総合リハビリテーション Vol.51 No.12
2023年 12月号

ISSN 0386-9822
定価 2,530円 (本体2,300円+税)

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特集 リハビリテーション関連職種の動向

 リハビリテーション関連職種としてまず名前が挙がるのは,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,義肢装具士,そして看護師などですが,今回はそれに臨床心理士も含めて,卒後研修制度を中心に,質の維持向上,国民の期待やタスク・シフトなど業務の変革に対応している実情などをご執筆いただきました.複数の職能団体の現状を比較しつつ読むことで,読者の皆さんの抱える問題の解決,各職場での卒後研修の一助になれば幸いです.

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の卒後教育──「治療」を担う職種として 西村 行秀 氏ら
 理学療法士,作業療法士,言語聴覚士は,行った行為が「治療」として認定される,特殊な職種である.医師の卒後教育は,国民の健康と福祉を守るために医師をいかに育てるかという観点で議論され,改革されてきた.理学療法士,作業療法士,言語聴覚士においても,卒前・卒後教育制度を改革・構築していくことで,専門職としての広がりと深みをもたらすと考えられる.

理学療法士の動向──改変した生涯学習制度を中心に 斉藤 秀之 氏
 日本理学療法士協会は2022年度より生涯学習制度の新制度を開始した.新制度では卒後5年間(前期2年後期3年)の卒後研修を受けることによる登録,登録の更新を規定している.そして登録制度の上に認定制度と専門制度を並列におく二階建て制度である.そのほか,2021年には日本理学療法学会連合の独立により,学問としての専門分化をめざしている.

作業療法士の動向 山本 伸一 氏
 日本作業療法士協会では,1998年度創設の生涯教育単位認定システムを2003年度に生涯教育制度へ移行し,その後,基礎研修制度,認定作業療法士制度,専門作業療法士制度(11分野)の3つの制度をつくり,いずれも5年ごとの更新制としている.さらに,キャリア形成の柱となるクリニカルラダーを検討,女性作業療法士へのキャリア支援を検討している.業務の広がりとして,訪問での認知症,司法領域の作業療法などもある.

言語聴覚士の動向 内山 量史 氏
 日本言語聴覚士協会の生涯学習システム(2004年度より)では基礎プログラム(卒後3年が目安),専門プログラム(5年が目安),その上に受講できる認定言語聴覚士講習会・制度がある.また,2011年度より,実践者講習会を開催,2018年には,「言語聴覚士養成教育ガイドライン」をつくり,さらにキャリアップ(人材育成)ラダーを完成している.2021年に医師からのタスク・シフト可能な業務事例の通達もなされており,今後もそれを支える教育研修制度の充実が必要である.

義肢装具士の動向 東江 由起夫 氏
 日本義肢装具士協会では,新人プログラムと一般プログラムから成る卒後研修の標準プログラムを2022年に開始し,専門性強化のために,2020年より専門義肢装具士制度準備委員会を設け,「大腿義足WG」,「脳卒中下肢装具WG」,「車椅子シーティングWG」,「フットケア/足病WG」の4つの部門について準備している.また,「フットケア/足病WG」は「タスク・シフト/シェア研修WG」と協働して日本フットケア足病医学会の協力のもと研修会や実技セミナーを企画している.有資格者の減少が憂慮されているが,3Dなどの新規技術の導入も期待されている.

看護師の動向 粟生田 友子 氏
 看護とリハビリテーションに関しては,看護職の働くどの領域にもリハビリテーションの概念がケアの中に含まれるという視点があり,リハビリテーション病棟での看護ケアに限定せず,急性期/在宅/終末期リハビリテーションの考え方の普及により意識が変化しつつある.一方,専門看護・看護学としては,現在の専門看護師制度14分野のうちで6分野が狭義のリハビリテーション看護領域に関連している.今後もリハビリテーション看護が持つケアの根幹である「人を全人的に観る」,「ケアをつなぐ」,「専門職をつなぐ」視点が展開され,看護全体に普及することが期待される.

臨床心理士の動向──チーム連携に寄与する臨床心理士をめざして 藤原 勝紀 氏
 臨床心理士(Certified Ckinical Psychologist:CCP or CP)は,公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会から「臨床心理士」の名称で資格登録証明書(IDカード)を交付された,主に臨床心理学に特化して心理臨床実践を行う「心の専門家」のことである.指定大学院制度に基づく大学院で養成され,修士課程修了者が厳正な資格審査を受け,5年ごとの資格更新審査がある.さらに,日本心理臨床学会,日本臨床心理士会,日本臨床心理士資格認定協会の3団体,臨床心理士養成大学院協議会が密接に協力しながら,多種多様な機関や団体からの要請や依頼に応える活動を展開している.

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特集 リハビリテーション関連職種の動向

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の卒後教育──「治療」を担う職種として
西村 行秀,他

理学療法士の動向──改変した生涯学習制度を中心に
斉藤 秀之

作業療法士の動向
山本 伸一

言語聴覚士の動向
内山 量史

義肢装具士の動向
東江 由起夫

看護師の動向
粟生田 友子

臨床心理士の動向──チーム連携に寄与する臨床心理士をめざして
藤原 勝紀


●巻頭言
リハビリテーション科医になって思うこと
山内 克哉

●入門講座
小児リハビリテーションに必要な評価法⑫
日本感覚インベントリー改訂版(JSI-R)
太田 篤志

透析患者の運動リスクと効果④
腹膜透析患者のリハビリテーション時の留意点
遠藤 明里,他

●実践講座
排便障害と排尿障害③
病院における横断的な排泄ケアと多職種連携の実際
比留間 真子

●研究と報告
急性期脳卒中片麻痺者の上肢運動障害に対する
知覚探索アプローチの効果──準ランダム化比較試験
佐藤 将人,他

●調査
歯科で働く言語聴覚士の業務の現状と今後の課題
阿志賀 大和,他


●認知症者・家族をさまざまな観点や立場から支えるコミュニケーションスキル④
ユマニチュード──自律と自立を支えるための優しさを伝えるマルチモーダル・コミュニケーションケア技法
本田 美和子

●子供の車椅子・電動車椅子③
手押し型車椅子
本郷 俊弥

●Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
太宰治の『人間失格』──性的虐待告発の書
高橋 正雄

●Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「あつい壁」──小学生でも差別に抗し,闘うことができるのだ
二通 諭

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