医学書院

検索
HOME週刊医学界新聞 > 第3143号 2015年09月28日



第3143号 2015年9月28日


第41回日本看護研究学会開催


 日本看護研究学会第41回学術集会が2015年8月22-23日,宮腰由紀子会長(広島大大学院)のもと,「日本から世界へ 看護,発信!――いのちと暮らしを支える 和と輪と環と話」をテーマに開催された(会場=広島市・広島国際会議場)。本紙では,特別交流集会「トランスレーショナル・ヘルス・サイエンスとシステマティックレビューの国際的動向」(講師=関西国際大・今野理恵氏)の模様を報告する。

 まず,トランスレーショナル・ヘルス・サイエンス(THS)という新たなトレンドの定義と現状について解説された。近年,看護領域ではEBP (Evidence Based Practice)の創出がめざされるとともに,それをどう根付かせるかが課題となっている。EBPは,特に英国をはじめとした欧州を中心に推進されてきた経緯があるが,近年は米国でも積極的な取り組みがみられる。米国では2011年,NIH(National Institutes of Health)の傘下にNCATS(National Center for Advancing Translational Sciences)が設立された。NCATSは,EBPを根付かせる方略としてTHSを掲げ,研究の橋渡し(トランスレーション)を加速させ,より多くの患者により迅速に医療を提供することを主な目的としている。今野氏は,THSが今後大きな流れを醸成していく可能性があると述べた。

 EBP,そしてTHSに不可欠なのが,システマティックレビュー(SR)である。SRは医学領域を中心に,英国のNHS(National Health Service)によるコクラン共同計画から発展してきた手法であり,RCT(Randomized Controlled Trial)のような質の高い研究データをくまなく調査・分析し,EBMの創出をめざすものだ。看護においては,豪州に拠点を置くJBI(Joanna Briggs Institute)がSRの中心的役割を担っており,日本を含む世界各地に提携センターを持ち,幅広い活動を展開している。介入の有効性や診断法,さらに最近では質的研究のSRもみられるなど,SRの種類の多様化が進んでいる現状が紹介されるとともに,その手法や作成プロセスについて具体的に解説された。SRは,その手法の厳密さや手順の複雑さから容易に取り組むことが難しい点,また臨床現場からの反発といった課題があるとしながらも,「SRなしにEBPは不可能」との言葉とともに,THSとSRへの期待を述べて講演を締めくくった。