としてどのようなものがあるか
   [CQ4A-1] 多因子介入は認知症の進行を修飾するか
  B 軽度認知障害(MCI)
   [BQ4B-1] 軽度認知障害(MCI)の有病率および罹患率はどのようなものか
   [BQ4B-2] 軽度認知障害(MCI)から認知症へのコンバージョン率およびリバージョン率はどのようなものか
   [BQ4B-3] 軽度認知障害(MCI)のコンバージョン予測に有用なバイオマーカーは何か
   [BQ4B-4] 軽度認知障害(MCI)を疑う場合にはどのような評価尺度が推奨されるか
   [BQ4B-5] 軽度認知障害(MCI)の診断はどう行うか
   [FRQ4B-1] 軽度行動障害(MBI)の臨床的意義とは何か
   [CQ4B-1] 軽度認知障害(MCI)に対し,介入(薬物・非薬物療法,危険因子の低減)は効果的か
  C 重症度と重症度別対応
   [FRQ4C-1] 認知症疾患の病前期の人に対してはどのような支援が必要か
   [BQ4C-1] 軽度・中等度認知症の人への指導・支援にはどのようなものがあるか
   [BQ4C-2] 軽度・中等度認知症の人の介護者への指導・支援にはどのようなものがあるか
   [BQ4C-3] 重度認知症の人への指導・支援にはどのようなものがあるか
   [BQ4C-4] 重度認知症の人の家族を含めたケア提供者への指導・支援にはどのようなものがあるか
   [BQ4C-5] 認知症の人の終末期の医療およびケアはどうあるべきか

 第5章 認知症の人の生活を支えるための諸制度と社会資源
  A 認知症の人の医療・介護を支えるための諸制度と社会資源
   [BQ5A-1] 認知症疾患医療センターの機能と役割は何か
   [BQ5A-2] 認知症の診断後支援はどのようになされるべきか
   [BQ5A-3] 認知症サポート医の役割は何か
  B 介護保険制度
   [BQ5B-1] 認知症支援において介護保険制度が果たしている役割は何か
   [BQ5B-2] 地域包括支援センターの機能と役割は何か
   [BQ5B-3] 認知症初期集中支援チームの機能と役割は何か
   [FRQ5B-1] 介護保険制度による各種サービスは,認知症の人・介護者のQOL維持・向上に有効か
  C 権利擁護
   [BQ5C-1] 認知症の人の意思決定支援はどうあるべきか
   [BQ5C-2] 日常生活自立支援事業や成年後見制度は,認知症の人の権利擁護にどのように活用されているか
   [BQ5C-3] 高齢者虐待防止法は高齢者の虐待防止にどのように役立てられているか
  D 若年性認知症
   [BQ5D-1] 若年性認知症とは何か
   [BQ5D-2] 若年性認知症の人の就労継続支援はどのようになされるべきか
   [BQ5D-3] 若年性認知症の人の生活支援について利用できる制度や相談窓口にはどのようなものがあるか
   [BQ5D-4] 若年性認知症の人およびその家族の心理的支援はどのようになされるべきか
  E 道路交通法
   [BQ5E-1] 認知症と診断した場合,運転免許を保持している人や家族への対応はどのようにすべきか
   [BQ5E-2] 認知症の背景疾患別で運転行動や事故リスクは異なるのか
   [BQ5E-3] 軽度認知障害(MCI)の人の運転にはどのように対応すべきか

各論
 第6章 Alzheimer型認知症
   [総説6-1] Alzheimer型認知症の診療の流れ
   [総説6-2] Alzheimer病とAlzheimer型認知症の違いは何か
   [BQ6-1] Alzheimer型認知症の症候の特徴は何か
   [BQ6-2] Alzheimer型認知症の診断基準は何か
   [BQ6-3] Alzheimer型認知症の画像所見の特徴は何か
   [BQ6-4] Alzheimer病の診断に有用なバイオマーカーは何か
   [BQ6-5] Alzheimer型認知症の診断にアミロイドPET検査,タウPET検査は有用か
   [CQ6-1] Alzheimer病,Alzheimer型認知症,その他の認知症,軽度認知障害(MCI)では抗アミロイドβ抗体薬投与は推奨されるか
   [BQ6-6] Alzheimer型認知症の非薬物療法は効果があるか
   [BQ6-7] Alzheimer型認知症の薬物療法と治療アルゴリズムはどのようなものか
   [BQ6-8] Alzheimer型認知症の経過と予後はどのようなものか

 第7章 Lewy小体型認知症
   [BQ7-1] Lewy小体型認知症(DLB)の早期診断ポイントと診断基準は何か
   [BQ7-2] Lewy小体型認知症(DLB)と認知症を伴うParkinson病(PDD)の臨床・病理学的異同は何か
   [BQ7-3] Lewy小体型認知症(DLB)の検査・画像所見の特徴は何か
   [BQ7-4] Lewy小体型認知症(DLB)の経過と予後はどのようなものか
   [総説7-1] Lewy小体型認知症(DLB)に対する治療方針はどのように立てるか
   [BQ7-5] Lewy小体型認知症(DLB)の認知障害に対する薬物療法・非薬物療法にはどのようなものがあるか
   [BQ7-6] Lewy小体型認知症(DLB)の精神症状に対する薬物療法にはどのようなものがあるか
   [BQ7-7] Lewy小体型認知症(DLB)の睡眠障害の治療法にはどのようなものがあるか
   [CQ7-1] Lewy小体型認知症(DLB)のパーキンソニズムの薬物治療は推奨されるか
   [BQ7-8] Lewy小体型認知症(DLB)の自律神経症状(起立性低血圧,便秘,発汗,排尿障害など)の治療法はあるか
   [FRQ7-1] Lewy小体病による軽度認知障害(MCI-LB)とは何か
   [FRQ7-2] Lewy小体型認知症(DLB)の早期バイオマーカーや疾患修飾治療(DMT)はあるか

 第8章 前頭側頭葉変性症
   [総説8-1] 前頭側頭葉変性症(FTLD)とは何か
   [BQ8-1] 前頭側頭葉変性症(FTLD)の臨床症候の特徴は何か
   [BQ8-2] 前頭側頭葉変性症(FTLD)の診断基準は何か
   [BQ8-3] 前頭側頭葉変性症(FTLD)の画像所見の特徴は何か
   [BQ8-4] 前頭側頭葉変性症(FTLD)に対する有効な非薬物治療はあるか
   [FRQ8-1] 前頭側頭葉変性症(FTLD)に対する有効な薬物治療はあるか

 第9章 その他の神経変性疾患
  A 進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症
   [総説9A-1] 進行性核上性麻痺(PSP)・大脳皮質基底核変性症(CBD)の歴史,疫学,診断,病型,共通点・相違点はどのようなものか
   [BQ9A-1] 進行性核上性麻痺(PSP)・大脳皮質基底核変性症(CBD)の認知機能障害の特徴は何か
   [FRQ9A-1] 進行性核上性麻痺(PSP)・大脳皮質基底核変性症(CBD)の認知機能障害に有用な治療法はあるか
  B 嗜銀顆粒病
   [BQ9B-1] 嗜銀顆粒病(AGD)の特徴は何か
   [FRQ9B-1] 嗜銀顆粒病(AGD)に有効な治療法はあるか
  C 神経原線維変化型老年期認知症
   [BQ9C-1] 神経原線維変化型老年期認知症(SD-NFT)の特徴は何か
   [FRQ9C-1] 神経原線維変化型老年期認知症(SD-NFT)に有効な治療法はあるか
  D Huntington病
   [BQ9D-1] Huntington病の認知症症状の特徴はどのようなものか
  E 神経核内封入体病
   [FRQ9E-1] 神経核内封入体病(NIID)の認知症症状の特徴はどのようなものか

 第10章 血管性認知症
   [BQ10-1] 血管性認知症(VaD)の診断はどのように行うか
   [BQ10-2] 血管性認知症(VaD)の分類・画像所見はどのようなものか
   [BQ10-3] 血管性認知症(VaD)の予防はどのように行うか
   [BQ10-4] 血管性認知症(VaD)とAlzheimer病との合併はどのようなものか
   [BQ10-5] 血管性認知症(VaD)の経過と予後はどのようなものか
   [CQ10-1] 血管性認知症(VaD)に対し,抗認知症薬の投与は推奨されるか
   [FRQ10-1] 脳アミロイド血管症の位置づけはどのようなものか
   [FRQ10-2] 脳アミロイド血管症とアミロイド関連画像異常(ARIA)との関連はどのようなものか

 第11章 プリオン病
   [BQ11-1] 孤発性Creutzfeldt-Jakob病(CJD)の臨床的特徴と必要な検査にはどのようなものがあるか
   [BQ11-2] 本邦に特有な遺伝性プリオン病の種類と特徴はどのようなものか
   [BQ11-3] 本邦にみられる特有な獲得性(感染性)プリオン病の種類と特徴にはどのようなものがあるか
   [BQ11-4] プリオン病の感染対策と有効な滅菌方法はどのようなものか

 第12章 特発性正常圧水頭症
   [BQ12-1] 特発性正常圧水頭症(iNPH)の臨床的特徴と診断に必要な検査は何か
   [BQ12-2] 特発性正常圧水頭症(iNPH)の診断基準と診断治療に関するアルゴリズムはどのようなものか
   [BQ12-3] 特発性正常圧水頭症(iNPH)に対するシャント手術とその効果(他疾患を併存した症例も含む)はどのようなものか

 第13章 内科的疾患
   [BQ13-1] ビタミン欠乏症による認知機能低下の特徴は何か
   [BQ13-2] 甲状腺機能低下症による認知機能低下の特徴は何か
   [BQ13-3] 神経梅毒による認知機能低下の特徴は何か
   [BQ13-4] 肝性脳症(HE)による認知機能低下の特徴は何か
   [BQ13-5] 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染に伴う認知機能低下の特徴にはどのようなものがあるか
   [BQ13-6] 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染後の認知症発症のリスクにはどのようなものがあるか

巻末資料
 略語一覧
 利益相反(COI)開示

索引

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