続 AI技術と人間の読解力(井部俊子)
連載
2019.11.25
| 看護のアジェンダ | |
| 看護・医療界の"いま"を見つめ直し,読み解き, 未来に向けたアジェンダ(検討課題)を提示します。 | |
| |
井部 俊子 長野保健医療大学教授 聖路加国際大学名誉教授 |
(前回よりつづく)
学校教育に必要なことは,「一に読解,二に読解,三,四は遊びで,五に算数である」と主張する新井紀子さんが,読解力アップの実践法を示した『AIに負けない子どもを育てる』(東洋経済新報社)を2019年9月に出版した。この著書は『AI vs.教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社)の続編である。
読解力とは何を指すのか
今回は,AIが苦手とする読解力を人間が身につけるにはどうしたらいいのかがメインテーマである。そこで「人間の読解力を診断し得るような高品質なベンチマークを作り,人間がそれを有償で受検する傍らで,AIにもそれを解かせてみるという研究」に取り掛かった。そうして生まれたのが「答えが書いてあるのに解くのが難しい不思議なテスト」とされるリーディングスキルテスト(RST)である。
RSTは6分野に分類して設計され,読者は本書の第3章でRSTを受検することができる。6分野とは,①係り受け解析(文の基本構造である主語・述語・目的語などを把握する力),②照応解決(指示代名詞が指すものや,省略された主語や目的語を把握する力),③同義文判定(2文の意味が同一であるかどうかを正しく判定する力),④推論(小学6年生までに学校で習う基本的知識と日常生活から得られる常識を動員して文の意味を理解する力),⑤イメージ同定(文章を図やグラフと比べて,内容が一致しているかどうかを認識する能力),⑥具体例同定(言葉の定義を読んでそれと合致する具体例を認識する能力)で構成される。近未来AIには到底解けそうにない問題群は⑤イメージ同定,⑥具体例同定であるという。
新井さんはRSTを提供する一般社団法人「教育のための科学研究所」を立ち上げ,すでに小学6年生から一流企業の社会人まで,延べ11万人を超える人々が有償版のRSTを受検した(私も本書で受検し...
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