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認知症イメージングテキスト 第2版
画像と病理から見た疾患のメカニズム

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認知症のロングセラー、待望の改訂! ビジュアルで「理解できる」と高い評価を得たロングセラー書籍が、最新の知見を取り入れてさらに進化。抗アミロイドβ抗体薬の実臨床への導入や、バイオマーカー研究の進歩など、激変する認知症診療の現在をわかりやすく解説。豊富な図表とともに、基礎から最新トピックまでを網羅。認知症を体系的に学びたい方から、最新情報を押さえておきたい専門家まで、変化の時代に必携の1冊です。

監修 冨本 秀和
編集 吉田 眞理 / 工藤 與亮 / 清水 聰一郎 / 新堂 晃大
発行 2026年05月判型:B5頁:368
ISBN 978-4-260-06538-2
定価 11,000円 (本体10,000円+税)

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第2版の序

 本書の初版出版は2018年6月ですので,早いもので8年が経過しました.この間,人工知能AIの進展は目覚ましいものがあり,2045年にはAIの能力が人間を超える,いわゆるシンギュラリティに到達することが予測されています.画像診断や病理診断は,それら単独ではいずれAIに取って代わられることが予測されており,すでに現時点でもAIが読影した所見を放射線科医が追加読影することで,放射線診断に要する読影時間が大幅に短縮し精度が向上することが報告されています.しかし,人間の存在そのものに関わる臨床診断は病歴,神経診察と画像,病理の統合性を検証する作業であり,AIがどれほど深化しても取って代わることのできない分野です.画像診断と病理診断は影絵の表と裏の関係にあり,神経診察では両者の間を絶え間なく往来することで相互の関係性が見えるようになります.画像所見に対応する病理変化を知悉して高精度にイメージングすることは,臨床診断を補強する強力な武器となり得ます.
 このようなコンセプトに基づいて企画した初版はお陰様で好評を頂くことができ,ロングセラーとなりました.第2版では,神経病理の編集を初版に引き続き愛知医科大学神経病理の吉田眞理先生にお願いしました.画像検査は気鋭の神経放射線診断医であられる北海道大学画像診断学の工藤與亮先生に,総論は認知症の画像診断にご造詣の深い東京医科大学高齢診療科の清水聰一郎先生,主要疾患各論は三重大学脳神経内科の新堂晃大先生にお願いしました.
 本書は画像と病理の対比がわかりやすく視覚的に理解できるように配置されていて,ほかに類を見ないユニークな構成となっています.本書が認知症の臨床診断,画像と病理を志す多くの医師,学生の研鑽のお役に立つことを願ってやみません.

 2026年3月
 冨本秀和

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序論 画像から見た脳の解剖

第1章 認知症総論
 1 診断の流れ
  1.認知症の定義
  2.認知症の診断の手順
  3.認知機能評価の方法
  4.認知症の診断基準
  5.軽度認知障害(MCI)
 2 主要症候──中核症状
  1.記憶障害
  2.実行機能障害
  3.注意障害
  4.言語障害
  5.社会的認知障害
  6.視空間認知障害
  7.精神運動速度の遅延
 3 主要症候──認知症の行動・心理症状
  1.行動症状
  2.心理症状
  3.Neuropsychiatric Inventory(NPI)
  4.軽度行動障害
 4 薬物療法──疾患修飾薬
  1.認知症薬物療法の種類──疾患修飾薬と症状改善薬
  2.アルツハイマー病(AD)の疾患修飾薬
  3.AD以外の疾患修飾薬
 5 薬物療法──対症療法薬
  1.治療の目的
  2.治療薬の作用機序
  3.副作用
  4.BPSDに対する薬物療法
  5.今後の展望
 6 非薬物療法・リハビリテーション
  1.認知刺激療法(CST)
  2.回想法
  3.身体活動
  4.今後の課題
 7 予防
  1.認知症の危険因子
  2.複数因子の管理を通じた認知機能低下や認知症発症のリスク低減を検討した介入研究

第2章 診断に有用な画像検査
 1 脳のパーセレーション
  1.ブロードマン分類によるパーセレーション
  2.MNI標準脳
  3.AALによるパーセレーション
  4.FreeSurferによるパーセレーション
  5.海馬のパーセレーション
  6.Yeoのネットワークによるパーセレーション
  7.HCP-MMP
 2 CT,MRI
  1.CTの役割
  2.MRIの役割
  3.認知症診断におけるMRI撮像プロトコル
  4.今後に期待される撮像法
  5.ARIAの診断
 3 SPECT
  1.脳血流SPECT
  2.検査時の注意
  3.画像評価
 4 PET
  1.18F-FDG PETによる局所脳代謝の評価
  2.アミロイドPET
  3.タウPET
  4.他のPET
 5 MIBG心臓交感神経シンチグラフィー
  1.検査要領
  2.123I-MIBGによる疾患の鑑別
  3.123I-MIBG心臓交感神経シンチグラフィーとドパミントランスポーターイメージングとの比較
 6 ドパミントランスポーターイメージング
  1.123I-FP-CIT(イオフルパン)
  2.鑑別診断

第3章 知っておきたい認知症の病理
 1 総論──プロテイノパチーとしての認知症
  1.アミロイドβ(Aβ)
  2.Aβの産生と排出
  3.タウ
  4.TDP-43
  5.FUS
  6.αシヌクレイン
  7.クライオ電子顕微鏡による異常蓄積蛋白の解析
  8.異種蛋白から構成される封入体
  9.複合病理と蛋白の相互作用
 2 アミロイドβ
  1.アルツハイマー病(AD)とアミロイドβ(Aβ)
  2.老人斑
  3.ADの病理診断評価
  4.脳アミロイド血管症
  5.Aβ関連血管炎
  6.クライオ電子顕微鏡による老人斑解析
  7.ADの病態仮説と課題
 3 タウ
  1.タウ
  2.孤発性タウオパチー
  3.FTDP-17
  4.加齢とタウ
  5.IgLON5抗体関連疾患
  6.クライオ電子顕微鏡によるタウの線維構造解析
  7.課題と展望
 4 TDP-43,FUS
  1.ピック病の疾患概念の変遷と前頭側頭葉変性症(FTLD)
  2.TDP-43プロテイノパチー
  3.FTLD-TDPと遺伝子変異
  4.FTLD-TDPと運動ニューロン障害
  5.辺縁系優位型加齢性TDP-43脳症(LATE)
  6.FTLD-TDPとクライオ電子顕微鏡
  7.TDP-43とアネキシンA11
  8.FTLD-FUSとFTLD-TAF
  9.課題と展望
 5 αシヌクレイン
  1.レビー小体病(LBD)のシヌクレイノパチー
  2.LBDのスペクトラム
  3.LBDの進展
  4.多系統萎縮症(MSA)の病理
  5.LBDとMSAの病理学的共通点と相違点
  6.クライオ電子顕微鏡による解析
  7.課題と展望

第4章 主要疾患の病態
 1 アルツハイマー病
  1.病態
  2.遺伝
  3.アルツハイマー型認知症(DAT)の症状
  4.診断基準
  5.鑑別診断
  6.神経心理検査
  7.画像検査
  8.体液バイオマーカー
  9.症例提示
  10.薬物治療
  11.非薬物療法
  12.予防
 2 血管性認知症
  1.疾患概念
  2.臨床症状
  3.診断・鑑別診断
  4.検査
  5.治療・予防
  6.脳アミロイド血管症関連炎症(CAA-ri),アミロイド関連画像異常(ARIA)
  7.症例提示
 3 レビー小体型認知症
  1.疾患概念と分類
  2.疫学
  3.診断基準
  4.鑑別診断
  5.画像と生理学的検査
  6.病理,生化学的特徴
  7.臨床症状と治療方針
 4 前頭側頭葉変性症
  1.FTLDの疾患概念の変遷
  2.FTLDの病理学的分類
  3.FTLDの蛋白構造解析的分類
  4.FTLDの3つのサブタイプの臨床診断
  5.治療
 5 進行性核上性麻痺
  1.疾患概念
  2.病態
  3.臨床症候
  4.診断・鑑別診断
  5.治療
  6.症例提示
 6 大脳皮質基底核変性症
  1.疾患概念
  2.病態
  3.臨床症候
  4.診断・鑑別診断
  5.治療
  6.症例提示
 7 辺縁系優位型加齢性TDP-43脳症(LATE)と海馬硬化症
  1.疾患概念
  2.神経病理像
  3.LATE病理評価基準
  4.FTLD-TDPとの鑑別
  5.リスク遺伝子
  6.合併疾患によるLATEの臨床病理像の変化
 8 嗜銀顆粒性認知症
  1.疾患概念
  2.臨床症候および診断
  3.病理と病態
  4.病変のステージ分類と認知症との関連
  5.治療および今後の展望
 9 原発性年齢関連タウオパチー(PART)
  1.疫学
  2.臨床症候
  3.神経病理所見
  4.病態
  5.鑑別診断
  6.治療および今後の展望
 10 ハンチントン病
  1.疾患概念
  2.病態
  3.臨床症候
  4.診断・鑑別診断
  5.検査
  6.治療および包括的なケア
  7.症例提示(rigid form)
 11 石灰沈着を伴うびまん性神経原線維変化病
  1.臨床症状と画像所見,検査所見
  2.神経病理学的所見
  3.治療と予後
 12 クロイツフェルト・ヤコブ病
  1.疾患の分類,疫学,診断基準
  2.プリオン病の個体間伝播予防
  3.プリオン病の治療
 13 正常圧水頭症
  1.iNPHの疫学と診断基準
  2.鑑別/併存診断
  3.臨床症候
  4.検査
  5.治療
  6.症例提示
 14 内科疾患による認知症
  1.主な原因と分類
  2.ビタミンB1欠乏症
  3.神経梅毒
  4.薬剤性認知障害
 15 脳神経外科疾患による認知症
  1.Gliomatosis cerebri(GC)
  2.Lymphomatosis cerebri
  3.慢性硬膜下血腫
  4.硬膜動静脈瘻
  5.慢性外傷性脳症
 16 悪性リンパ腫
  1.疾患概念・病態
  2.臨床症候・診断
  3.治療
 17 HIV感染による認知障害
  1.定義,分類
  2.診断基準
  3.病理所見
  4.治療
  5.進行性多巣性白質脳症(PML)
 18 Huntington's disease-like(HDL)syndrome
  1.HDL1
  2.HDL2
  3.HDL3
  4.SCA17(HDL4)
 19 神経核内封入体病
  1.疾患概念
  2.臨床症候
  3.診断,鑑別診断
  4.検査(画像,病理)

付録
 付録1 改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
 付録2 日本語版MoCA(MoCA-J)

索引

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画像と病理から認知症診療の新時代を照らす道標
書評者:岩坪 威(国立精神・神経医療研究センター神経研究所所長)

 本邦においてさまざまな背景病態を持つ認知症に悩まれる人の総数は,軽度認知障害レベルの人を含めると1000万人に達し,その適切な診断と治療の実現は焦眉の急となっている。冨本秀和先生の監修の下「表裏一体の関係にある画像と病理をわかりやすく視覚的に対比することにより,認知症の臨床診断と病態の理解・解明を導く」ことを基本コンセプトとする本書の初版が上梓されたのは2018年のことであった。以来本書は認知症にかかわる多くの医師・学徒に広く支持され,この領域における定番のロングセラーとなってきた。

 過去10年の間に認知症の診断と治療には革命的な進歩があった。その1つは,2023年に抗アミロイドβ抗体療法の早期症候性アルツハイマー病(AD)に対する臨床実用が,初めての疾患修飾療法として開始されたことにある。抗体療法の適応確定には,分子イメージングもしくは脳脊髄液バイオマーカーを用いたアミロイド病理の診断が必要となり,領域を挙げての悲願であったアミロイドPET診断の臨床実用がついに開始された。一方で抗体療法に独特な副作用として,アミロイド関連画像異常(ARIA)というまったく新しい治療関連病態が出来し,安全性の確保のために必須となった高磁場MRIによる画像診断は,画像診断医と認知症専門医の双方に新たな経験と知識を要求するに至った。他方,リン酸化タウ217に代表される体液バイオマーカーの急速な進歩は,画像診断とのシナジーにより,軽度認知障害期に先行する無症候の「プレクリニカル期」におけるAD病態の診断と超早期の治療介入をも可能とし始めている。この時機に,最新の知見を反映した本書の第2版が刊行されたことは時宜を得て,また必然であったと申せよう。

 本書の構成は極めて直截明解,かつ効果的である。まず序論「画像から見た脳の解剖」では,わずか14ページの紙面に,認知症性疾患の画像形態学的診断に必要な脳解剖学が,MRI画像と共に凝縮されている。続く認知症総論では,清水聰一郎教授と門下の先生方により診断,症候,薬物療法が,また非薬物療法,予防はそれぞれの第一人者である島田裕之博士,小原知之博士により,そのエッセンスが開陳される。ついで「診断に有用な画像検査」では,MRIを中心とする形態画像が掛田伸吾教授と門下の先生方により,またPET他核医学は石井一成教授により解説される。認知症性疾患の病理は,第一版に続き吉田眞理先生が美しい組織病理写真を駆使して明解に論じられる。異常線維の原子レベルの構造解明を可能としたクライオ電子顕微鏡の成果や,FTLD-TAFなどの最新知見も盛り込まれている。続く「主要疾患の病態」の冒頭,木下彩栄教授による33ページに上るADの最新知識の概説はまさに圧巻であり,新堂教授による血管性認知症に続き,全19種の主要な認知症性疾患の疾患概念,病態,臨床,画像,診断・治療が一気に解説される。どのセクションにも,美しく理解しやすい図版が豊富に用いられ,「わかりやすい視覚的対比」を基軸に認知症の理解を導こうとする,工藤與亮教授ら編集に携わられた先生方の細心のご工夫が感じられる。

 本書が,本邦において認知症専門医が切り拓いて行く薄暮の広野を照らす道しるべとなり,認知症に悩まれる多くの国民に福音と救済をもたらす原動力となることを確信している

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