金原一郎記念医学医療振興財団助成金
取材記事
2024.04.09 医学界新聞:第3560号より
◆第8回生体の科学賞は帝京大の月田早智子氏に
第8回生体の科学賞授賞式が3月8日,医学書院(東京都文京区)にて行われた。本賞は金原一郎記念医学医療振興財団(代表理事=上武大・澁谷正史氏)の基金をもとに,2016年度に創設。基礎医学医療研究領域における独自性と発展性のあるテーマに対して,研究費用全般への支援を目的に,1件500万円の助成を行うものである。
今回は,月田早智子氏(帝京大)による「生体機能システム構築基盤としての上皮バリア研究の新展開」が受賞した。氏は上皮細胞間バリアを構築するタイトジャンクションを基軸とした研究において,タイトジャンクション構築に必須なクローディン種の同定や,クローディン種によって多様な細胞間バリアが形成されることを明らかにしてきた。「タイトジャンクションおよびクローディンの研究を推進していくことは細胞間バリア機能の異常により引き起こされる病態の解明に直結し,医療応用にも大いに期待が持てるだろう」と今後の研究の展望について氏は語った。
澁谷氏は代表理事の立場から,「月田先生が今後も日本の基礎医学研究をけん引し,若い研究者たちの指導にもますます注力されることを期待する」と激励の言葉を述べた。
◆第75回認定証(研究交流助成金・留学生受入助成金)贈呈式
金原一郎記念医学医療振興財団は3月8日,医学書院にて第75回認定証贈呈式を開催した。同財団は基礎医学の振興を目的に,助成金を年に2回交付している。下期である今回は,海外で行われる基礎医学医療に関する学会等への出席を助成する研究交流助成金と,基礎医学医療研究を目的に日本へ留学する大学院生等を助成する留学生受入助成金が交付された。今回の助成対象者は12人で,贈呈式には研究交流助成金対象者代表の大石康博氏(理研),他3人が出席した。
開会に際し,金原優同財団業務執行理事(医学書院)が,医学書院の創業者・金原一郎の遺志を継いで設立された同財団の概要を紹介。「今回の助成金を積極的に活用し,さらなる研究の一助としてほしい」と呼びかけた。
第38回研究交流助成金交付対象者を代表して,光遺伝学を用いた知覚の神経メカニズムについて研究する大石氏があいさつに立った。氏は本助成金を活用し,本年10月に米シカゴにて開催される第54回北米神経科学学会年次大会に参加予定。マウスを用いた遺伝学的アプローチにより感覚野を中心とした反響入力が知覚にかかわることを検証した自身の研究に触れ,「日本からの新たな知見を国際学会で発表し,世界の研究者と意見交換することで,さらなる研究の深化につなげていきたい」と大会参加への意気込みを語った。
続いて,第38回留学生受入助成金対象者代表のNguyen Thao氏(慶大)がビデオメッセージにてあいさつした。氏は,本年4月より慶大先端医科学研究所がん免疫研究部門に所属し,さまざまな種類のがんに対する根治的なアプローチとして期待されている養子免疫療法の研究に従事する。あいさつの最後には「研究活動を発展させ,科学の進歩に貢献し,最終的には社会に良...
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