医学界新聞


日本看護サミット2021の話題から

取材記事

2022.02.28 週刊医学界新聞(看護号):第3459号より

 日本看護サミット2021が2022年2月4日,「看護職の就業継続が可能な働き方で,看護の未来を拓く」をテーマに,パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)の会場およびオンライン配信のハイブリッド形式で開催された。本会では,生産年齢人口の減少が問題となる2040年に向け,看護職の多様な働き方の実現を模索するため,有識者を招いて多角的な議論を展開。本紙では,近年の看護職の働き方の広がりと将来展望に言及した,秋山智弥氏(日看協副会長)による講演「看護職の働き方改革――2015-2020年の取り組みの成果と今後の課題」を取り上げる。

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開会を宣言する日看協会長の福井トシ子氏

◆既存の枠にとらわれない議論と取り組みが求められる
 「看護職の働き方に関するこれまでの課題として,①法令規制のない夜勤労働,②恒常的な時間外労働,③育児・介護との両立が困難な働き方の画一性がある」。秋山氏はこう問題提起し,課題解決に向けた日看協の取り組みとして,労働条件に関する各種ガイドラインの整備などを紹介。多施設での時間外労働の削減や夜勤の選択制導入など,ガイドラインに基づく労働環境改善に向けた取り組みにより,子育て世代の就業者が増加した現状を評価した。

 一方,夜勤減免者増加による夜勤対応者への負担の偏りや勤務間インターバルの確保が不十分な水準にとどまるなど,課題が残る点を指摘。これらの課題解決に向けては2021年3月に日看協が作成した「就業継続が可能な看護職の働き方の提案」が指針になり得るとした。具体的には,就業継続を困難にする5要因に①夜勤負担,②時間外労働,③暴力・ハラスメント,④仕事のコントロール感,⑤評価と処遇を挙げ,それぞれに対する計10項目の取り組みにより,持続可能な働き方の実現をめざす。

 「2040年を見据えた新しい看護の形と働き方の実現に向け,既成概念や既存の枠組みにとらわれない議論と取り組みが必要だ」と呼び掛け,講演を結んだ。

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