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総合リハビリテーション Vol.54 No.7
2026年 07月号
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今月のハイライト
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特集 地域・多職種で支える高齢者心不全
本邦は急速な高齢化の進行に伴い,心不全を抱える高齢者が増加の一途をたどり,心不全パンデミックと言われる状況となっています.こうした高齢者心不全患者に対しては,多面的なケアがますます重要です.
本特集では,2025年に改訂された「心不全診療ガイドライン」の要点とその臨床現場への応用,高齢者にしばしば合併するフレイルやサルコペニアへの対応も含めた運動療法の進め方についてご解説いただきました.また,認知機能の低下や身体的脆弱性が顕在化した事例,さらに advance care planning・意思決定支援の視点などについて看護実践の知見をご紹介いただきました.さらに,薬剤師が多職種連携のなかで果たす役割を,退院時連携・在宅支援・生活習慣フォローアップの観点から,最新の実践ガイドラインを踏まえて提示いただきました.加えて在宅医療と情報通信技術を融合させた home-based cardiac rehabilitation(HBCR)の取り組みについてもご紹介いただきました.
いずれも高齢者の生活の質向上と心不全の再入院予防のための多職種連携と,地域に根ざした支援体制の構築に向けた貴重な内容であり,本特集が読者の皆様にとって,臨床の現場や地域連携を再考する契機となれば幸いです.
1.高齢者心不全診療の変遷と心臓リハビリテーションの進化 佐藤琢真 氏
高齢化が進む本邦において,心不全診療は疾患軌跡全体を見据えた長期的管理へと変化している.薬物療法の進歩に加え,心臓リハビリテーション,多職種連携,地域医療との協働を統合した包括的管理が,高齢心不全患者の生活機能と生活の質を維持するうえで重要な役割を果たす.今後は,心臓リハビリテーションを中心とした多職種連携モデルを臨床現場にどのように実装し,持続可能な医療として確立していくかが,高齢者心不全診療の重要な課題となる.
2.身体的フレイルおよびサルコペニア合併例へのリハビリテーション 内海裕也 氏ら
本稿では身体的フレイルおよびサルコペニアを併発した心不全患者に焦点を当て,運動不耐性の原因整理,臨床現場における運動機能評価,各身体機能レベルに応じた運動療法のベストプラクティスおよびそのエビデンスを紹介している.複雑な背景を有することが多い高齢心不全患者においては,理学療法士が行う運動療法だけでなく,管理栄養士による栄養管理および嗜好調査,薬剤師による多剤内服に伴う弊害予防,心理士による行動変容の支援および抑うつ・不安など心理的問題の改善,看護師によるセルフケア支援および生活管理,社会福祉士による社会的支援など,多くの医療専門職のサポートが必須である.そして,それらのサポートが運動療法の効果を最大限に発揮するための条件と言える.
3.高齢心不全患者の生活を支える看護実践──入院から地域生活までをつなぐ意思決定支援と多職種連携 久家由美 氏
高齢心不全ケアにおいて看護師は,医学的介入の適正化のみならず,患者の生活状況・実態を把握し,支援者・制度・地域資源を組み合わせながら,患者・家族の希望に沿った療養環境を調整する役割を担っている.本稿では,高齢心不全患者に対して,入院から地域生活までを連続的に支えるための多職種連携,意思決定支援,生活を見据えた支援のあり方について,看護実践の視点から述べている.
4.地域における心臓リハビリテーション継続支援──薬剤師の視点から 髙井 靖 氏
心不全は再入院率が高く,医療・介護・地域が一体となった継続支援が不可欠な疾患である.心臓リハビリテーションは,運動療法だけでなく,薬物療法・栄養・心理・社会支援を含む包括的介入であり,その継続支援において薬剤師が果たす役割はきわめて大きい.薬剤師は,退院時薬剤サマリーによる情報連携を基盤として,在宅療養における服薬支援・副作用モニタリング・体重・食事・生活支援など,心不全治療全体の「ハブ」として機能する.今後は,地域連携の実効性を高めるために,薬剤師が多職種とともに共通の指標を用いてアウトカムを評価し,地域包括的な心臓リハビリテーション継続支援モデルを構築していくことが求められる.
5.情報通信技術を活用した在宅心臓リハビリテーションプログラム 永富祐太 氏ら
本稿では,home-based cardiac rehabilitation(HBCR)に関する国内外のエビデンスを整理し,その臨床的意義,実践上の工夫と課題について解説している.通院型心臓リハビリテーションが依然として標準的介入である一方,HBCRは超高齢社会と限られた医療資源のもとで,継続可能かつ実装性の高い介入手段として発展させていく必要がある.そのためには,質が担保されたプログラムの構築とともに,有効性・安全性に関する検証を進め,さらなるエビデンスを蓄積していくことが不可欠である.これらを基盤として,将来的な保険償還と臨床現場への定着により,患者の生活圏における心臓リハビリテーションの継続的実施が期待される.
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特集 地域・多職種で支える高齢者心不全
今月のハイライト
高齢者心不全診療の変遷と心臓リハビリテーションの進化
佐藤 琢真
身体的フレイルおよびサルコペニア合併例へのリハビリテーション
内海 裕也,他
高齢心不全患者の生活を支える看護実践──入院から地域生活までをつなぐ意思決定支援と多職種連携
久家 由美
地域における心臓リハビリテーション継続支援──薬剤師の視点から
髙井 靖
情報通信技術を活用した在宅心臓リハビリテーションプログラム
永富 祐太,他
●巻頭言
広がり続けるリハビリテーション医療のなかで
牛尾 会
●入門講座
ロボット介護機器の今②
ロボット介護機器・介護テクノロジーの開発支援──「つくる」から「使える」,そして「選べる」へ
東 彩
●実践講座
私はこうしている──ボツリヌス治療とリハビリテーション⑤
回復期リハビリテーション病棟におけるボツリヌス治療
菅原 英和
既製品の短下肢装具の選び方⑤
Remodeled Adjustable Posterior Strut(RAPS)
勝谷 将史
●研究と報告
脳卒中患者における麻痺側上肢の生活場面での使用に対する自己効力感を評価するための「Confidence in Arm and Hand Movement(CAHM)scale」日本語版の開発と信頼性・妥当性の検討
永吉 隆生,他
大腿骨近位部骨折術後患者における退院時歩行自立に関連する入院時要因
佐藤 瑞騎,他
●サルコペニア・フレイルに対する領域横断的視座①
呼吸サルコペニア
宮崎 慎二郎
●患者会がつなぐ当事者の力④
「ライフマップ」を道標に,人生を謳歌する──日本二分脊椎症協会の歩みとこれからの医療連携
宇佐美 珠江
●学会印象記
第41回日本義肢装具学会学術大会
菊地 尚久
●Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
夏目漱石の『こころ』──願望充足的な側面
高橋 正雄
●Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「90メートル」──ヤングケアラーが抱える困難と周囲の支援のあり方に光を当てる
二通 諭




