総合リハビリテーション Vol.54 No.6
2026年 06月号

ISSN 0386-9822
定価 2,640円 (本体2,400円+税)

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特集 地域で育つ療育──全国の実践と課題

 「療育」は高木憲次先生や高松鶴吉先生といった先人が提唱され,積み上げられてこられた概念であり,実践です.本特集は,現在の日本における療育がどのような状況にあるのかをまず総論で示し,その後に全国各地における実践と課題を各論としてご執筆いただきました.
 当初は肢体不自由児が念頭におかれていましたが,現在では知的障害や発達障害,難聴児なども療育の対象となっています.また,療育にもエビデンスが求められる時代にもなっています.今後の療育がどうあるべきかについてもじっくり考えていきたいと思います.

1.日本の療育の現状と課題:総論 日戸由刈 氏
 肢体不自由や知的障害に加えて発達障害への支援の必要性が急激に増加した経緯,民間事業者による支援の導入などの日本の療育の歴史を振り返りながら,療育の「量」の問題と「質」の問題を詳しく述べていただいた.時代の変化とともに,地域のなかで子どもにかかわる家族やすべての関係職員が共通の理解をもち,必要に応じて子どもを手伝うというインクルーシブな体制づくりが求められている.療育を担う機関単独での支援で完結するものではないと強く述べている.

2.医療と福祉がスクラムを組んできた横浜モデル 岩佐光章 氏
 神経発達症の子どもに対する療育に関する最近の取り組みを中心に紹介しながら,今後の課題についても解説していただいた.横浜市では,早期発見・早期療育という基盤を踏まえながら,利用者の爆発的な増加と療育ニーズの多様化に対応してきた.現在は,医師による診断を必要としない発達相談を一次支援として全市で事業化し,必要に応じてさらなる療育サービスとして医師の診察から始まる二次支援へと移行させるシステムへと変化を図っている.

3.豊田市における神経発達症児への早期支援システム 若子理恵 氏
 全国的な傾向ではあるが,豊田市においても母親の就業率の上昇と保育園などへの就園の低年齢化が進みつつあり,これまでの早期発見・早期支援の流れにも多様化がみられるようになっている.また,豊田市ならではの課題として,外国にルーツのある子どもたちへの支援が挙げられる.早期支援システムは主に幼児期を対象とするが,その後の各ライフステージにおける支援の基盤となる.社会状況やニーズの変化を踏まえつつ,有効性の検証と体制の見直しを継続していく必要がある.

4.大分県における地域支援体制の整備と多職種連携の取り組み 清田晃生 氏
 大分県には公立の療育機関やこども病院がなく,専門的療育や多職種による包括的支援の多くを民間医療機関が担っている.さらに,県全体の広い地域における療育機関の偏在や質の担保,人材育成なども大きな課題として挙げられている.療育は専門機関だけが担うものではなく,家庭や園・学校を含め,子どもにかかわるすべての大人によって日常的に実践されるべきものであるという著者の言葉は,リハビリテーション専門職も心しておくべきことである.

5.長野県北信圏域における多職種連携による療育支援 福岡 寿 氏
 人口8万人ほどの地域において,療育資源の乏しさを背景として,診断の有無にかかわらず一人ひとりの特性に応じて最適な支援が検討できるよう,行政を軸とした福祉・教育・医療などの多職種多領域による連携のプラットフォームを構築されてきた.これらの経過はとても参考になる.また,気になる児童をすぐに障害児支援のフローに乗せるのではなく,グレーゾーンのままある種ペンディング状態を保障していく場づくりと伴走チームづくりが重要という著者の主張には頷ける部分が多い.

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医書.jpにて、収録内容の記事単位で購入することも可能です。
価格については医書.jpをご覧ください。

特集 地域で育つ療育──全国の実践と課題

日本の療育の現状と課題:総論
日戸 由刈

医療と福祉がスクラムを組んできた横浜モデル
岩佐 光章

豊田市における神経発達症児への早期支援システム 
若子 理恵

大分県における地域支援体制の整備と多職種連携の取り組み
清田 晃生

長野県北信圏域における多職種連携による療育支援
福岡 寿


●巻頭言
筋から広がるリハビリテーション医療
松瀬 博夫

●入門講座
ロボット介護機器の今①
介護テクノロジーの今──介護現場における生産性向上(業務改善と介護サービスの質の向上の両立)に向けて
山崎 陽介

●実践講座
私はこうしている──ボツリヌス治療とリハビリテーション④
痙性斜頸
向井 洋平

既製品の短下肢装具の選び方④
カーボン製AFO
平山 史朗

●研究と報告
高齢者の離床における入院前フレイルの特徴と運動自己効力感の関連
冨樫 健太,他

●症例報告
抗NXP-2抗体陽性皮膚筋炎に対する運動療法についての検討
松本 和絵,他


●患者会がつなぐ当事者の力③
わが名のパーキンソン病一代記
椛島 茂昭

●リハビリテーション専門職のワークライフバランス⑤
訪問療法士のワークライフバランスと人材確保
鈴木 修

●Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
吉村昭の『白い航跡』──大隈重信襲撃事件と高木兼寛
高橋 正雄

●Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「星野先生は今日も走る」──特別のニーズのある子供が熱血教師の「善意」の暴走によって潰される
二通 諭

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