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- EOI : essences of the issue
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EOI : essences of the issue
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特集 疾病・介護予防のための運動療法
運動療法は運動器への効果だけでなく,心血管機能や免疫・代謝機能,荷重支持組織や認知機能などへのさまざまな効果が明らかになってきた.理学療法士は身体活動のみでなく代謝・免疫・認知機能に運動がもたらすさまざまなエビデンスをもとにした介入方法を考案し,運動療法としてアプローチすることで専門性を勝ち得る必要がある.
本特集では,疾病・介護予防のための運動療法をエビデンスに基づいてご解説いただいた.また,これからエビデンスの構築が期待されている領域については,現状と課題について述べていただいた.
糖尿病(生活習慣病)予防のための運動療法 井垣 誠
2型糖尿病,生活習慣病の病態の一つであるインスリン抵抗性に対して,運動療法は重要な治療手段である.身体活動は「運動」と「生活活動」で構成され,1日全体のエネルギー消費量の増大を考える場合,「生活活動(ニート)」を増やすことがポイントとなる.有酸素運動,レジスタンス運動を中心として,患者の生活状況に応じて細切れ運動,座位時間の短縮を意識した運動療法が有効である.
骨粗鬆症予防のための運動療法 加藤諄一,他
高齢化が進む本邦において,骨粗鬆症を予防するための運動療法は,転倒や骨折により生じる介護状態を予防するために重要である.なかでもレジスタンス運動と荷重を伴う有酸素運動を複合した運動療法が最も有効である.本稿では,骨粗鬆症の発症メカニズムや治療,さらに予防に有効な運動療法を,本邦のガイドラインに加え,海外のガイドラインを含めた近年の知見を踏まえて報告する.
介護予防(フレイル予防)のための運動療法 大渕修一
疾病予防は疾病の発症を防ぐための取り組みで,感染性疾患と非感染性疾患の予防が主な方法である.一方,介護予防(フレイル予防)は生活機能の低下を遅らせる取り組みで,運動器の機能向上や知的活動の促進などが主な方法である.運動療法は過負荷の原則に基づく.疾病予防と介護予防は密接に関連しているが,高齢期では疾病予防と介護予防のアプローチは異なる場合があり,リスク要因に応じた適切な対応が求められる.
認知機能低下・認知症予防のための運動療法 片山 脩,他
認知症と診断される人の数は毎年増えている.正常な認知機能の老化とアルツハイマー病の間の過渡期とされる状態を軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)と呼ぶ.MCI者は,日常生活は自立しているが,歩行やバランス機能といった身体機能が低下していることが明らかにされている.したがって,MCI者では認知機能だけでなく身体機能に対する評価,そして運動療法を中心とした適切な対応が,身体機能および認知症低下の予防にとって重要となる.
非アルコール性脂肪性肝疾患・非アルコール性脂肪肝炎予防のための運動療法 水田敏彦
非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease:NAFLD)治療の原則は,栄養療法と運動療法による減量である.運動療法には,肝脂肪減少だけでなく,肝内の抗炎症,抗線維化,抗発癌効果,さらには心血管イベントや他臓器癌予防も期待できる.有酸素運動とレジスタンス運動の併用が効果的であり,減量できなくても継続することが重要である.2023年4月に日本肝臓学会より「肝臓リハビリテーション指針」が公開され,今後の発展が期待される.
がんの再発および重症化予防のための運動療法 井上順一朗
身体活動・運動は,がんサバイバーの体力の改善,QOLの改善,不安や抑うつ・倦怠感の軽減,体組成の改善などに効果があるとされている.一方,近年,がんの発症予防,再発予防,生命予後の改善に対する身体活動・運動の効果も明らかになってきている.そのため,がんサバイバーに対して身体活動の増進や積極的な運動療法を実施することが重要である.
変形性膝関節症予防のための運動療法 黒木裕士
膝関節に加わるメカニカルストレスに留意しながら膝装具療法,歩行方法の修正(gait modification),杖や足底板の使用と靴の種類の調整,大腿四頭筋やその他の下肢筋のトレーニングなどを組み合わせる理学療法を行うと,変形性膝関節症の進行予防に寄与する可能性がある.
情報通信技術(information and communication technology:ICT)活用による疾病予防のための運動療法 井尻朋人
これからの時代,情報通信技術(information and communication technology:ICT)を活用することでより効率的に,効果的に運動療法を提供し,疾病予防が可能となる.さまざまなICTが今後登場すると予測され,情報収集を随時行うとともに,自身の目的に適したICTを選択することが必要となる.特に,大規模集団の疾病予防にはICTが必須である.また,有効に活用するためにはデータを解釈する能力も重要となる.
産業保健分野における疾病予防のための運動支援 川又華代
厚生労働省が2023年に策定した「第14次労働災害防止計画」とそれに関連する指針を紹介する.そのうえで,産業保健分野における疾病予防のための運動支援について,労働者が所属する組織に対してアプローチすることで,そこで働く人々の身体活動を促進し,健康保持増だけでなく安全にも寄与することの必要性と事例について紹介する.
学校教育現場での疾病予防のための運動療法 川本晃平,他
児童・生徒の運動器疾患の有病率は高く,普段生活する学校教育現場での取り組みが重要である.運動器機能不全や用具の不適合などさまざまな問題が散見するなか,運動器疾患,スポーツ傷害の予防のためには年に1回の運動器検診のみでは不十分であり,理学療法士による多職種と連携した学校教育現場での継続的な事後措置が必要である.
収録内容
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特集 疾病・介護予防のための運動療法
エディトリアル 疾病・介護予防のための運動療法の基礎
白谷智子
糖尿病(生活習慣病)予防のための運動療法
井垣 誠
骨粗鬆症予防のための運動療法
加藤諄一,他
介護予防(フレイル予防)のための運動療法
大渕修一
認知機能低下・認知症予防のための運動療法
片山 脩,他
非アルコール性脂肪性肝疾患・非アルコール性脂肪肝炎予防のための運動療法
水田敏彦
がんの再発および重症化予防のための運動療法
井上順一朗
変形性膝関節症予防のための運動療法
黒木裕士
情報通信技術(information and communication technology:ICT)活用による疾病予防のための運動療法
井尻朋人
産業保健分野における疾病予防のための運動支援
川又華代
学校教育現場での疾病予防のための運動療法
川本晃平,他
■Close-up BCP
医療機関におけるBCPの考え方
有賀 徹
医療情報システムのBCPへの取り組み──バックアップの考え方
黒田知宏
医療施設リハビリテーション部門におけるBCP策定の具体的ポイント──COVID-19対応を例に
彦田 直,他
●とびら
安全な理学療法のための心得
関 公輔
●単純X線写真 読影達人への第一歩 9
頸椎症性脊髄症
大坂祐樹,他
●インシデント,ヒヤリハットから学ぼう [最終回]
個人情報関連のインシデントから学ぶ
木村 泰
●難しい症例のみかた [最終回]
肺癌の進行に伴い多発骨転移と急性呼吸不全を併発した症例
瀬崎 学
難しい症例のみかた──症例報告の意義と方法
内山 靖
●中間管理職の悩み 6
マニュアルを浸透させたうえで,どのように医療の個別性を上げていけばよいでしょうか
[回答者]津田陽一郎
●臨床実習サブノート 臨床実習で技術のステップアップをめざそう 9
治療技術③ バランス練習
高橋拓真
●プラクティカル・メモ
情報機器作業における障害予防の指導のポイント
上田泰久
●ひろば
学生と教員への助言──断片的知識を統合した教育活動
奈良 勲
●私のターニングポイント
挫折を得て,得たもの
別所慶宗
●My Current Favorite 21
選択アーキテクチャーとしての能力開発の場を提供すること
八木麻衣子
●学会印象記
日本呼吸・循環器合同理学療法学会学術大会2023──呼吸理学療法と循環器理学療法の「融合と統合」
中村可愛
第21回日本神経理学療法学会学術大会──理学療法の原点と未来──臨床知の探究
杉山 黎
付録・特典
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●Close-up BCP「医療施設リハビリテーション部門におけるBCP策定の具体的ポイント―COVID-19対応を例に」(彦田直,他)supplement
下記より、表2「亀田総合病院のリハビリテーション部門における業務モード」のsupplementをご覧いただけます。
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