総合リハビリテーション Vol.53 No.10
2025年 10月号

ISSN 0386-9822
定価 2,640円 (本体2,400円+税)

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特集 どうしていますか 下肢装具

 脳卒中をはじめとする麻痺性疾患に対する装具療法はリハビリテーション専門職にとって必要不可欠な知識であり技術です.急性期・回復期においては治療手段の一つとして,生活期においては日常生活や社会生活を送るうえで必要な用具として,数多くある下肢装具の中から選択・処方し,利用されています. 今回の特集では下肢装具の選択や処方,継続した利用のための対策などに関して,急性期から生活期まで医療の立場や訪問リハビリテーションの立場,義肢装具士の立場から幅広く現状と課題を執筆していただきました.

1.急性期病院における現状と課題 尾﨑 文 氏ら
 脳卒中患者が初めて下肢装具を使用する急性期病院では,種々の下肢装具を備品とするとともに,回復期以降も有効に活用されるような下肢装具の作製が行われている.また,退院後の修理や再作製のタイミングなどを見据えた病院内・病院間,介護サービス提供者など職種間の連携,情報共有も不可欠と述べられている.さらに北九州市では,著者らの機関の協力のもと,行政が中心となって「補装具管理手帳」を作成し運用されているのも特徴的である.

2.回復期リハビリテーション病棟における現状と課題 和田恵美子 氏
 回復期リハビリテーション病棟においては,病態の変化に応じて調整が可能であり,スタッフが使い慣れている装具こそが“よい装具”である.下肢装具の選択や作製の実際を詳細に示していただき,他の回復期リハビリテーション病棟にとっても参考になると考える.また,民間病院ではあるが高知県の補装具の判定医療機関として公的な役割も担っていることは,他の自治体や医療機関における補装具判定のあり方を考えるモデルとなるのではないだろうか.

3.訪問リハビリテーション事業所の立場から 馬上泰次郎 氏ら
 生活期では身体状況の変化,装具の経年劣化,生活環境との不適合などさまざまな問題が生じる可能性がある.訪問リハビリテーションあるいは通所リハビリテーションにおける専門職による装具のフォローアップは,利用者が安全に装具を使用し続けるために重要な役割を果たしている.一方で,理学療法士の養成校での義肢装具に関する実践的な教育内容の不足が指摘されている.また卒後教育における研修機会の不足や実践的スキルの習得機会が乏しいことも課題である.

4.製作事業者の立場から 二宮 誠 氏
 急性期病院においては,著者らが25年ほど前から改良を重ねているモジュラー式の装具をリハビリテーション室の備品として使用している.その後回復期では本人用の装具を作製していくが,具体的な短下肢装具の選択について経験に基づく細かな工夫が紹介されている.患者の社会復帰率を向上させるためにも,定期的なフォローアップが必要であるとも述べられている.製作事業者の立場からは日常臨床や制度上の課題はまだまだあると思われるが別の機会にお聞きしたい.

5.補装具のフォローアップ研究から 高岡 徹 氏ら
 著者らは,2020~2023年度まで補装具のフォローアップに関する現状調査と具体的な対応策に関する厚生労働科学研究費補助金による研究を行った.今回はそのなかから身体障害者更生相談所や自治体などの公的機関の調査を中心に解説してもらった.補装具のフォローアップは補装具自体の損耗,不具合をみるだけでなく,支給された補装具によって利用者の生活スタイルの変化,活動性の向上が得られたかを確認していく働きかけの機会でもあることを認識したい.

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医書.jpにて、収録内容の記事単位で購入することも可能です。
価格については医書.jpをご覧ください。

特集 どうしていますか 下肢装具

急性期病院における現状と課題
尾﨑 文,他

回復期リハビリテーション病棟における現状と課題
和田 恵美子

訪問リハビリテーション事業所の立場から
馬上 泰次郎,他

製作事業者の立場から
二宮 誠

補装具のフォローアップ研究から
高岡 徹,他


●巻頭言
生きづらさを生きるために
織田 靖史

●入門講座
睡眠とリハビリテーションを科学する②
現代社会の睡眠問題とその対応
藤原 広明,他

●実践講座
心臓リハビリテーションに役立つ検査レポートの読み方①
血液検査
石田 岳史,他

嚥下障害の評価の実際⑦
療養型病床での嚥下障害の評価
白波瀬 元道,他

●研究と報告
若年外傷患者において受傷機転が自殺企図であることは回復期リハビリテーションの阻害因子となるか──傾向スコアマッチングを用いた後方視的研究
塚本 康司,他

●症例報告
右半球損傷により失文法を呈した交叉性失語の1例
佐野 剛雅,他


●ビッグデータ,リアルワールドデータの活用①
リハビリテーション領域の医療ビッグデータ活用
松田 晋哉

●デジタルアウトリーチの進化が切り拓く新たな可能性③
バーチャル学会が切り拓く新時代の学術交流
亀岡 嵩幸

●Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
沢木耕太郎の『流星ひとつ』──藤圭子の被虐待体験
高橋 正雄

●Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「市外戦のジャズメン 作家 佐藤泰志の衝撃」──1960年代後半の高校生の心象風景を刻印する試み
二通 諭

●学会報告
第58回中国四国リハビリテーション医学研究会
泉 仁

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