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日本語版ASQ-3【質問紙ダウンロード権付】
乳幼児発達検査スクリーニング質問紙

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いつでもどこでも親や養育者らが質問に回答することで、子どもの発達をはかれる検査を書籍化。エコチル調査によって設定された日本における基準値をもとに、10月齢分の質問紙を利用することができる。保育や教育、乳幼児健診や小児医療、児童福祉の現場、国内外のさまざまな研究など、乳幼児にかかわるあらゆる分野での活用が期待される。

書籍購入者特典として、質問紙のPDFファイルをダウンロードしプリントして使用可能。

監修 橋本 圭司 / 青木 瑛佳 / 目澤 秀俊 / 中山 祥嗣
発行 2021年10月判型:A4頁:156
ISBN 978-4-260-04754-8
定価 19,800円 (本体18,000円+税)

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 近年,医学や心理学領域の研究の進歩により,神経発達症の概念が明確化されるとともに発達や神経発達症に関連するアセスメントツール(検査・尺度)が世界的に多数開発されてきました.日本で利用可能なツールの数も,この15年の間に急速に増えました.日本国内でよく用いられる乳幼児発達検査として,遠城寺式乳幼児分析的発達検査(1960年発表・1977年改訂)や津守・稲毛式乳幼児精神発達診断法(1961年刊行・1995年増補),新版K式発達検査(1951年開発・2001,2020年改訂)などが有名です.しかし,いずれの発達検査も訓練を受けた専門家による対面評価が必要とされ,これらを実施することができる医師,心理職,言語聴覚士,作業療法士,理学療法士などのスタッフがいる施設は限られています.
 このような状況に加え,2020年に始まったコロナ禍以降,ASQ-3のようないつでもどこでも両親や養育者によっても記入可能なスクリーニングおよびモニタリングツールのニーズがますます高まっているように感じます.米国では,地域の療育プログラムや福祉サービス,教育・保育施設,病院や診療所などで幅広くASQ-3が用いられています.わが国においては,母子保健法に基づいて行われる乳幼児健康診査が重要な役割を果たしていますが,その際に使用できる有用なスクリーニングやモニタリング補助ツール,保育園や幼稚園での定期面談時の参考資料,病院における小児科入院時評価,診療所における定期発達チェック,児童相談所における相談対応の基礎資料などとしてASQ-3の活用が期待されます.
 日本語版ASQ-3(J-ASQ-3)は,環境省の実施する「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」のパイロット調査(エコチル調査パイロット調査)に参加いただいた約400人のお子さんのデータより,0~5歳の10種類のJ-ASQ-3質問紙の結果をまとめ,日本における基準値を設定しました.また,その結果を用い,国立研究開発法人国立成育医療研究センターと東京・世田谷のクリニックに受診されたお子さんにご協力いただき,発達遅滞のお子さんをスクリーニングするために一定の信頼がおける質問紙であることを検証いたしました.本マニュアル内では詳しい信頼性・妥当性検証の記載をしておりませんが,検証結果に関しては,論文としてインターネットで公開されていますのでご参照ください〔Mezawa H, Aoki S, Nakayama SF, Nitta H, Ikeda N, Kato K, Tamai S, Takekoh M, Sanefuji M, Ohga S, Oda M, Mitsubuchi H, Senju A, Kusuhara K, Kuwajima M, Koeda T, Ohya Y, Hashimoto K(. 2019),Psychometric profile of the Ages and Stages Questionnaires, Japanese translation. Pediatrics International, 61:1086-1095. https://doi.org/10.1111/ped.13990〕.
 J-ASQ-3では,2歳未満の乳幼児期において,パイロット調査での質問紙の回収数が少ないことから基準値(カットオフ値)が安定していない可能性があります.そのため現時点では,低年齢の評価では注意が必要です.この問題点については,全国10万人のお子さんにご参加いただいているエコチル調査の結果を検討し,より信頼性の高い基準にすることで改善していく予定です.エコチル調査は大きな調査であり,そのデータ整理に時間がかかりますが,その間も多くの方々からJ-ASQ-3に関して問い合わせをいただいており,一定以上の質を担保したことから,エコチル調査でのすべての結果を待たずに,今日の出版に至りました.大規模なデータを用いた,より正確な基準値の設定については,今後の改訂によりたいと考えています.
 以前であれば,専門家でない親やその他の第三者による評価はあてにならないというような批判もあったかもしれません.しかし,適切な手続きで信頼性・妥当性を検証されたJ-ASQ-3は,乳幼児にかかわるあらゆる分野で活用が期待される重要なツールとして,今後もさらなる進化をとげていきます.J-ASQ-3が,広く保育や教育,乳幼児健診や小児医療,児童福祉の現場,さらには国内外のさまざまな研究に用いられ,未来ある子どもたちの発達と将来の発展の一助となることを願います.
 最後に,J-ASQ-3の標準化作業にご協力くださった,国立研究開発法人国立環境研究所エコチル調査コアセンター,国立研究開発法人国立成育医療研究センターエコチル調査メディカルサポートセンター,エコチル調査パイロット調査ユニットセンター,および全国15か所のエコチル調査ユニットセンターのみなさま,そして,エコチル調査パイロット調査,エコチル調査にご協力いただいたすべてのお子さんとそのご両親に心からの感謝を捧げます.

 2021年9月
 監修・訳者代表 橋本圭司

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1 日本語版ASQ-3(J-ASQ-3)使用ガイド
 日本語版ASQ-3について
 日本語版ASQ-3の使用方法

2 日本語版ASQ-3(J-ASQ-3)
 1 6か月
 2 12か月
 3 18か月
 4 24か月
 5 30か月
 6 36か月
 7 42か月
 8 48か月
 9 54か月
 10 60か月

3 原版ASQ-3ユーザーズガイドより
 Chapter 3 ASQシステム
 Chapter 4 第1フェーズ.スクリーニング・フォローアッププログラムの計画
 Chapter 5 第2フェーズ.スクリーニングプログラムの準備,構築および運営
 Chapter 6 第3フェーズ.ASQ-3の実施と得点計算および事後フォロー
 Chapter 9A ASQ-3を親と使用するための教育専門家のためのステップ

索引

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『日本語版ASQ-3――乳幼児発達検査スクリーニング質問紙』の3つの特長
書評者:小枝 達也(国立成育医療研究センター副院長/こころの診療部統括部長)

 本書の主な特長について3点述べたいと思う。

 1番の特長は,親などの養育者が記入して,発達の遅れを把握することができる点であろう。本邦においてはこれまでに優れた独自の発達検査法が開発され,現在でも広く使用され続けている。これらは検査法を学んだ検査者が実施するものであり,一般の養育者が記入することはできない。このたびASQ-3の登場によって,養育者が記入して,簡便に子どもの発達の状況を把握できるようになった。これは画期的なことである。

 養育者は必ずしも子どもの成長や発達がわかっているわけではない。これが養育者による自記式のスクリーニング質問紙の登場を阻んできた。本スクリーニング質問紙では,養育者が記入できるように,わかりやすく具体的な指示が記載されている。これが一番の特長であると思う。例を示すと30か月用質問紙のコミュニケーション領域の5番目に「指差したり,ジェスチャーでヒントを与えずに,『本をテーブルの上において』と『靴をいすの下において』と指示してください。お子さんは,両方の指示を正確に行いますか」という質問がある。子どもの発達をよく知らない養育者でも間違えようがないほど,とても具体的でわかりやすい記述となっている。

 2つ目は,各月年齢のそれぞれの領域には6つの質問があり,それらが容易なものから難易度の高いものへと順に並べてある点である。先ほど例示した質問は36か月用になるとコミュニケーション領域の3番目に配置してある。つまり各月年齢でいくつかの質問が重なりながら登場している。子どもの発達には,幅あるいはブレがあるものである。そのため「里程標」といわれる発達の目安となる事象(例えば2歳で2語文を話す)を標準的な月年齢に配置して,それを通過するかどうかで判定すると,未通過の場合に養育者はがっかりするし,たった1項目だけで遅れているという誤った判断をしかねない。本スクリーニング質問紙では,6つの質問を設定することで,発達のブレの影響を吸収する構造となっている。

 3つ目は,本書のオリジナルは米国のオレゴン大で開発されたものであるが,当初は子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)のために翻訳されて用いられたことから,日本の幼児で標準化された質問紙であること,および今後もエコチル調査での結果が解析されたときには,およそ10万人の幼児のデータを用いて原版よりもさらに精度の高い質問紙へとバージョンアップされる点である。エコチル調査の継続とともに,本スクリーニング質問紙も継続して活用されることを期待している。

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