医療的ケア児の教育を保証する学校看護師への期待
寄稿 清水 史恵
2021.11.22 週刊医学界新聞(看護号):第3446号より
日常生活および社会生活を営むために恒常的に医療的ケアが必要な児童を医療的ケア児という。医療的ケア児は年々増加し,2019年時点で在宅の医療的ケア児は約2万人1)。幼稚園,小・中・高等学校に1453人,特別支援学校に8392人の医療的ケア児が在籍し学んでいる2)。幼稚園,小・中・高等学校,特別支援学校で医療的ケアにかかわる看護師(学校看護師)や認定特定行為業務従事者である教職員数も徐々に増加している。しかし看護師の確保ができないために入園・入学がかなわないケースや,通園・通学に親の同伴を求められるケースがある。医療的ケアを要するためスクールバスに乗車できず,別途送迎を要するが,送迎者の確保が困難で訪問教育を受けざるを得ない児童もいる。そのような状況は,教育の質が保証されているとは言い難い。
2021年6月に医療的ケア及び家族に対する支援に関する法律(医療的ケア児支援法)が成立した。居住地域にかかわらず等しく適切な支援を受けられるよう,学校に看護師を配置して必要な教育環境を整備することが国や自治体の責務と明示された3)。今後,医療的ケア児の教育の質保証に向けた動きが高まると予測される。保証に向けて学校看護師が十分に役割を果たすには,学校看護師の数を充足して医療的ケアの体制を整備するとともに,ケアの質や教職員と協働する力を高めることが重要だ。
これまで私は,学校看護師の確保が難しい......
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清水 史恵(しみず・ふみえ)氏 大阪総合福祉専門学校専任教員/あもるケアサービス通学支援看護師
2015年京大大学院医学研究科人間健康科学系専攻修了。博士(人間健康科学)。大阪府豊中市内の小中学校や大阪府立箕面支援学校での学校看護師を経て,21年より現職。小児看護専門看護師。
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