特集 アディクション コロナ禍で変わったこと,変わらないこと
ISSN | 0488-1281 |
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定価 | 3,080円 (本体2,800円+税) |
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特集にあたって
中尾 智博(九州大学大学院医学研究院精神病態医学/本誌編集委員)
本誌における前回のアディクション特集は,樋口進先生による2018年2月号の企画「多様なアディクションとその対応」であり,約6年前に遡る。その後もアディクションに関しては,精神科医療,そして世間一般においても依然高い興味と関心が寄せられており,ICD-10からICD-11への移行に伴うアディクション概念の変化にも注目が集まっている。さらに,2020年以来長期に及んだ新型コロナウイルス感染症パンデミック(コロナ禍)による生活環境や対人関係の変化,リモートの普及,景気の後退は,さまざまなアディクションを発症するリスクを高めている可能性がある。以前に世界保健機関(WHO)が実施した自殺者の調査では,物質関連障害は気分障害に次いで高頻度でみられたというデータがあり,コロナ禍においてわが国の自殺者減少傾向が下げ止まり上昇に転じた背景には,アルコールの乱用と未治療うつ病患者の潜在的増加が影響している可能性がある。また,大麻を中心とした違法薬物乱用者および市販薬の常用量依存者の増加傾向も憂慮すべき事態である。
アディクションの概念は,近年の精神医学において急速な拡大をみせているが,それは物質依存以外に,行動嗜癖や関係依存といった多様な概念が含まれるようになった点が大きいだろう。統合型リゾート施設(IR)実施法とともにギャンブル等依存症対策基本法の制定がされたが,パチンコや競馬・競艇といった従来型のギャンブルに加え,スマートフォン(以下,スマホ)などからアクセスするオンライン・カジノの広がりも看過できない。また,インターネット・ゲーム依存やスマホ依存の広がりも然りである。行動嗜癖としては性的アディクションや摂食障害の問題にも注目が集まっている。
今回の特集では,アディクションをテーマとして,物質依存と行動嗜癖の両面から,それぞれの現状,課題,治療,対応について,その最前線の状況を専門家に論じてもらった。読者諸氏には,本特集によってアディクション概念に関する最新の知見を得ていただくとともに,アディクションの状況がコロナ禍ではたしてどう変わったのか,あるいは変わらなかったのかについて,ご確認いただければ幸いである。
収録内容
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特集 アディクション──コロナ禍で変わったこと,変わらないこと
企画:中尾 智博
特集にあたって
中尾 智博
■総論
アディクションの今日的理解──ICD-10からICD-11への変化を中心に
樋口 進
アディクションの脳科学
小林 七彩・他
■物質依存
アルコール依存症の疫学──COVID-19の流行によってアルコール依存症は増えたのか?
田中 増郎・他
アルコール依存症の病態──COVID-19流行下での変化も含めて
佐久間 寛之
アルコール依存症の治療
武藤 岳夫・他
覚醒剤依存の病態と治療
小林 桜児
大麻を巡る諸問題と対応
成瀬 暢也
ベンゾジアゼピン受容体作動薬の常用量依存とその回避に向けて
丹野 行博・他
■行動嗜癖
コロナ禍におけるギャンブル依存症の動向──GAMPから見えてくること
横路 優子・他
ギャンブル依存症からの回復にピアサポートが果たす役割
田中 紀子
ゲーム行動症(ゲーム障害)・ネット使用症(ネット障害)──ICDとDSMにおける位置づけの違いとCOVID-19の影響
宮田 久嗣
コロナ禍における性行動と性的アディクション
原田 隆之
摂食障害と常習窃盗──どこまで嗜癖性で説明できるのか
瀧井 正人
●研究と報告
月経随伴症状に関する調査フォームT(Menstrual Distress Questionnaire-Form T)日本語版の信頼性および妥当性の検討
下田 茉莉子・他
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