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第3330号 2019年7月15日


Medical Library 書評・新刊案内


今すぐ知りたい! 不妊治療Q&A
基礎理論からDecision Makingに必要なエビデンスまで

久慈 直昭,京野 廣一 編

《評者》吉村 泰典(福島医大副学長/慶大名誉教授)

不妊治療の現在をとらえ,実践するための必読書

 生殖とは,生命体がこの世に現れて以来,連綿と繰り返してきた生命の保持を目的とした極めて重要な行為である。ヒトは生殖により次世代を産生し,個体の死を超えて存在することを可能にしている。近年の生殖医学の進歩には目覚ましいものがあり,生殖現象の解明のみならず,ヒトの生殖現象を操作する新しい技術も開発されている。とりわけiPS細胞や核移植胚由来のES細胞による配偶子再生は,今後の生殖医学や医療の展開にブレークスルーをもたらしてくれるかもしれない。少子化とも相まって,今後生殖補助医療によって誕生する子どもは増えるであろう。新しい医療技術を社会はどのように受け止め,家族としてどのように子どもを受け入れ,育てていくのか,あらためて問題となってくるであろう。

 このたび東医大教授の久慈直昭先生,レディースクリニック京野理事長の京野廣一先生の編集により,『今すぐ知りたい! 不妊治療Q&A――基礎理論からDecision Makingに必要なエビデンスまで』が医学書院より上梓された。本書においては,各専門家の長年の臨床経験に基づいた創意工夫や注意点がQuestion&Answer形式で記載されており,日常臨床における疑問を解決する趣意で草されている。多岐にわたる生殖補助医療技術について,いずれも臨床現場の最前線でご活躍の先生方が執筆されており,適応と限界,方法,治療成績,そして副作用や合併症対策に至るまで,極めて明快に論述されている。生殖医療の現場に携わっておられる先生方によって,日常臨床で遭遇する問題ばかりが選ばれており,明日からの治療に役立つプラクティカルな書であり,類書をみない。さらに,生殖医療を実践しようとしている医師へのメッセージが随所に込められており,まさに衣鉢を伝えるための書ともいえる。臨床の現場で本書を携えることで,実践を通して得た知識を整斉するためにも役立てていただきたい。また,生殖医療専門医,一般不妊治療に携わる医師,看護師から胚培養士をめざしている若い諸君に至るまで,clinical expertiseを高める意味でぜひとも活用を祈ってやまない。

 どのように科学が進歩しようとも,われわれは不妊という病気に対峙する一人の臨床医にすぎない。不妊治療の進歩は,素晴らしい先人たちの教えと,主治医としてかかわらせていただく患者さんからのリサーチクエスチョンによるところが大きい。本書は今日の不妊治療を実践する上で,その現在をとらえ,新しい動向に対応していくための必読の書である。

B5・頁384 定価:本体5,000円+税 医学書院
ISBN978-4-260-03826-3


医療職のための症状聞き方ガイド
“すぐに対応すべき患者”の見極め方

前野 哲博 編

《評者》坂口 眞弓(みどり薬局管理薬剤師)

患者が最初に会う医療職に必携のテキスト

 評者は薬局で生まれ育ち,いま薬剤師として72年続くその薬局の店頭に立っています。調剤業務が主ですが,健康サポート薬局の届出をしているので,OTC販売,健康相談,健康教室なども定期的に行っています。

 処方箋調剤だけを見ると,薬局薬剤師はラストアクセスの医療人であり,医薬品を適正に使用するために,個々の生活スタイルに合わせた服薬指導,薬を渡した後のフォローを行っています。薬剤師の業務が対物から対人へシフトしたこともあり,薬学的な知識や技能をもとに,患者さんそれぞれに適した薬物治療の責任を担う業務はますます重要になるでしょう。

 一方,「薬局は処方箋がないと入りにくい」「薬局の薬剤師に相談していいの?」などの声も聞かれ,薬局薬剤師が地域住民へ健康を支援する役割は,まだ広まってはいません。しかし薬剤師は,患者さんが最初に会う,ファーストアクセスの医療人でもあります。患者さんの訴えから正確な情報を聞き取り,解釈,判断をして,しかるべき対応を取ることが,大変重要な役割です。

 薬剤師向けの「臨床判断」「臨床推論」の書籍は種々発売されており,健康サポート薬局の届け出に必要な研修にも「薬剤師の臨床判断」が組み込まれていますが,論理的,体系的に情報を集めて判断を下すトレーニングは,まだ十分に行われているとはいえません。本書は「症状アセスメント能力を身につけることは,否応なく症状への対応を迫られる現場において,患者の問題を素早く的確に評価し,円滑なチーム医療のもとで適切なマネジメントにつなげることに役立つ」と,まとめられたものです。

 本書では,症状アセスメントを「情報収集」「解釈」「決断」の3つのステップに分けています。「ステップ1:情報収集」には,「①全症候に共通する情報」「②症候ごとに共通する情報」「③個別に収集すべき情報で定型化できるもの」「④個別に収集すべき情報で定型化できないもの」の4段階があります。医療職は③までを確実にカバーすることが必須であり,本書はそれができるようにまとめられています。また3章では,主要な19症状について,部位,性状,程度,経過,状況,増悪・寛解因子,随伴症状を尋ねる,より具体的なチェックリストを示しています。このリストはアプリも開発され,PCなどの端末から利用可能となっています。「ステップ2:解釈」では,「部位+病因で考える」「スピードとトレンド」「寛解・増悪因子」「『合わないところはないか』考える」ことがポイントになります。そして「ステップ3:決断」として,「すぐに受診」「数日中に受診」「ひとまず様子をみてよいが,しばらくしてもよくならなければ受診」「現段階では受診しなくてよい」のランクを示しています。また各症状の「緊急度判断チェックリスト」には,「見逃すな!」「これは安心!」の症状が記載され,その根拠もわかりやすく示されているので,相談者に回答するときに便利です。その他,症状アセスメントの実践例,医師への情報提供の方法が示されており,現場ですぐに応用できます。

 気軽に相談できる,地域住民の健康を支援する薬局の薬剤師をめざす者にとって,そして患者さんと接する全ての医療職にとって,本書は最適なテキストです。

B5・頁152 定価:本体2,500円+税 医学書院
ISBN978-4-260-03695-5


内科救急で使える! Point-of-Care超音波ベーシックス[Web動画付]

亀田 徹 著

《評者》野村 岳志(東京女子医大教授・集中治療医学)

ついに出た! 亀田先生のPoint-of-Care超音波

 Point-of-Care超音波(POCUS)を教えている仲間で「亀田徹先生を知らない人はいない」といっても過言でない。その亀田先生が初めて一人で書かれたのがこの本である。

 POCUSにおいては定性的な画像診断が有用となる。しかし,正常と異常の判別はその画像を見比べなければ難しい。本書はこのようなPOCUSの特色を踏まえて書かれている。

 Webで視聴できる243の付録動画の多さも驚きである。動画ではプローブ操作の基本から確認できる。まさにベーシックから学べる教本となっている。

 POCUSは,ご存じのように多くの領域・分野で行われている。私も集中治療に携わる医師として日々,経胸壁心エコーを行っており,典型的な画像の描出や評価・測定は特に支障なく行うことができる。私の場合,エコー検査技術は,集中治療室で重症患者の診療を行いながら超音波の基礎を自学し,また種々の講習会で学ぶことで習得した。臨床の合間に学んだ,いわば「part time学習生」であった。しかし,亀田先生は,プロフィールにあるように救急や総合内科の臨床を行っていく上で,超音波診断の必要性や有用性をいち早く見いだし,1年以上にわたり超音波検査室で基礎から検査方法を学んでいる。つまり,「正規学習生」である。そのため,救急集中治療医で超音波に関する基礎から臨床に至る知識の広さにおいて,亀田先生にかなう医師はいないと私は思っている。

 そのような気持ちを持って,この本を開く。まず基礎を読み始めると,「空間コンパウンドイメージング」という言葉に視線がとまる。肺エコーのBラインの評価において重要であるが,私の知る限りこの技術が解説されている唯一の実践書である。続いて系統別,症候別にPOCUSの基本的内容が記載されている。

 研修医,超音波診断初学者,看護師他医療スタッフ,そして学生においてもWeb動画を見ながら学習できる良書となっている。価格もお手頃である。POCUSで疑問が生じたとき,ぜひこの本を手に取ってほしい!

B5・頁240 定価:本体4,500円+税 医学書院
ISBN978-4-260-03805-8

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