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第2957号 2011年12月12日


インターライ方式で根拠に基づくケアを


 ダイヤ財団フォーラム「根拠に基づくケアマネジメントの実現」(主催=ダイヤ高齢社会研究財団)が11月19日,丸の内MY PLAZAホール(東京都千代田区)にて開催された。本フォーラムは,高齢者へのアセスメント手法のルーツであり,根拠あるケアプランを作成するための指針であるMDS(Minimum data set)方式が,このたびインターライ(interRAI)方式に刷新され,その日本版が同日公開されたことを受け開催されたもの。本紙では,インターライ日本理事長であり,日本版インターライ方式策定の中心となった,池上直己氏(慶大)による特別講演のもようを報告する。

◆日本の介護環境に即したアセスメントツール

池上直己氏
 高齢者ケアの専門家により設立された国際的な非営利組織インターライでは,国際標準の高齢者アセスメント手法の開発を行っている。池上氏はまず,これまでのMDS・インターライの各版を再構成した最新版のインターライ方式が,2009年に開発された背景を紹介。これまでは,介護施設や急性期などケアの場面に合わせて継ぎ足しで作成されてきたが,その結果,複雑なものとなっていた。そこでインターライでは,ケアの連続性が保たれる仕組みを作ることを目的に各システムの統合を実施し,各版の情報共有を促進するため,最新版では「コア項目+固有項目」というモジュール式にシステムを作り変えたことを説明した。

 次に氏は,実際の介護現場で有用なツールとするため,最新版では前版で不要と考えられた項目を削除し,新たに(1)痛みの種類,(2)利用者自身の回答能力を把握する項目,(3)自動車の運転,を追加したと改良点を提示。また,日本独自のツールであるトレーニングマニュアル(記入要綱)についても,介護者が留意すべき項目がわかるように更新したことを挙げた。さらにMDSでは居宅版(MDS-HC)だけで採用されていたCAP(Client Assessment Protocols)について,全場面で利用できる新たなケア指針であるCAP(Clinical Assessment Protocols)として改定したことを紹介。このケア指針によって,要介護者の状態が特定の項目に該当することでトリガーされ,それに従ってエビデンスに基づいた介入方法を設定できるようになると説明した。

 これに加え,インターライ方式を活用したケアマネジメントの利点として,改善すべき身体機能や臨床面における身体の状態がアウトカム指標として連続的にモニタリング可能となることを挙げ,介護の質の評価や要介護度判定などの支払い分類にも応用可能との見解を示した。

 引き続き氏は,同日公表された日本版インターライ方式についても解説した。居宅・介護施設・高齢者住宅の三施設のアセスメントを対象とした日本版インターライ方式は,日本独自の試みとしてその三施設のいずれでも使用可能としたインターライで初めての「統合版マニュアル」であると披露。これまで各版で別々に割り振られていたアセスメント項目の記号も統一化するなど,事業者間で互換性がある形式となったという。これにより,居宅から介護施設にケアの場が移行した場合でも評価基準は変わらず,必要なアセスメントやケアを連続して行うことが可能になったとアピールした。

 同日開催された日本MDS学会総会では,学会名称を「日本インターライ・ケア研究会」へと変更することを決議。介護の質のさらなる向上を目的として,世界標準のインターライ方式の普及を積極的に進める方針が打ち出された。