理学療法ジャーナル Vol.58 No.1
2024年 01月号

ISSN 0915-0552
定価 2,090円 (本体1,900円+税)

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特集 Physical Activity

 ヒトが安静時よりも多くエネルギーを使う営み「physical activity(身体活動)」は,心身の健康への寄与,免疫能への好影響,生活習慣病予防など,多くの効果が期待されます.現代人の身体活動の減少が注目され,年齢や身体能力に合わせた適切な運動の継続が提唱されています.
 本特集はphysical activityの定義,意義,継続の難しさ,疾患群別留意点などを多角的にまとめました.身体運動を専門とする理学療法士として概念を理解し,その意義を理学療法に広く役立てていただきたいと思います.

Physical Activity──理学療法にどう取り込むか・活かすか 金居督之,他
 身体不活動や座りすぎはさまざまな健康リスクとの関連が報告されている.そのため,理学療法士は対象者に定期的な身体活動を促す必要がある.一方で,理学療法士は個別の疾患に対する専門知識を有しているものの,身体活動ガイドラインの理解は不十分な可能性がある.本稿では,身体活動にかかわる基礎知識を解説するとともに,理学療法士がガイドラインの普及・啓発に貢献できる可能性や,臨床への活かし方についても概説する.

Physical Activity──高齢者の特性と理学療法の役割 植田拓也
 高齢者の理学療法の最終目標は,生活機能の向上と望む暮らしの実現である.Physical activityには,運動と生活活動の2側面がある.高齢者に対する理学療法では,主に,physical activity の生活活動としての側面を充実させることを目的に本人が望む暮らしを実現するためのアプローチが必要である.運動療法は目的達成のための一手段であるが,心身機能の改善が困難な高齢者も多くおり,代替手段やさまざまな社会資源の活用など,広い視野をもったアプローチが求められる.

Physical Activity──なぜ運動を開始・継続できないのか? 習慣化と行動変容 真田将幸
 患者などへの身体活動や運動量向上目的の指導では,行動変容ステージに応じた介入が必要である.行動変容ステージが低い場合は主に「考え」など心理的要因に対する働きかけを行い,行動変容ステージが高い場合は主に「行動を強化」する働きかけを行う.臨床でトランスセオレティカル(transtheoretical)モデルなどの行動変容理論を用いることは,患者の行動を体系的に理解することにつながるため非常に意義深いと考える.

Physical Activity の心理的影響と理学療法 河合克尚
 Physical activityは身体機能面のみならず認知機能や心理・精神面にも影響をもたらす.本稿では,認知症予防やメンタルヘルスに対するphysical activityの影響と効果に関する知見を紹介し,physical activityに理学療法がどのように関与するか整理しながら,physical activityの心理・精神面への影響を意図した理学療法への応用について考える.

脳卒中とPhysical Activity 久保宏紀
 脳卒中者における身体活動促進は再発予防や機能改善に対して効果が示されている.一方で,脳卒中者は身体活動が低下しやすく,いかに身体活動を維持・促進するかは課題の一つである.また脳卒中者は幅広い重症度を呈すため,身体活動を一律に議論するのではなく,重症度や病期に応じた身体活動の目的や効果を考慮しておくことが望ましい.本稿では脳卒中者の身体活動の現状や評価方法,重症度に応じた目的・効果について概説する.

関節疾患とPhysical Activity 白谷智子
 関節リウマチや変形性関節症などの関節疾患に対しては愛護的アプローチが中心であったが,従来は禁忌とされた高負荷な身体活動(physical activity)により炎症の改善や骨破壊が進行しないとのエビデンスが提示されている.身体活動の向上のための集中的なトレーニングの後,理学療法士の指導により身体活動を生活のなかに取り入れていくことで患者の身体活動をファシリテートする必要がある.

内部疾患とPhysical Activity 内藤紘一
 身体活動は内部疾患の予防としての重要性が認知されており,日常に取り入れることが推奨されている.しかし,身体活動量の評価は十分に行われていない.また日常生活での身体活動は個別性が高く,詳細を把握することは困難である.そこで,リスク管理の観点から身体活動量評価が特に重要と考えられる心不全患者に対して,3軸加速度計内蔵活動量計を用いた評価が有効であった事例を2例紹介する.

がんとPhysical Activity 井平 光,他
 第4期がん対策推進基本計画では,「誰一人取り残さないがん対策を推進し,全ての国民とがんの克服を目指す」ことが全体目標として掲げられた.具体的な目標として,がんのリハビリテーション,支持療法の促進,がんと診断されたときからの緩和ケアの推進など,理学療法とかかわりの深い項目が明記され,その必要性が高まっている.本稿では,理学療法とがんとのかかわりが深いphysical activityに注目し概説する.

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特集 Physical Activity

Physical Activity──理学療法にどう取り込むか・活かすか
金居督之,他

Physical Activity──高齢者の特性と理学療法の役割
植田拓也

Physical Activity──なぜ運動を開始・継続できないのか? 習慣化と行動変容
真田将幸

Physical Activityの心理的影響と理学療法
河合克尚

脳卒中とPhysical Activity
久保宏紀

関節疾患とPhysical Activity
白谷智子

内部疾患とPhysical Activity
内藤紘一

がんとPhysical Activity
井平 光,他


■Close-up メカニカルストレス
PFC-FDTMによる治療の概要
髙木 博

メカニカルストレスに対する関節組織の細胞応答と相互作用
浅田啓嗣

靱帯再建の意義とメカニカルストレス
金口瑛典


●とびら
小児理学療法40年──原点は人生の強み
小玉美津子

●単純X線写真 読影達人への第一歩 10
腰椎分離症・すべり症
藤澤俊介,他

●今月の深めたい理学療法周辺用語 [新連載]
Multimorbidity──多疾患併存
菊池徹哉,他

●中間管理職の悩み 7
指導とハラスメントの狭間で,どのように指導したらよいのでしょう? 
[回答者]藤原愛作

●理学療法士のための「money」講座 [新連載]
お金は大事──実はみんな聞きたかったお金のこと
高橋哲也

●臨床実習サブノート 臨床実習で技術のステップアップをめざそう 10
治療技術④ 基本動作練習,移乗動作練習
石坂和貴

●プラクティカル・メモ
安価な器具──小型デジタルスケールを用いた筋力測定の工夫
坂口翔平,他

●ひろば
理学療法士の詩(うた)
奈良 勲

動物に対する理学療法──私の職場紹介
吉川和幸

●私のターニングポイント
脳卒中理学療法トップランナーとの邂逅が,私にもたらした現状打破
五月女宗史

●My Current Favorite 22
定量的評価機器を用いた理学療法評価
伊藤翔太

●学会印象記
第9回日本糖尿病理学療法学会学術大会──「チーム糖尿病理学療法」としてのご報告と深謝
竹田昌広

●臨床のコツ・私の裏ワザ──人工膝関節全置換術後の熱感を測定するコツ
元家佳仁

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