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第3185号 2016年8月1日


Medical Library 書評・新刊案内


皮膚がんバリエーションアトラス

田中 勝,安齋 眞一 編

《評 者》名嘉眞 武国(久留米大教授・皮膚科学)

通読することにより皮膚がん診療の経験値がアップ

 このたび医学書院より『皮膚がんバリエーションアトラス』というタイトルの書籍が発行された。編集は田中 勝先生(東女医大東医療センター教授)と安齋眞一先生(日医大教授)のお二人である。お二人の専門領域はダーモスコピーと皮膚病理組織学であることは周知の通りである。完成させるまでの想像を絶するような時間と労力がまさに伝わってくる力作である。

 まず全体の構成については,皮膚がんの代表として第I章「基底細胞癌」,第II章「有棘細胞癌およびその類症」,第III章「悪性黒色腫」,第IV章「その他の皮膚がん」を掲げ,最後に第V章「皮膚がんと鑑別を要する良性疾患」と大きく5章に分類している。そして各章の冒頭に「臨床像と病理組織像のポイント」として,全て安齋先生ご自身が解説している。ここでの病理組織像の写真は鮮明度が素晴らしく,内容も若い先生方でも明確に理解しやすいものとなっている。また近年提唱された疾患名の解説も盛り込まれ,最新の知識も学べるものとなっている。評者も大変勉強になり,今後大いに参考にできるものと確信した。

 各項目では,それぞれの病型と部位を細かく分類した上で,全ての症例に臨床像とダーモスコピー像の写真を隣接させ,それぞれについて解説している。そして代表的な症例については拡大したダーモスコピー像に矢印や矢頭などを用いて詳細に解説している。ここでの解説は大変理解しやすい内容となっており,田中先生の初級から上級者まで全ての読者に対する優しい配慮がうかがわれる。

 ただ,本書で解説されている代表的腫瘍については,事前に診断に有用となる基本的なダーモスコピー所見について他の成書で学んでいただきたい。その上で本書を通読するとバリエーションに関する知識が自然と頭に入ってくる。なぜなら本書には他に類を見ない驚くほどの膨大な症例が収載されているからである。これらの症例を集めるには,編集のお二人の先生だけでなく経験豊富な執筆者の先生方からの症例提供があったことは言うまでもない。

 ぜひ初級者のみならず経験豊富な方も一度ご覧いただきたい。あまりに膨大な内容で一気に読破するのは大変ではあるが,各腫瘍のバリエーションごとに学ぶことは限られた時間でも可能である。読み終えたころには,それぞれの腫瘍について多くの経験を積んでいることに気付かされるはずである。

A4・頁384 定価:本体15,000円+税 医学書院
ISBN978-4-260-02472-3


脳卒中の下肢装具 第3版
病態に対応した装具の選択法

渡邉 英夫,平山 史朗,藤﨑 拡憲 著

《評 者》高嶋 孝倫(長野保健医療大教授・義肢装具学)

下肢装具を熟知した先生方による「頼れる一冊」

 本書は脳卒中片麻痺者の下肢装具について,その全てを網羅した名著であると思う。著者である渡邉英夫先生(佐賀医大名誉教授)はリハビリテーションの分野では高名な先生であり,装具についても造詣が深く,ご自身の開発による装具の数々は障害のある多くの方々を支えてきた。

 私は本書を初版のポケット版から愛読させていただいており,今回は版を重ねてカラー印刷となり,著者に平山史朗先生(社会保険大牟田天領病院),藤﨑拡憲先生(熊本託麻台リハビリテーション病院)の理学療法士2人が加わっての登場である。図・表を中心とした直感的にわかりやすい記述という方針は貫かれているが,内容面ではより一層の充実がみられる。

 本書の特徴の一つとしては,現在,数多くの種類がある下肢装具がほぼ全て網羅されているという点であろう。多岐にわたる短下肢装具・足継手群については,実に47種類が収載され,カラー写真などに加えて,ポイントをついたわかりやすい解説がなされている。そしてさらに,改版ごとに新しい装具が追加され,販売中止などによって主流ではなくなった装具は除かれてリニューアルされている。現状にマッチした情報が網羅されていることにより,臨床現場で装具を処方する医師,歩行訓練を行うセラピストはもとより,製作・適合を担当する義肢装具士,さらにはこれらを学ぶ初学者たちにとっても有益な情報源と考えられる。

 脳卒中の下肢装具について,最も重要と言える「病態に対応した装具の選択法」については,この文言が本書の副題であることからも推察される通り,チャートなどを利用したわかりやすい記述でまとめられている。私が愛読するポケットサイズの初版ではチャートのみであった部分などが,A5判の第2版からは解説が加えられ,第3版ではより詳しくなった。さらに,装具の選択については,理論に加えて実際にはどのような装具が使用されているのかが気になるところであるが,139人の理学療法士に対するアンケートから56問のQ&Aがまとめられ,脳卒中の下肢装具に関連する人たちが日頃抱いておられる多くの疑問が解消されることが期待される。独自の手法で実施された統計値が示されている点も興味深い。また,新たに臥床中に生じる,尖足,内反足などの廃用症候群に対する予防器具についても解説されている。

 本書を一言で表すとしたら,帯に印刷されている「達人に学ぶベスト・フィッティング」であろう。脳卒中のリハビリテーションにおいて,装具を使用した歩行訓練,そして多々ある下肢装具の全てを熟知した先生方による「頼れる一冊」である。

A5・頁208 定価:本体4,200円+税 医学書院
ISBN978-4-260-02488-4

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